2018年 大学院理工学研究科 シラバス - 交通システム工学専攻
設置情報
科目名 | コンクリート工学特論 | ||
---|---|---|---|
設置学科 | 交通システム工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 鈴木 圭 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | B33B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 鉄筋コンクリートならびにプレストレストコンクリートの発明から現在までの発展の経緯を学び、インフラ整備に重要な役割を果たしていることを理解し、交通計画、道路計画、および交通ステム維持管理計画等を策定する場合の基本知識を習得します。(自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
---|---|
授業形態及び 授業方法 |
配布資料やパワーポイントを中心とした講義・演習を中心として、理解度を確認するミニレポートを実施します。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
予習として1時間。教科書と配布資料を事前に読み、理解すること。復習として1時間。パワーポイントの内容を理解する。 |
授業計画
第1回 | 鉄筋コンクリート(RC)・プレストレストコンクリート(PC)の歴史と展望(1) 道路構造物の基本的な材料である鉄筋コンクリート(RC)の起源を明らかにし、どのように道路構造物に応用されていったのか、当時の新材料が社会に認知され、広範囲に使われるための規準化と実験、及び広報の方法について学ぶ。第1回は、現在の橋梁構造物の事例を紹介し、そのプロセスと鉄筋コンクリートの歴史を学ぶ。(自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
---|---|
第2回 | 鉄筋コンクリート(RC)・プレストレストコンクリート(PC)の歴史と展望(2) 道路構造物の基本的な材料であるプレストレストコンクリート(PC)を使ったPC橋梁と施工法を理解する。スイスのエンジニアであるロベール・マイヤールの作品を紹介し、新材料である高強度コンクリートを使ったことを確認する。さらに、PCの先駆者の業績を学ぶ。第2次大戦、EU統一によって、どのように指針、環境が変わっていったのかを理解し、今後の日本におけるRCとPCの展望を考える。(自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
第3回 | コンクリート構造物の特徴(1) 土木学会における最新の示方書(設計方法)の体系として、土木構造物共通示方書(性能・作用編と基本編/構造計画編)について学ぶ。また、具体的の事例としてAKIBA BRIDGEを学ぶ。(自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
第4回 | コンクリート構造物の特徴(2) 土木学会のコンクリート標準示方書の歴史を学び、本編を中心として、道路構造物を事例として材料の設計値、荷重、耐久性・安全性について学ぶ。2012年版の示方書の改定の特徴を理解し、基本原則編と設計編について学び、具体的な事例として、浮庭橋の事例を学ぶ。 (自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
第5回 | コンクリート構造物の特徴(3) コンクリート標準示方書の本編を中心として、使用性・耐震性・初期ひび割れに対する詳細、及び鉄筋コンクリートの構造細目等について学ぶ。(自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
第6回 | プレストレストコンクリート構造物の特徴(1) 高速道路のPC構造物、新旧の高速道路の走行景観の違いを理解する。コンクリート標準示方書2012年版の改定事項を理解する。具体的な設計事例として、池田へそっ湖大橋の設計事例を学ぶ。(自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
第7回 | プレストレストコンクリート構造物の特徴(2) プレストレストコンクリートの定着工法、PC橋のタイプ、道路橋示方書の最新情報について学ぶ。Ⅲコンクリート橋編を中心に、設計の基本、許容応力度、部材の照査について学ぶ。(自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
第8回 | プレストレストコンクリート構造物の特徴(3) 橋梁形式と造形的な特徴を理解し、風景との関係を理解する。 アンケートを通じて、一般生活者の考え方知る。2径間のPRC道路橋を事例にして設計方法を学ぶ。(自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
第9回 | PC道路橋の設計(1) PRC橋の設計事例を中心に、構造解析の事例といて、荷重の載荷、最小鋼材量、プレストレス力について、学ぶ。(自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
第10回 | PC道路橋の設計(2) PRC橋の設計事例を中心に、使用限界状態、疲労限界状態、終局限界状態に関する検討を学ぶ。チェコの橋梁のデザイン事例を学ぶ。(自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
第11回 | PC道路橋の設計(3) イタリアの橋梁の実施事例を学び、PRC橋の設計事例のうち、使用限界状態設計法のうち、 ひび割れ幅の検討、疲労限界状態の検討を学ぶ。(自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
第12回 | PC道路橋の設計(4) 明治期に活躍したエンジニアについて学び、現在の道路交通システムにかかわる国の方策について学ぶ。橋梁の具体事例として、浮庭橋について学ぶ。(自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
第13回 | 道路構造物(橋・トンネルの維持・管理)(1) PC道路橋計画について、橋梁タイプとコストを試算する。 ドイツにおける歴史的構造物の保存事例と欧州の橋梁景観の考え方について学ぶ。 (自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
第14回 | 道路構造物(橋・トンネルの維持・管理)(2) EUの統一設計指針の1つである Euro code2(コンクリート橋編)と日本の道路橋示方書との設計の違いについて学ぶ。 (自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
第15回 | 道路構造物(橋・トンネルの維持・管理)(3) コンクリート工学特論のまとめとして、エンジニアリングについて、その歴史を振り返り、東北大震災に対してエンジニアは、どのように対応すべきかを考える。事例として、エアーブリッジ構想を紹介し、自らが対策を考えることに重要性を理解する。(自己学習時間:予習1時間、復習1時間) |
その他
教科書 |
鈴木 圭 『橋梁デザインの実際』 コロナ社 2018年
橋梁デザインの実際について、紹介していますが、鉄筋コンクリートの歴史、スイスのロベール・マイヤールの設計思想及び作品の紹介から、AKIBA BRIDGE、池田へそっ湖大橋、浮庭橋の設計事例までを詳細に解説しています。
|
---|---|
参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
『土木構造物共通示方書 基本編/構造計画編 』 土木学会 2016年
『コンクリート標準示方書 設計編 2012年版』 土木学会 2012年
『コンクリート標準示方書 施工計編 2012年版』 2012年
『PRC橋の設計』 技法堂出版 1993年
宮澤伸吾ほか 『基礎から学ぶ 鉄筋コンクリート工学』 朝倉書店 2006年
Yannick Sieffert, LE BÈTON ARMÈ SELON LES EUROCODES 2, DUNOD, 2010
Bridge design according to Eurocodes Worked Exsample, European Commission, 2012
Wolfgang Rossner 他 『Spannbeton bauwerke Teil 4: Bemessungsbeispeiele nach Eurocode 2』 Ernst & Sohn 2012年
参考資料は適宜、授業の時に配布する。
|
成績評価の方法 及び基準 |
レポート(100%)で評価します。 |
質問への対応 | 質問は授業中もしくはメール、あるいはオフィスアワーにて対応します。 |
研究室又は 連絡先 |
構造デザイン研究室 7号館7110室 Tel. 047-469-5241 E-mail. suzuki.kei@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 12:20 ~ 13:00 後期のみ
|
学生への メッセージ |
土木技術者にとって最低限必要な歴史知識が身につくとともに、自分の進む道が位置づけられるかも知れない。また個別に学んでいる科目や知識を総体的・総合的に学べる。また数理的なアプローチではなく、論理的、社会科学的な思考方法の出発点を学ぶことができる。 |