2017年 大学院理工学研究科 シラバス - 機械工学専攻
設置情報
科目名 | 流体工学特論Ⅰ | ||
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設置学科 | 機械工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 松本 彰 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | F13A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 流体の運動に関係する現象は日常的に非常に多くみられる.例えば,エンジンの燃焼促進, 空気抵抗による自動車や飛行機の燃料消費量の増大,汚染物質の拡散現象による環境汚染等があるが,「目に見えない」部分が多く初学者にとっては困難な科目の1つである.これを踏まえて,この講義では非圧縮性粘性流体の運動の物理的解釈に重点をおき,以下の項目の理解を学習達成目標とする. ①連続体として流体をとらえ,その運動を記述できること.さらに,流体運動に特有な性質である「粘性」の役割を理解すること. ②Navier-Stokes方程式を理解し,具体的な流れ場の速度分布,流量等の諸量を 計算できること. ③境界層の概念を理解し,物体に作用する抵抗を求めることができる. |
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授業形態及び 授業方法 |
板書とプリントを用いた講義形式で行なう.適宜演習を行う. |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
数学(微分積分,線形代数,微分方程式,工業数学入門など)の初歩を修得していること. |
授業計画
第1回 | 流れの運動学 運動学であつかう変数(速度,加速度など)、運動の記述法(ラグランジュ表示とオイラー表示) スカラーとベクトル |
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第2回 | 流れの運動学 ベクトルとテンソル,速度勾配テンソル,歪み速度テンソル,回転テンソル |
第3回 | 粘性流体の支配方程式 質量保存則(連続の式)と運動量保存則(Navier-Stokes方程式)の誘導 |
第4回 | 渦の力学 渦線と渦管,自然渦と強制渦,ケルビンの循環定理,ヘルムホルツの渦定理 渦度方程式の誘導 |
第5回 | Navier-Stokes方程式の厳密解 定常平行流,円筒座標表示によるNavier-Stokes方程式,定常軸対称流 円形クエット流れ |
第6回 | Navier-Stokes方程式の厳密解 非定常平行流,レイリーの第1問題,振動平板による流れ(ストークスの第2問題) |
第7回 | 力学的相似性 次元解析,相似則,相似パラメータ |
第8回 | Navier-Stokes方程式の近似解 遅い流れ,レイノルズ数相似則,ヘルショウ流れ |
第9回 | Navier-Stokes方程式の近似解 球のまわりの遅い流れ,Stokes近似,Oseen近似 |
第10回 | 境界層 境界層とは,渦度の拡散と移流,境界層厚さの定義,排除厚さ,運動量厚さ |
第11回 | 境界層 平板に沿う境界層の解析解 Blasius方程式(非線形方程式)とその解 |
第12回 | 境界層 境界層方程式の積分 Kármánの運動量積分方程式 |
第13回 | 境界層 境界層の剥離,外部流の加速と減速による境界層への影響,境界層制御 |
第14回 | 乱流問題への導入 乱流への遷移,層流の安定性 |
第15回 | 第14回までの授業内容に関する演習と解説 課題の出題 |
その他
教科書 |
使用しない.CSTポータルサイトに講義に関するプリントを掲示する.
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
(1)Hermann Schlichting, Boundary-Layer Theory, McGRAW-HILL BOOK COMPANY, 1979, 7 edition
(2)日野幹雄 『流体力学』 朝倉書店 1992年 第1版
(1)世界的名著であり流体工学を専攻する学生に一読を進めます.
(2)流体力学の入門書です.粘性流体のみならず,完全流体も含む非常に
わかりやすい良書です.
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成績評価の方法 及び基準 |
課題レポートによって3つの達成目標を評価する.100点満点で60点以上を合格とする. |
質問への対応 | オフィースアワーおよびEメールにおいて対応します. |
研究室又は 連絡先 |
メールアドレス:授業中に指示します. |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 12:10 ~ 13:00 関谷研究室,担当者:松本彰
木曜 駿河台 15:00 ~ 16:00 同上
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学生への メッセージ |
非圧縮性流体力学の基本的問題を詳しく解説します. |