2016年2月27日 日本初の人力飛行機「リネット」の初飛行から50周年

2016年2月27日 日本初の人力飛行機「リネット」の初飛行から50周年

時は、1966(昭和41)年2月27日。
午前5時前の冷え込んだ調布飛行場には多くのマスコミ関係者が集まっている。
その視線は、木村秀政教授の指揮のもと、10名の学生たちにより設計・製作された
人力飛行機「リネット号」に注がれている。
本当に人間の力だけで飛ぶのか



「リネット号」は静かにそして力強く滑走をはじめた。
きちんと舗装されていない滑走路で機体がうねる。

やがてその機体は、日本で初めて人間の力でふわりと浮き上がった。
飛行距離15m。
それは、日本における人力飛行機の夜明けであった。

976

今から50年前の1966(昭和41)年2月27日、「リネット号」が、調布飛行場において、日本における人力飛行機(人間の筋力だけで飛ぶ飛行機)の初飛行という偉業を達成しました。(世界で4番目)


日本大学理工学部機械工学科航空専修コース(当時)で、木村秀政教授(第6代理工学部長)が卒業研究として人力飛行機の開発を始めたのが1963(昭和38)年。十分な資料やデータがない状態で人力の測定と操縦方法の模索から始まり、設計製作まで数々の試行錯誤と苦労を重ね、東京大学の航空宇宙研究所の場所をお借りしてついに1966(昭和41)年1月25日に完成しました。間もなく木村教授によって「リネット」(鳥の名前:和名ムネアカヒワ)と名付けられたその機体は翌月2月27日「リネット号」(パイロット:岡宮宗孝)として日本で初めて人力飛行機の飛行に成功することとなりました(飛行距離15m)。その偉業は、各社新聞に「リネット号遂に空に羽ばたく」「飛んだゾ 人力飛行機」「フワリと空に3メートル 高度は世界新 日本初の人力飛行機」等と大きくとりあげられ、海外にも報道されました。そして、1977(昭和52)年1月にはStorkB(パイロット:加藤隆士)が2093mを飛行し、未公認ながら当時の世界記録を樹立しています。
初飛行ではわずかに15mの飛行距離であったものが、この50年の間に未公認ながら世界記録を樹立し、公認日本記録樹立と更新を2回行い(航空研究会開発機体による公認日本記録が49,172m)、読売テレビの「鳥人間コンテスト」では滑空機の2回を含め9回の優勝を成し遂げることとなり、大きな進展を遂げています。


一心不乱に人力飛行機の開発に取り組んだその情熱と魂は、木村教授の定年退職後、理工学部航空研究会にサークル活動として引き継がれ、現在まで61機が開発されています。そして現在、62機目となるMöwe(メーベはドイツ語でカモメ)33の完成に向け学生達は日々努力を重ねています。


「リネット号」のパイロット岡宮氏は、今でも離陸する瞬間の感動が忘れないといいます。
「はじめは、人間の力で空を飛ぶなんて夢があると思い、その開発に手を挙げたそうです。
そこには思いもよらない難題・困難がたくさん待ち受けていた。その厳しい時間を、頭を使い、体を使い、徹夜の日々を過ごしながらも仲間たちと懸命に努力して乗り越えてきた。その達成感は何にも代えがたかった。人間の力は捨てたもんじゃないと思った。これからは、是非世界で戦ってほしい。世界に日本の技術ありというのを目指して欲しい。」
と語っています。
航空研究会安部監督も、はじめは中学3年生の時に「リネット号」の初飛行のニュースをテレビでみて知っていて、とても憧れたのがきっかけだったといいます。


「やはり努力に努力を重ねた後にやってくる離陸の瞬間の感動は何物にも代えがたい。学生にこの感動を感じて欲しい。そして新しい素材等が出てきて今後もどんどん進化していくはずだから、たくさん学び革新していく必要があるだろう。鳥になり、より長く、より遠く、そしてより美しく、大空に青春をかけて欲しい。」と語っています。


木村教授は、初飛行成功の時、まわりにいる学生と握手をしたり、肩をたたいたりして喜びを分かち合ったといいます。


仲間と一緒になって、夢中になって取り組んで、
さんざん苦労したものが報われる。
その感動をいろんな人に味わってもらいたい。


そう語った教授の情熱は、今なお大空を目指す学生達に受け継がれています。




理工サーキュラー156号「人力飛行機への誘い」

http://www.cst.nihon-u.ac.jp/public_relations/circular/2013/04/08000914.html


木村秀政先生

http://www.nihon-u.ac.jp/history/forerunner/kimura/
http://www.museum.cst.nihon-u.ac.jp/archives02.html



――50周年イベント――


977

■企画展「日本初の人力飛行機「リネット」~初飛行から50周年を迎えて~」

・開催期間:2016年2月6日(土)~4月17日(日)
・場:所沢航空発祥記念館
・展:リネット開発メンバーの写真や人力飛行機年表

リネット図面・設計計算書・思い出の品々・1/40の模型・秘蔵映像公開他

・ギャラリートーク:

「リネット」初飛行のパイロット岡宮宗孝氏によるギャラリートーク
2月14日(日)・27日(土)
3月12日(土)・19日(土)
4月3日(日)

・時:14:00~16:00


所沢航空発祥記念館HP
http://tam-web.jsf.or.jp/contx/modules/myalbum5/viewcat.php?cid=1



■航空アート展

・開催日:平成28年3月27日(日)まで。

作業風景から飛行中の機体まで、人力飛行機に関する写真展です。



979

■50周年記念本

「あすも飛ぶ-日本大学理工学部人力飛行機の50年-」

日本大学理工学部航空研究会(著)
製作責任者安部建一
(日本大学理工学部航空研究会監督:非常勤講師)

Amazonにて2016年2月27日初飛行記念日に発売
"50年の歩み"と"各機の開発者が語る"の2部構成。
書名の"あすも飛ぶ"は木村秀政教授の言葉。


PAGE TOP