2017年 大学院理工学研究科 シラバス - 量子理工学専攻
設置情報
科目名 |
場の理論特論Ⅰ
場の理論の基礎を学ぶ
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設置学科 | 量子理工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 出口 真一 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | P23B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 素粒子論、原子核理論、物性論、その他の関連分野で重要となる、正準量子化によるオーソドックスな場の量子論を理解する。初めにスカラー場の量子化を学び、それを基にシュレーディンガー場の量子化と多体系の量子論について学習する。また、簡単な摂動計算、ボース・アインシュタイン凝縮、スピンと統計の関係、フェルミ粒子の空孔(反粒子)、電磁場の量子化についても理解を深める。場の理論の学習を通じて、高い計算力を身に付けることも目標とする。 |
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授業形態及び 授業方法 |
あらかじめ公開した講義ノートをもとに、スライドと板書を用いて講義を行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
準備学習として、前回の講義の内容を復習すると共に、次回の講義で予定される項目を把握し、講義ノートの内容をよく読んでわからない箇所をまとめておく。予備知識として、力学、量子力学、電磁気学の初歩的知識を必要とする。 |
授業計画
第1回 | 場の理論を学ぶための準備 -1次元調和振動子の古典論と量子化について復習する。また,量子力学における粒子的描像を理解する。 |
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第2回 | 実スカラー場の古典論 -実スカラー場が満たす波動方程式を解き,スカラー場の古典力学を学ぶ。 |
第3回 | 実スカラー場の量子論 -1次元調和振動子の量子化を参考にして、実スカラー場の量子化を実行する。また得られた結果の物理的な意味を理解する。 |
第4回 | シュレディンガー場の量子論 -シュレディンガー場の展開係数を消滅演算子に置き換えることで,シュレディンガー場の量子化を実行する.また第2量子化の概要を学ぶ. |
第5回 | 多粒子系の量子論 -シュレディンガー場からボース粒子の多粒子系の波動関数を導く.また物質波と確率波の違いについて学習する. |
第6回 | 相互作用するボース粒子系 -相互作用するボース粒子系の定式化を学ぶ。また,それに基づき摂動計算の概要を理解する。 |
第7回 | 摂動計算 -実際に、相互作用するボース粒子系に対する摂動計算を実行する。 |
第8回 | ボース・アインシュタイン凝縮 -ノーマルモードの方法を用いて、実際にボースアインシュタイン凝縮を導く。 |
第9回 | フェルミ的な調和振動子 -反交換関係に従う1次元調和振動子について学ぶ.特に交換関係に従う通常の調和振動子との違いを理解する。 |
第10回 | 反交換関係に従うシュレディンガー場 -反交換関係に従うシュレディンガー場をもとに、フェルミ粒子の多粒子系の波動関数を導く。 |
第11回 | スピン自由度 -スピン自由度について学び、それを取り入れた場合のフェルミ粒子系の多体問題を考察する。 |
第12回 | フェルミ粒子と空孔 -フェルミ粒子の場の理論に基づき、空孔(反粒子)の概念について学ぶ。 |
第13回 | シュレディンガー場のラグランジアン形式 -場の理論のラグランジアン形式の入門として、シュレディンガー場のラグランジアン形式について学習する。 |
第14回 | 電磁場の古典論 -スカラーポテンシャルとベクトルポテンシャルで表現された電磁場の古典論を復習する。 |
第15回 | 電磁場の量子化 -クーロンゲージを採用して、電磁場の量子化を実行する。また、光子の概念が自然に導かれることを学ぶ。 |
その他
教科書 |
特に指定の教科書はない。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
F. Mandl and G. Shaw, Quantum Field Theory, A Wiley Interscience Publication, 1993, 2 edition
武田暁 『場の理論』 物理学選書21 裳華房 1992年 第2版
九後太一郎 『ゲージ場の量子論Ⅰ』 新物理学シリーズ23 培風館 1989年 第1版
藤川和男 『ゲージ場の理論』 現代物理学叢書 岩波書店 2001年 第1版
江澤潤一 『量子場の理論(素粒子物理から凝縮系物理まで)』 現代物理学(基礎シリーズ)5 朝倉書店 2011年 第4版
磯 暁 『現代物理学の基礎としての場の量子論』 KEK物理学シリーズ 共立出版 2016年 第2版
参考書のいずれか1つで授業内容のすべてをカバーしているわけではない.あくまでも授業の一部を補足する参考書として考えてほしい.
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成績評価の方法 及び基準 |
期末に提出するレポートの内容、出席状況、授業における質問などの積極性を考慮して成績を評価する。 |
質問への対応 | 基本的には、各週の授業終了後を質問の時間とする。授業終了後に時間が取れないときは、代わりの時間を設ける。 |
研究室又は 連絡先 |
研究室: (出口)453A号室 E-mail: deguchi@phys.cst.nihon-u.ac.jp TEL: 03-3259-0867 |
オフィスアワー |
火曜 駿河台 12:00 ~ 13:00 4号館5階453A室
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学生への メッセージ |
場の理論特論Iでは場の正準量子化を講義し、場の理論特論Ⅱでは藤川先生に場の経路積分量子化を講義していただく予定です。 |