二酸化炭素排出による地球温暖化は重大な環境問題であり、また石油の枯渇も重要なエネルギー問題です。この解決方法として、ガソリンエンジンに替わる電気自動車やハイブリッド自動車が徐々に普及していますが、電気自動車は重い重量を長距離にわたって運搬するトラックやバスには不向きであり、まだエンジンが必要です。そこで、バイオ燃料であるココナッツオイルをディーゼルエンジンの燃料に活用する研究を進めています。バイオ燃料は植物の光合成によって生成され、空気中の二酸化炭素を原料とするため、大気中の二酸化炭素を増加させることがありません。また、植物の栽培を続ければ、絶えることなくバイオ燃料を生産することができます。バイオ燃料には、ココナッツの他にも大豆、トウモロコシ、菜種油などがありますが、ココナッツに着目した理由は、ココナッツが主に東南アジアで生産される点にあります。ココナッツオイルが本格的にエンジンの燃料として使用されれば、東南アジアの貧困地域に新しい産業を生み出すことができ、環境問題と経済問題を同時に解決することが期待できます。このココナッツオイルをエンジン燃料として利用した研究についてお話します。

吉田 幸司

フィリピンのココナッツ農園実験用エンジン