ゴールドの科学(局在表面プラズモン共鳴)
電気工学科
皆さんがゴールド(Au)と聞いてイメージするものは『金閣寺』や『金塊(お宝)』といった『黄金色』のものだと思います。それに対して私たちの研究グループで注目しているのが『赤・緑・青色』のAuです。これは『局在表面プラズモン共鳴』によるもので,Auが数十ナノメートル(1ナノメートル:10億分の一)程度のナノ微粒子になると特徴的な光吸収を発現します。一般的にAuナノ微粒子は局在表面プラズモン共鳴によって波長550ナノメートルの緑色の光を吸収し,赤色に見えます。この現象のオモシロいことは,複数のAuナノ微粒子がナノスケールで近接したり,形状が変化したりすると,光の吸収波長が550ナノメートルよりも大きくなることです。これによってAuが緑色や青・紫色に見えるようになります。私の出張講義では,局在表面プラズモン共鳴によって様々な色を持つAuを紹介するとともに,原子間力顕微鏡によって実際に撮影したAuナノ微粒子の画像と色の相関関係について講義します。またAuナノ微粒子の生成方法として,私たちの研究室で採用している『パルスレーザー堆積法』について説明します。そして局在表面プラズモンによって期待される最新の科学技術と,これが切り開く未来について紹介します。