2018年 短期大学部 シラバス - 生命・物質化学科
設置情報
科目名 | 高分子科学 | ||
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設置学科 | 生命・物質化学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 澤口 孝志 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜2 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | K22F |
クラス | |||
学科ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 人類の歴史以来,天然に産生する木材などの天然高分子が利用されてはいたものの,それら が巨大分子からなることが認識されたのは,20世紀初頭である.比較的構造が明確な低分子量化合物を共有結合で繰り返し繋げていく,いわゆる重合反応により生成する物質を合成高分子という.このような高分子の概念が提案されほぼ97年を経たが,その生産量は今では体積で金属を凌いでいる.高分子とはどのようなものかを解説する. |
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授業形態及び 授業方法 |
講義形式(演習を実施する) |
履修条件 | 選択 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容 |
身の回りに溢れかえるほど存在する,高分子を材料にした製品が如何なる高分子素材でつくられているか調べて下さい.テキスト1~19頁までが基本的な授業範囲ですが,下記授業計画により具体的な内容を記載しているが,先ずは授業中にテキストの関連する章などを明示するので授業毎に読んで復習して下さい. |
授業計画
第1回 | 高分子科学の学問領域について,化学が科学(Science)としての基礎学問と得られた知見が即実社会に役立つ技術(工学:Technology)を併せ持つことをベースに論じる. |
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第2回 | 高分子の歴史:高分子の科学技術史を分類し,カテゴリー毎にその時代での役割から位置づけ,いかにして発展し,未来をどう見据えてるかを学び,「高分子の歴史に学ぶ」レポート提出を課す. |
第3回 | 高分子とは何か:例えばエチレンを1000個以上共有結合で繋いだ巨大分子のことを高分子と名付けられたのは,20世紀初頭であり,石油の発見と同時期であり石油の申し子とも言われている. |
第4回 | 古来より天然に産生していた天然高分子に始まり,コロンブスが持ち帰った天然ゴムやセルロースの部分的化学反応による改質を経て人工的につくる合成高分子などを系統的に分類し紹介する. |
第5回 | 高分子の特徴:より化学的側面から高分子の特徴を明らかにする.高分子化合物は分子量(相対モル質量)の異なる高分子成分の混合物から成る本質的な多様性を有する. |
第6回 | 分子量分布と平均分子量1:結局,分子量の異なる成分の混合物には分子量に分布が生じる.分子量は平均値として求めることになる.計算式の考え方を学ぶ.高分子を好きになれるか分かれ目の授業. |
第7回 | 分子量分布と平均分子量2:平均分子量計算の例題を通して,分子量分布の表し方とその考察について理解していただく. |
第8回 | モノマー(構造の明確な低分子量化合物)を共有結合で繋ぐとき生成する一次構造に違いが生まれると同時に立体構造が決まる.これは高分子の物性に著しい影響を与えることを学ぶ. |
第9回 | 高次構造と立体配座:共有結合(単結合)は,結合周りで内部回転する.分子内に数多く存在する単結合は内部回転にするので,高分子鎖の形を変幻自在に変える.分子形の多様性を学ぶ. |
第10回 | 高分子の原料1:高分子の発展は石油に支えられてきたが,高度に発達した物質文明は,地球環境問題を引き起こした.石油資源の枯渇問題から物質材料の資源をいかに確保するか問題を提起する. |
第11回 | 高分子の原料2:地球温暖化の主因とされるGHGを削減するために,グリーンケミストリーの概念に基づく高分子原料の確保が検討されている.21世紀におけるプラスチックの位置づけを再考する. |
第12回 | 高分子の用途:高分子を用途別に分類したとき,見えてくる新規高分子材料の開発の方向について提案する. |
第13回 | 高分子合成の分類と特徴1:合成高分子を製造するための代表的な重合反応様式である連鎖重合の分類と生成する高分子を体系的に紹介する. |
第14回 | 高分子合成の分類と特徴2:合成高分子を製造するための代表的な重合反応様式である逐次重合の分類と生成する高分子を体系的に紹介する. |
第15回 | 20世紀初頭に提唱された高分子なる化合物が,それ以後社会にもたらした明暗を総括し,21世紀への展望を議論できるよう問題提起する. |
その他
教科書 |
妹尾 学,栗田公夫,矢野彰一郎,澤口孝志 『基礎 高分子科学』 共立出版 2000年 第1版
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参考書 |
「ポリマーサイエンス-高分子のふしぎな世界」「ニューポリマーサイエンス-高分子のふしぎな働き」高分子学会編集,他多数有り.図書館,書店探索して下さい.
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成績評価の方法 及び基準 |
理解度確認試験(80%),授業への取り組み状況および平常試験(20%)により評価する。 出席が総授業時間数の3/5に満たない場合は、履修放棄として取り扱い、成績の査定は行いません。 |
質問への対応 | 講義中に対応します。 |
研究室又は 連絡先 |
E-mail: sawaguchi.takashi@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
日常生活になくてはならない材料,それが高分子材料(プラスチック,ゴム,繊維,接着剤,塗料など)です.興味を持てるかが,理解の分かれ目.興味を持ってください. |