日本大学理工学部

Step2

鉄が磁石になるのはなぜか?

物理学科

物質によっては磁場を外から加えなくても磁気モーメントを持つ物質があります。それは永久磁石になれる物質で、物理学では強磁性体と呼ばれています。銅や銀などたいがいの金属は電磁石による磁場中に入れると磁気モーメントを持ちますが、電磁石の電源を切って磁場がなくなってしまうとたちまち磁気モーメントを失ってしまいます。一方、強磁性体は電磁石の電源を切っても磁気モーメントを持ちつづけます。元素単体では、鉄、コバルト、ニッケルだけが強磁性体になることができるのです。物質の磁性の源は電子です。電子は小さな電荷を持つと同時に磁気モーメントを持つ小さな磁石です。集まった電子たちの磁気モーメントがみんなそろえば大きな磁気モーメントを持つ磁石ができ、ばらばらならば磁石にはならないのです。なぜ、鉄、コバルト、ニッケルの電子たちの磁気モーメントはそろい、他の金属ではそろわないのでしょうか。それを説明するには、量子力学という電子たちの従う力学によって電子同士に働く電気的反発力と原子核から電子たちに働く引力をあつかわなければならないのです。この講義では,始めに量子力学によって化学で勉強する元素の周期表をどう理解するかを説明します,その後,「鉄が磁石になるのはなぜか」と言う素朴な疑問に現代の物理学が答えられるかどうか見ることにしましょう。

糸井 千岳
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