2016年 大学院理工学研究科 シラバス - 機械工学専攻
設置情報
科目名 | 流体工学特論Ⅱ | ||
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設置学科 | 機械工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 松本 彰 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | E13B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 工学的に興味のある流体現象はほとんどが乱流である.例えば,乱流拡散による燃焼の促進 ,高速航空機の境界層の乱流化に伴う摩擦抵抗の増大,拡散現象による大気汚染等がある.乱流運動の解釈を困難にしているのは決定論的議論が不可能で統計的な手法を取り入れなければならないことである.これを踏まえて,この講義では非圧縮性乱流を簡単なモデルを使って,物理的解釈が容易になるようにした.以下の項目の理解を学習達成目標とする. ①乱流はランダム過程である. ②乱流は広範囲の異なるスケールを含む. ③乱流は高レイノルズ数で生じる. ④乱流はエネルギーを散逸する. ⑤乱流は3次元の渦変動である. ⑥乱流の強拡散性である. |
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授業形態及び 授業方法 |
板書とプリントを用いた講義形式で行なう.適宜演習を行う. |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
流体工学特論Ⅰを履修していることが望ましい. |
授業計画
第1回 | 乱流の性質,乱流における統計手法 確率密度関数,確率分布の特性(モーメント,キュムラント) |
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第2回 | 乱流中の運動量輸送 レイノルズ分解,乱流の運動量方程式(レイノルズ方程式),レイノルズ応力,混合長モデル |
第3回 | 乱流運動の維持のメカニズム 平均流の運動エネルギーから変動運動エネルギーへの変換 乱流の生産と散逸 |
第4回 | エネルギー・カスケード Kolmogorovのマイクロスケール,局所等方性 |
第5回 | 乱流の渦運動 渦度方程式とレイノルズ応力の関係 |
第6回 | 乱流の渦運動 渦度の強さ,エンストロフィー方程式 |
第7回 | 第1回から第6回までの授業内容に関する演習と解説(1) |
第8回 | 剪断乱流 壁面乱流,平行平板間の流れの内層・外層の速度分布 |
第9回 | 剪断乱流 壁面乱流,円管内の乱流,内層・外層のエネルギー収支,実験結果との比較 |
第10回 | 剪断乱流 自由乱流,ファーウエーク(伴流)の運度量方程式とレイノルズ応力 |
第11回 | 剪断乱流 自由乱流の自己保存性,乱流噴流 |
第12回 | 乱流のスペクトル解析 相関テンソルとエネルギー・スペクトル,波数空間 |
第13回 | 乱流のスペクトル解析 エネルギー・スペクトルによる渦モデル,大スケール渦から小スケール渦へのエネルギー伝達 |
第14回 | 乱流のスペクトル解析 普遍平衡領域のエネルギー・スペクトル,エネルギー・スペクトルの伝播方程式 課題の出題 |
第15回 | 第8回から第14回までの授業内容に関する演習と解説(2) |
その他
教科書 |
使用しない.講義に関するプリントをCSTポータルサイトに掲示する.
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
(1)H. Tennekes and J.L. Lumley, A First Course in Turbulence, The MIT Press, 1989, 12 edition
(2)J.O. Hinze, Turbulence, McGRAW-HILL BOOK Company, 1975, 2 edition
(1)乱流の入門書です.
(2)少し高度ですが,非常に丁寧に書かれた名著です.
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成績評価の方法 及び基準 |
課題レポートによって学習達成目標を評価する.100点満点で60点以上を合格とする. |
質問への対応 | オフィースアワーおよびEメールにて対応します. |
研究室又は 連絡先 |
メールアドレス:授業中に指示します. |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 12:00 ~ 13:00 関谷研究室 担当者:松本彰
木曜 駿河台 15:00 ~ 16:00 同上
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学生への メッセージ |
非圧縮性乱流の基礎を講義します. |