日本大学理工学部

Step2

不可逆性の熱力学と統計力学

物理学科

もとにもどらない変化を不可逆変化といいます.変化の不可逆性は,だれしも日常生活で経験しています.熱いお湯は放置すると冷めますが,放置することによってより熱くなることはありません.水に食塩を入れてかき混ぜると食塩水になりますが,食塩水をかき混ぜても水と食塩に分離することはありません.熱力学という物理学では,変化の不可逆性という性質に対して実験結果に基づいた法則が確立されています.たとえば,熱力学の第2法則は,燃料を燃やすことなしに空気中のエネルギーを使って動くエンジンが作れないことを示しています.一方,力学的な過程はすべて可逆なので,気体粒子などの不可逆性を力学で理解するのは難しいのです.この講義では,気体のようにたくさんの粒子を,統計力学という方法により熱力学的な性質を解説します.エネルギー保存則に対応する熱力学第1法則や理想気体の状態方程式が,力学から導かれることを解説します.さらに,不可逆性にかかわる熱力学第2法則について,気体の不可逆的な性質を粒子の力学からどのように理解するかを考えてみたいと思います.

糸井 千岳
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統計力学による不可逆過程の説明

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