第34回公開市民大学:岡田誠一

第34回公開市民大学:岡田誠一

アメリカ黒人の文学・文化
-黒人街ハーレム、その賑わいし頃-
埼玉大学名誉教授 岡田誠一

今日は、ハーレム・ルネッサンスといわれる1920年代のハーレムのことをお話ししてみたいと考えております。ハーレム・ルネッサンスの時代は、面白いことに、二あるいは二分法に基づいて進展していた、と考えることが可能です。二つのことが契機となって、ハーレム・ルネッサンスが始まり、黒人文学の二つの流れによって、それが絶頂期を迎え、また二つの出来事が原因となってそれが終わるのです。そのことをこれからお話ししてみたいと考えております。それから、この時期は、禁酒法の時代とぴったり重なりますので、ハーレム・ルネッサンスとの関係で、アメリカの禁酒法とその時代についても述べてみます。最後に今日のハーレムについて、その観光スポットをスライドでお見せしようと考えております。

まず、ニューヨークについて簡単に説明します。マンハッタンの中央に大きな公園がありますが、この北側に広がるのがアメリカ最大の黒人街の一つハーレムなのです。ハーレムは、非行、麻薬、売春、殺人などを特徴とする恐ろしい所、と一般に考えられていて、白人は普通近づきません。だが、かつてはそうではない時期があったのです。

第一次大戦の終わる1919年から、1933年までの期間は、一般にハーレム[ニグロ、ブラック]・ルネッサンスと呼ばれ、ハーレムがアメリカ黒人文化の中心となった時代でした。この時代は、白人たちが黒人に対して異常なほどの関心を示したのです。彼らは黒人を知ろうとして、夜な夜なハーレムに出かけ、有名な黒人音楽家や芸人たちの出演するナイトクラブやキャバレーで時を過ごしたのです。

そして、このハーレム・ルネッサンスに火をつけたのは、ミュージカルと小説の二つだったのです。 また、ハーレム・ルネッサンスは、ジャズ、詩、アルコール、セックス、クラブの黄金時代だった、とも一般に考えられています

これらの文化は、ダイコトミーに従って、二つに分類することが可能です。
  ・high culture・・・文学(詩)、絵、クラシック音楽
  ・low culture・・・キャバレー、ダンス、ブルース
まず、high cultureの絵、クラシック音楽は省き、文学についてまとめてみます。

この頃の小説には二つの流れがありました。

一つは初期黒人小説の伝統、つまり、その前の時代のポール・ローレンス・ダンパーやチャールズ・チェスナットの伝統を永続させようとする流れでした。保守派と呼ぶべき一派です。もう一つはハーレム派と呼ばれる流派でした。

それでは、ハーレムのlow culture(キャバレー、ダンス、ブルースなど)の話に入りますが、その前に、ハーレム・ルネッサンスの時代が禁酒法の時代(1920年〜1933年)と重なるという事実に注目する必要があります。そこでまず禁酒法の時代について述べてみます。

そして最後に、ハーレムのナイトライフについて述べてみます。

ナイトライフはクラブともぐり酒場の二つが中心でした。これにはダイコトミーが成り立ちます。

大きなクラブは大体白人が相手でした。ビッグスリーと呼ばれるものは、コットンクラブ、コニーズイン、スモールズパラダイスです。

クラブと対極の位置に存在するのが、Speakeasyと呼ばれるもぐり酒場でした。客は労働者階級の黒人が多数を占めていました。

さて、1929年10月のウォール街での相場の総崩れで大不況が始まります。チャールストンとスピークイージィの時代は終わりを迎えます。そして、ハーレム・ルネッサンスも終局に向かって下降線を辿ることになったのです。

プロフィール

〈学歴〉
昭和38年3月 東京大学文学部英文学科卒業
昭和38年4月 同 大学院人文科学研究科英語英文学専攻修士課程入学
昭和40年3月 同 修了
〈職歴〉
昭和40年4月 埼玉大学教養部講師
昭和45年4月 同 助教授
昭和54年4月 同 教授
昭和60年4月 教科用図書検定調査審議会調査員(昭和61年3月31日まで)
昭和62年4月 大学入試センター教科専門委員会委員(昭和64年3月31日まで)
昭和63年6月 大学入試センター教授(研究開発部)(併任)(昭和64年3月31日まで)
平成元年6月 大学入試センター試験問題データ・ベース委員会「教科・科目別専門委員会委員」(平成10年3月31日まで)
平成3年10月 教科用図書検定調査審議会調査員(平成4年3月31日まで)
平成6年10月 大学入試センター試験問題特別専門委員会委員(平成12年9月30日まで)
平成7年4月 埼玉大学教養学部教授
平成9年4月 埼玉大学評議員(併任)(平成11年3月31日まで)
平成15年3月 埼玉大学教養学部退官
平成15年4月 埼玉大学教養学部名誉教授
〈研究留学歴〉
昭和57年4月 イエール大学にてvisiting professorとして在外研究(昭和58年1月31日まで)
〈主要著書及び翻訳書〉
(翻訳)
『アメリカ黒人昔話集』 昭和53年11月 社会思想社
『数奇なる奴隷の半生』 平成5年9月 法政大学出版局
(著書)
『アメリカ黒人昔話集』 昭和53年11月 社会思想社
『数奇なる奴隷の半生』 平成5年9月 法政大学出版局
〈著書〉
基礎音響学(講談社サイエンスブック 2002年)
静粛工学(開発社1995年)
機械騒音ハンドブック(産業図書1991年)
流れの可視化ハンドブック(朝倉書店1986年)
〈学会活動〉
アメリカ文学会会員(昭和45年〜現在)アメリカ学会会員(平成7年〜現在)

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