日本大学理工学部

Step2

風による揺れをエネルギーに変えよう

土木工学科

風が吹くと構造物は傾いたり変形したりするだけでなく、しばしば振動(揺れ)が生じます。特に長い橋や高いビル・タワーなどは揺れやすく、過去には風によって生じた揺れが原因で壊れてしまった長い橋もあります。構造物をつくる上で、風による揺れは避けるべきポイントの一つです。

一方で、構造物をつくる上で避けるべき揺れも、見方を変えると貴重なエネルギー源です。風によるエネルギー(風力エネルギー)と聞くと、真っ先に大型のプロペラ式の風車による風力発電をイメージされると思います。もちろん、大型風車による風力発電は多量なエネルギーを生み出すことから、持続可能な社会を形成するための重要な構成要素の一つです。ただ、風力発電は風車以外にも様々なタイプの発電方式があります。先ほどの風による揺れを利用する方法もその一つです。

風に吹かれた送電線が上下に激しく揺れる揺れをギャロッピングと言います。風に吹かれた旗がバタバタはためく揺れをフラッターと言います。これらは激しい揺れを伴いますが、この激しい揺れを逆手にとって、揺れから風のエネルギーを回収する研究が進められています。

本講義では、風が吹くとなぜ物体は揺れるのか、プロペラ式の風力発電以外の風力発電にどのようなタイプがあるのかを紹介します。そして、現在私の研究グループが取り組んでいる風による揺れからエネルギーを回収する試みも紹介します。2030年には、本講義で学ぶ様々なタイプの風力発電が皆さんの周りで見られるかもしれません。

長谷部 寛
長谷部 寛
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図1 風力エネルギー回収を目的とした複数円柱のギャロッピング振動実験 図1 風力エネルギー回収を目的とした複数円柱のギャロッピング振動実験 図2 複数円柱まわりの風のコンピューターシミュレーション 図2 複数円柱まわりの風のコンピューターシミュレーション

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