日本大学理工学部

Step2

みんなの願う、水辺の「良い」環境ってどんなもの?

土木工学科

いまや、「環境」「エコ」といった言葉を目にしない日はありません。多くの人が重要な問題だと思っていることに間違いはないでしょう。しかし、いろいろなデータを眺めると、昔(20~40年前)と比べれば、日本の環境はずいぶん良くなってきていることがわかります。それでもなお「環境」や「エコ」が注目されるのには、別の理由がありそうです。

そのうちの一つはおそらく、「環境が良くなってきた実感が持てない」ことです。たとえば川の水質改善や水辺の環境改善には、これまでに相当の予算が投入され、一定の効果をあげてきました。それでもなお、「川辺や川の水は汚い」と感じる人が多数いるのが現実です。なぜでしょうか。その印象は曖昧なもので、単に身近な環境を知らないからそう感じるのでしょうか。それとも、これまでのお金のかけ方が間違っていたのでしょうか。

環境省は「水辺のすこやかさ指標(みずしるべ)」という新しい指標を提案しています。インターネットでこの調査票を覗いてみると、「水の流れはゆたかですか?」「魚はいますか?」「水にふれてみたいですか?」「川にまつわる昔の話を聞いたことがありますか?」といった質問が並んでいます。簡単な水質調査もあります。これらの質問に対して通知表のように3段階で答えていくと、その場の環境を、誰でも・容易に・総合的に評価できるのです。地域や参加者の事情に応じて、調査票をカスタマイズすることもできます。

私たちは、この「みずしるべ」や、そのベースとなった「水環境健全性指標」を使って、身近な川を評価しなおそうとしています。このことで、今の川に対して人々がどう感じているのか、あるいは今の川のどこに問題があって、どこに手をつければ「良い」環境と感じられるのか、考えています。この講義では、その調査事例や、見えてきた結果をいくつか御紹介するとともに、この調査のやり方を簡単にお伝えしたいと思っています。川や水辺の環境のことを、皆さん御一緒に考えていきましょう。

小沼 晋
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井の頭公園高戸橋「良い」環境ってなんだろう??
写真は全て神田川
(井の頭公園、
高戸橋、久我山付近)

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