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- 教えて先輩 Back number 2021
- 活躍する卒業生 小野加愛
活躍する卒業生
大学院生時のゼミ旅行で熊本県にある宇土市立宇土小学校を見学した際、公立でありながら従来の小学校にはない、とてもオープンで自由な建築に興味を惹かれたこと。当時自分が研究テーマにと考えていたスケルトンインフィル※1の答えに近いのではないかと思ったこと。この二つの理由から、小学校の設計者であったシーラカンスアンドアソシエイツに在学中からトライアルという形で通い、入社を決めました。
これまで携わった仕事で印象深いのは、岩手県にある「釜石市民体育館」の設計です。普通体育館は閉じた空間になりますが、釜石市民体育館の目の前には大きな駐車場があり、将来的にイベントなどで使用できないかという提案をさせていただきました。それを叶えるにはどうしたら良いかを考えた時、体育館内と駐車場を一つの空間として使用できたら良いのではないかと思い、開放可能な折れ戸を設け、外からでもすぐに館内にアクセスできるよう仕上げました。建築の機能を一つの目的に留めず、機能の兼用や内だった空間が外に変わるなど、自由に使える場所を残すというのが私たちの考えです。その方針を表した、機能的かつ開放的な建築になったと思っています。苦労した面は多々ありましたが、クライアントや施工者など一緒に協力してきた人々と喜びを分かち合えたことはもちろん、「新建築(2020年3月号)」にも掲載していただき、諦めずに走り抜けて良かったなと思います。たくさんの人の笑顔があふれる場所となったら、とても嬉しいです。
※1 柱や梁などの部分と、内装や設備などを別々に作る工法。
私は大学2年生の時に「スーパージュリー※2」に出場し、倉方俊輔賞をいただきました。そこで得た「何かを勝ち取るための闘争心」は、数多の中で埋もれない自分らしさとは何かを考えるきっかけとなりました。その過程で身についた情報収集力や表現力は、現在の仕事にとても役立っています。また、卒業生の多さや建築の専門分野に特化した先生方との出会いは大きな糧です。卒業生の方や先生方と一緒に仕事をする機会もあり、日大で結ばれた絆が社会に出てからもつながっていることに、安心と頼もしさを覚えました。様々なものを与えてくれた理工学部の環境は、とても贅沢なものだったと改めて実感しています。
※2 学外よりゲストを招き、学年を超えて課題の優秀作品の講評を行う総合講評会。