日本大学理工学部

Step2

海に囲まれた日本の国土づくり(防災と環境の両立)

海洋建築工学科

海洋建築工学科を中心とした産学連携チームを結成し、新たな津波防災の考え方による「津波をかわすまちづくり」を提案しています。防潮堤の更なる嵩上げによって「抑え込む」という対応から、自然と共存する減災を理念として「かわす」方法を基本に、「建築」と「土木」を融合させた「海洋建築工学分野での復興・防災まちづくり」として被災地行政および被災住民に説明を行なっています。さらに東南海トラフ地震に よる津波被害想定地域についても同様の活動を行っています。それらの提案の3項目について説明します。
◆防災ブリッジ・避難コリドール・斜面住居の提案

岩手県宮古市田老地区では、防潮堤の更なる嵩上げではなく「防災ブリッジと防災コリドール」の設置、そして高台移転に対して「斜面住居と斜面インフラ」という防災施設の提案です。被災状況を考慮して標高20mを基準とした安全避難レベルを想定し避難距離500mで平常時,非常時を問わず移動を容易にする土木インフラと防災建築による防災ネットワークを構築します。
◆避難コミュニティ「緑の輪中堤防」の提案

浜辺地形の千葉県旭市に対して、低地嵩上げ・海岸線における巨大防潮堤ではない「輪中式避難コミュニティ」という新たな施設の提案を行ないました。防潮堤で囲まれた施設集合体は新たなコミュニティを形成でき、緑の防潮堤を築造することで環境対応も兼ねた防災施設としました。従来型の土地の広大な嵩上げや、海岸線に巨大防潮堤の建設、また普段使いされない避難タワーの乱立ではない提案であり、特に今後防災計画の再構築が求められる東南海トラフ地域にとっても参考となり得ると思います。
◆防潮堤の建築空間化と避難通路化の提案

気仙沼では、かつての港まちとして「にぎわい」のあった海辺に、海岸から内陸側にセットバックして建築空間化した防潮堤の提案です。これによってにぎわいの水際空間を海辺に再現し、水産業の活性化および気仙沼の独特な親水性の感じられる街並みの風景による観光機能を守ります。 このような防潮堤によって津波を「抑え込む」考えに対して、レベル2の津波想定高さの襲来でも「かわす・逃げきれるまちづくり」の提案です。

小林 直明
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