2020年 大学院理工学研究科 シラバス - 物理学専攻
設置情報
科目名 | 生物物理学特論 | ||
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設置学科 | 物理学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 小松崎 良将 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜1 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M31A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 聴講者が自身の研究に生かせるよう、脳・神経系や神経細胞の機能を理解するために必要な知識・ノウハウについて学び、最新の神経科学研究についての学術論文を概説できることを学習目標とする。 |
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授業形態及び 授業方法 |
講義形式。 本講義では毎回資料を配布して、シラバスの内容の講義を行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
学部授業「生物概論」および「生物物理学」を受講していることが望ましい。細胞生物学の基礎的な知識があることを前提に授業を進めるので、「細胞の分子生物学」(ニュートンプレス)などを一読しておくこと。 |
授業計画
第1回 | 生命と物理学:物理学がどのように生命現象をとらえ理解してきたか、その歴史的観点から講義を行う。また本講義の今後の授業指針についても紹介する。 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
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第2回 | 生物物理学導入:生体膜と脂質分子の動態 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
第3回 | 生物における物理化学:生物の様々な物理化学現象。生命の化学・光・力学的エネルギー利用法について。 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
第4回 | ニューロン(神経細胞、neuron)、グリア細胞、筋細胞などのシグナル伝達分子:感覚受容器、神経伝達物質(neurotransmitters)と神経調節物質(neuromodulators)。電位依存性イオンチャネルとリガンド依存性イオンチャネル(受容体チャネル)。ギャップジャンクションとコネキシン。 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
第5回 | 様々なモデル系:in vivoや、in vitro、組織スライス系、組織培養系における研究。遺伝子操作細胞、培養細胞などの細胞系における分子機構。人工脂質二重膜系。 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
第6回 | ニューロン特異タンパク質、核酸やその複合体における構造と機能:X線回折法、NMR分光法、電子線トモグラフィーなどを用いた構造生物学。 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
第7回 | 神経特異的タンパク質の相互作用:タンパク質-タンパク質間相互作用。タンパク質の動力学。生体膜界面の生物物理学。 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
第8回 | 生体膜融合の生物物理学:神経伝達物質の放出機構。シナプス小胞のシナプス前膜への融合(エキソサイトーシス)と回収(エンドサイトーシス)。SNAREタンパク複合体。クラスリン。 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
第9回 | 神経機能における生物物理学:神経機能のモデリング、シナプス統合とスパイクエンコーディング。細胞・分子レベルでの数理モデリング。神経細胞膜と膜たんぱく質に対する理論的・数理解析研究法 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
第10回 | 神経細胞膜・膜タンパク質の電位依存性、リガンド依存性およびイオン選択性:パッチクランプ法などのニューロンの電気生理学的研究法。薬理学的手法を用いて分子を制御(活性化、不活性化)する。 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
第11回 | セカンドメッセンジャー:Gタンパク質やその他の酵素制御分子について。環状ヌクレオチド(cAMP、cGMP)と脂質代謝物、カルシウムイオン。それらに関連する細胞内シグナル伝達(リン酸化酵素(kinases)、リン脂質分解酵素(phosphatases)、脱リン酸化酵素(phospholipases))。 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
第12回 | 神経・シナプス可塑性:細胞レベルでの記憶のメカニズム、長期可塑性(LTP, Long-term potentiation)・長期抑制(LTD, Long-term depression)。海馬・小脳の神経ネットワーク。 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
第13回 | 脳機能イメージング:脳の局所領域におけるイメージング方法、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)、PET(ポジトロン断層法)、EEG(脳波)。膜電位感受性色素やCa2+感受性色素を用いた神経細胞レベルでのイメージング法。 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
第14回 | 高次脳機能とその神経回路網:様々な精神疾患に関わる神経回路。 【事前学習】指定の参考資料の該当箇所を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
第15回 | 生物物理学の観点から神経科学研究最前線の研究について紹介し、その内容について議論・討論を行う。 【事前学習】本講義で配布した資料を熟読し、理解できない箇所は質問できるようにまとめておくこと。(120分) 【事後学習】本講義内容を学生間で議論し発表できるようにしておくこと。(120分) |
その他
教科書 |
特に指定はしない
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
宮川博義・井上雅司 『ニューロンの生物物理』 丸善 2013年 第2版 Eric Kandel, James Schwartz, Thomas Jessell, Principles of Neural Science, McGraw-Hill Professional, 2012, 5 edition
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成績評価の方法 及び基準 |
レポートにより評価する |
質問への対応 | 授業終了後に教室で質問を受け付ける |
研究室又は 連絡先 |
授業中に指示する |
オフィスアワー |
金曜 駿河台 12:10 ~ 13:20 7号館742C
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学生への メッセージ |