2017年 大学院理工学研究科 シラバス - 機械工学専攻
設置情報
科目名 | 熱機関特論Ⅰ | ||
---|---|---|---|
設置学科 | 機械工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 庄司 秀夫 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | F43A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 熱機関は自動車、二輪車、建設機械、船舶、発電機、農業・工業用機械として交通機関、物流、市民生活に重要な役割を果たしている。しかし、省資源の立場、地球温暖化・大気汚染等の地球環境から、更なる熱機関の排気対策技術、高熱効率技術の向上が求められている。最新の熱機関の技術を知り、テーマ毎の背景にある熱機関の燃焼の基礎と制御技術を学ぶ。将来、熱機関分野に進む人だけではなく、工学の広い分野に進む人のためにも熱機関の最新の技術、燃焼、排気対策技術、エネルギー問題を理解して貰えるようにする。 熱機関特論Ⅰ(前期)では、主にガソリンエンジン(乗用車、二輪車、スポーツカー等)、ガソリン・ハイブリッドエンジンを取り扱う。 熱機関特論Ⅱ(後期)では、主にディーゼルエンジン(乗用車、商用車、船舶、発電用)、ガスエンジンを取り扱う。 |
---|---|
授業形態及び 授業方法 |
毎回、テーマ毎の最新の技術論文、熱機関の燃焼に関連する基礎資料を配布して、プロジェクター(Power-point)を利用して授業を進める。必要に応じてテーマの小課題(あるいは中間課題)を出して、レポート提出をして貰う。 最新の技術情報を紹介するた、各実施回の技術論文の追加・変更と紹介テーマの順序変更が生じる場合があります。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
シラバス(授業計画)に紹介する技術論文・資料を毎回、前もって配布するので、関連する技術について調べて、授業に臨むことが臨むことが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 熱機関が物流、交通機関として果たしてきた役割と現状について、最近の日本と世界の自動車産業について、運輸部門(熱機関・内燃機関)の環境対策等についてを「日本自動車工業会発行・日本の自動車工業」の資料等を利用して紹介する。 |
---|---|
第2回 | 世界のエネルギー事情,地球温暖化とCO2削減の課題について。 日本と世界の自動車の排気規制,排気浄化技術,燃費向上技術について。 (例)ガソリンエンジン熱効率追求(ホンダのダウンサイジング)。 (例)ガソリンエンジンの正味熱効率45%達成技術(ホンダ)。 (例)ホンダ Civic TYPE R 搭載の新型2.0L 直列4気筒過給エンジン。 (例)ホンダ 新型3.5L V6 直噴ターボエンジンの開発。 |
第3回 | エンジンに関する基礎知識(その1)、自動車用エンジンに要求される特性,実際のサイクルでの損失要、各種サイクルの特徴、ミラーサイクル/アトキンソンサイクル等について。 ガソリンエンジンの熱効率向上、圧縮比、ノッキング現象、ダウンサイジングについて。 ターボチャージャー技術について。 |
第4回 | エンジンに関する基礎知識(その2)、エンジン燃焼の基礎(混合比、燃焼ガス温度、熱解離)、気筒配列、クランク機構と釣り合い、振動低減機構・バランスシャフト、共鳴過給と慣性過給等技術について。 |
第5回 | 高圧縮比ガソリンエンジン(例・マツダ・SKYACTIV-G 1.3 2.0 2.5等)技術について。 マツダ高圧縮比ガソリンエンジンの燃焼技術の開発。 SKYACTIV--高圧縮比ガソリンエンジンの掃気性改善と触媒早期暖機のための燃焼技術開発について。 高圧縮比ガソリンエンジンの点火前の低温度酸化反応が出力に及ぼす影響。 新型マツダ ロードスター用 SKYACTIV-G 1.5 エンジ。 マツダ CX-5 SKYACTIV-G のエンジン技術。 マツダ新型ガソリンターボエンジン「SKYACTIV-G 2.5T」の開発、新型2.5L ターボチャージャーエンジン制御技術の紹介。 |
第6回 | 可変バルブ機構,最新の直噴ガソリンエンジン/ガソリンターボエンジン(例・日産・MR16DDT、 VK56VD、トヨタ・2AR-FSE(Crown、トヨタ・ESTEC D-4ST 直噴燃焼システム開発。V6 3.5L 2GR-FSE、ホンダ・新型ACCORD 2.4L等)技術について。 トヨタ 新型「2.5L AR系 直噴ガソリンエンジン」の開発。新型2.0L直列4気筒ガソリン直噴過給ダウンサイズエンジン。 |
第7回 | トヨタ ESTEC 2ZR-FXE エンジンの燃費向上技術。 トヨタ 新型HV用1.8L ESTEC 2ZR-FXE エンジンの開発。 トヨタ 新型2.0L 直列4気筒ガソリン直噴過給ダウンサイジング。 日産 新型高効率4気筒1.6L直噴ガソリンターボエンジンの開発。 日産 ダウンサイジング 過給ガソリンエンジンへのLOw-pressure Cooled EGR システムの適用 エンジンの吸気・排気可変システム(例・BMW・Valvetronic、ホンダ・VTEC / i-VTEC,日産・VVE、トヨタ・Valvemati、三菱・MIVEC等)について。気筒休止について。 |
第8回 | 水平対向ガソリンエンジン/ターボエンジン(例・BRZ-86用FA20型,FB形,ターボエンジンFA20(DIT) 221kW-300PS等)技術について。 新開発1.6L水平対向直噴ターボエンジンの開発・紹介(過給ダウンサイジングエンジンの開発 FB16"DIT"、スバル・レヴォーグのすべて。 FB16/20/25型新世代ボクサーエンジン(ロングストローク)。 |
第9回 | スーパースポーツカー用ガソリンエンジン (例) Toyota LEXUS LFA用 LR-GUEV10-560PS, 412kW, 4805cc (例) Honda NSX 507 PS オバーのV6ツインターボエンジン、ホンダ 新型3.5L V6 直噴ターボエンジンの開発。 |
第10回 | 乗用車のアイドルストップ技術(マツダ・i-Stop,トヨタ・Stop & Start System,各社のアイドル・ストップ等)について。 |
第11回 | 小型乗用車用ガソリンエンジン(例・トヨタ・ETIOS 3NR-FE 1197 cc/2NR-FE 1496 cc,日産・HR12DE HR12DDR 3気筒 1193 cc ,スズキ・スイフト用1.2L Dual Jet エンジン等)技術について。 最近のダウンサイジングエンジンについて。 トヨタ 新型直列4気筒 1.2L 過給直噴ガソリンエンジン。 |
第12回 | 軽自動車用ガソリンエンジン(例・ダイハツ・ミラーイース,スズキ・アルトエコ,ホンダ・N-BOX)技術について。 スズキ SUZUKI 新型アルトエコの低燃費化技術。 スズキ 新型[ゴンR] の蓄冷エアコンシステム「エコクール」の開発。 ダイハツ ミラe:Sのすべて。 ホンダ 軽自動車用新型DOHC VTC エンジンの開発。 |
第13回 | 二輪車用エンジン(例・ホンダ・NC700シリーズ,市販ロードレーサーNSF250R,その他)技術について。 ホンダロードレース用エンジンの量産化技術。 ホンダ RC213V-S の開発と新型NSX の高出力に貢献するハイブリッドシステムの熱マネージメント。 |
第14回 | ガソリンハイブリッドエンジン(例・3代目プリウス,アクア,CR-Z,インサイト,フーガハイブリッド等)について。 スバル SUBARU XV HYBRID の紹介。 トヨタ アクアのすべて。 新しいハイブリッドエンジンが紹介されたら追加する予定。 理解度の確認。 |
第15回 | 過給機,その他の補足技術,まとめ,理解度の確認,期末課題レポートの説明。 |
その他
教科書 |
村中重夫 『新訂・自動車用ガソリンエンジン -研究開発技術者の基礎と実際ー』 養賢堂 2011年 第1版
畑村耕一、世良耕太 『自動車エンジンの技術』 ナツメ社 2016年 第1版
畑村耕一 『自動車用エンジン技術がわかる本』 ナツメ社 2009年 第1版
畑村耕一、世良耕太 『博士のエンジン手帖』 三栄書房 2011年 第1版
新岡 嵩 『燃焼現象の基礎』 オーム社 2002年 第1版
石川義和 『自動車用ガソリンエンンジン設計』 グランプリ出版 2015年 第1版
自動車技術会 『自動車技術ハンドブック』 自動車技術会 2015年 第1版
自動車技術会・日本機械学会 『エンジンテクノロジーレビューVol.1, No.1(2009/4)~Vol.2,No.6(2011/2)』 養賢堂 2009年
自動車技術会・日本機械学会 『エンジンテクノロジーVol.1, No.1~Vol.9, No.6』 山海堂 2007年
飯塚昭三 『ガソリンエンジンの高効率化 -低燃費・クリーン技術の考察ー』 グランプリ出版 2012年 第1版
河野通方,藤本 元,角田敏一,氏家康成 『最新内燃機関』 朝倉書店 1995年 第1版
粟野誠一 『内燃機関工学』 山海堂 1989年 第改定版
粟野誠一 『熱力学』 山海堂 1974年 第改定版
古濱庄一 『内燃機関』 森北出版 1997年 第1版
人見光夫、御堀直嗣 『マツダ スカイアクティブエンジンの開発 (増補新訂版)』 三樹書房 2016年 第1版
人見光夫、御堀直嗣 『マツダ スカイアクティブエンジンの開発』 三樹書房 2013年 第1版
浅妻金平 『ターボチャージャの性能と設計』 グランプリ出版 2006年 第1版
DME フォーラム 『DME ハンドブック 』 オーム社 2006年 第1版
授業に必要な重要部分を随時コピーして配布します。
|
---|---|
参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
自動車技術会・日本機械学会 『エンジンテクノロジーレビューVol.1, No.1(2009/4)~No.6(2010/2) 現在まで』 養賢堂 2009年 第1版
廣安博之、寶諸幸男、大山宜茂 『大学講義シリーズ 23改定・内燃機関』 コロナ社 2002年 第改定版1版
自動車技術会・日本機械学会 『エンジンテクノロジーVol.1 No.1 (1999)~Vol.9, No.6 (2007) 現在まで』 山海堂 2007年
自動車技術会 『自動車技術会 シンポジウム 新開発エンジン No.17-15』 自動車技術会 2016年 第1版
鈴木孝幸 『eco テクノロジーへの挑戦 世界初の新型ハイブリッドシステムをつくった男たち』 毎日新聞社 2008年 第1版
吉田幸司、岸本 健、木村元昭、田中勝之、飯島晃良 『基礎から学ぶ熱力学』 オーム社 2016年 第1版
斎間 厚、江良嘉信、増田哲三、庄司秀夫 『基礎 熱力学』 産業図書 2002年 第1版
自動車技術会 『自動車技術会 シンポジウム 新開発エンジン』 自動車技術会 2017年 第1版
金子靖雄 『内燃機関基礎工学』 山海堂 1997年 第1版
各テーマ毎に、国内(特に自動車技術会、日本機械学会、日本燃焼学会)、海外(特にSAE)の技術論文、授業に関係する参考書の重要部分をコピーして資料として提供します。
1. 内燃機関シンポジウム講演論文集,自動車技術会・日本機械学会
2. 自動車技術会・春季、秋季大会・学術講演会前刷集 (1990年~2004年)~現在まで (CD-R)
3. Honda Technical Review Vol.1 (1989年)~Vol.16, No.2 (2004年)~最新号
4. Toyota Technical Review Vol.50, No.1, No.2 (2000年) ~最新号まで
5. 日産技法No.53(2003年)を含め最新号まで。
6. 三菱自動車・テクニカルレビュー No.10 (1998年)~最新号まで。
7. スバル技法 No.27 (2000年)~No.29 (2002年)~最新号まで。
8. 各自動車メーカーの技報(日野自工,日産ディーゼル,いすゞ自動車,マツダ等のテクニカルレビュー)2000年~ 最新号まで。
9.自動車技術会主催シンポジウム(新開発エンジン等)。
10. 最新内燃機関、朝倉書店、河野通方、角田敏一、氏家康成、1996年、第2刷。
11. 基礎・熱力学、産業図書、斎間 厚、江良嘉信、増田哲三、庄司秀、2002年、第14刷
12.燃焼工学ハンドブック、丸善、本機械学会、1995年
13.燃焼生成物の発生と制御技術、テクノシステム、1997年
14.SAE Transactions, SAE International Journal of Engines
15.日本機械学会論文集
15.自動車技術会論文集
16.DMEハンドブック(日本DMEフォーラム編、オーム社)
17.日本燃焼学会誌
18.資源エネルギー年鑑(通産資料出版会)
19.Motor Fan (三栄書房)Vol.1~最新号(Vol.76 2013年2月)~最新号
|
成績評価の方法 及び基準 |
期末課題及び講義中の小課題(あるいは中間課題)のレポートで総合的に評価する。 |
質問への対応 | 講義の前後に428B室 (飯島研究室)と教室で随時受付ます. |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎・4号館428B室(飯島研究室) E-mail: shoji@mech.cst.nihon-u.ac.jp, Tel. 03-3259-0739 |
オフィスアワー |
木曜 駿河台 15:10 ~ 18:00
|
学生への メッセージ |
熱機関の重要な役割と地球環境に優しい熱機関の最新技術を学んで貰いたい。 |