日本大学理工学部

Step2

SF映画「ターミネーター」の世界が現実味!?〜ロボット“Pepper”の人工知能(AI)とプログラミングからロボットとAIの脅威について考えてみよう!

電気工学科

最近,コンピュータの人工知能(artificial intelligence: AI)をテーマにした映画が多いと思いませんか? いずれもAIが人類の脅威となる世界を描いています.高校生の皆さんは,AIが遠未来SFの世界でのことと思っていませんか? いや,将来皆さんを脅かす存在になるかもしれません.今世紀はロボット世紀と言われております.皆さんはロボット・AIの進化とともに生きて行くことになります.AIの脅威について是非一緒に考えてみましょう。

1980〜90年代の高度成長期,日本の産業用ロボットが世界を席巻し,1990年代後期になるとソニーのロボット犬“AIBO”やホンダの人型ロボット”ASIMO”など日常生活に近いロボットも開発されました.が,日本経済のバブル崩壊,2008年の世界恐慌(リーマンショック)でロボット産業が停滞しました.が,2010年代に入り世界経済の復活と共にマイクロプロセッサや画像処理用チップ,電気工学や機械・制御工学など様々な工学技術分野で飛躍的な進歩がありました.2015年にはGoogle社のAI“DeepMind”が囲碁の欧州チャンピオンに5戦全勝(終局までの最大探査数:囲碁10360>将棋10220>チェス10120).またソフトバンク社から人型ロボット“Pepper”が市販されました。

ところでInternet of things (IoT)という言葉はご存知でしょうか? あらゆるモノが通信機能を備えネットにつながることを意味しますが,これは遠隔操作や計測,さらにネット上のAIと協調した自動認識や自律制御に発展してゆきます。epperもネット上のAIにつながっております[近い将来,IBM社のAI “Watson”(チェスの世界王者に勝利)につながります]。未来SF映画「ターミネーター」シリーズ(1984年〜)では,AIが自我に目覚め,2018年人類を核攻撃,機械軍を組織し人間を支配。細々と生き延びた人類はやがて抵抗軍を組織,機械軍・AIと壮絶な戦いを繰り広げるという物語です.そこではSKYNETというAIを持ったコンピュータネットワークがネットにつながった機械軍(AIを持つ)と協働します。実は今から半世紀も前、SF映画「2001年宇宙の旅」(SF作家アーサー・C・クラークと巨匠スタンリー・キューブリックの脚本&監督, 1968年)が公開され話題となりました。宇宙船のコンピュータAI“HAL”が本部の極秘指令と,指令を知らされていない乗員の指示との間に生じる矛盾から異常を起こします.乗員はHALの停止を検討し,それを察知したHALが乗員の殺害を試みます。この映画は今日まで「コンピュータの反乱」の象徴となっております。2014年末,理論物理学者で有名なスティーブン・ホーキング博士がBBCのインタビューに答え,AIの開発に深刻な懸念を示し「AIは人類に終焉をもたらす可能性がある」と述べております。一方でまた2014年に経済学者トマ・ピケティ氏の書籍「21世紀の資本」が世界的ベストセラーになり,「ロボットやAIの技術革新が社会・経済に大変革をもたらし,仕事は人からロボット・AIへシフトする」と述べられています。

本講義では,将来のAIの脅威について一緒に考えてみたいと思います。遠隔通信にて皆さんにPepperとコミュニケーションして頂きます。またライブでプログラミングのデモを行い,遠隔でPepperに転送し制御を試みます(図2)。これらを通してPepperのクラウドAIやapplication programming interface (API)の現状を認識して頂きたいと思います。そして,これからの皆さんがAIやプログラミング,電気工学や制御工学に興味を持って頂き,人類の脅威にならない,安心・安全・豊かな社会のもととなるロボット・AIについて思いを巡らすきっかけとなれば甚幸いです。

戸田 健
戸田 健
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人口知能(AI)の脅威
研究室にてプログラミングの様子

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