2018年 大学院理工学研究科 シラバス - 物質応用化学専攻
設置情報
科目名 |
化学工学特論Ⅱ
熱力学からプロセス設計まで
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設置学科 | 物質応用化学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 大場 茂夫 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜3・4 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | L53A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 化学系エンジニアとして必要な熱力学、化学工学、及び情報技術の実践的な応用力習得を目的とする。複雑な問題を可視化し、論理的思考により明確な結論を導く方法論について、Excelやプロセスシミュレータなどのソフトウェアを使用しながら習得する。第2回~第7回は、非理想系物性計算の方法から、2成分系気液平衡、液々平衡、及び3成分系液々平衡のデータを使用し、活量係数式パラメータを回帰決定し、推算精度を検証する方法を演習を通じて学ぶ。 第8回~第15回は、メタノール蒸留塔設計をプロセスシミュレータを使用し行う方法を学ぶ。段数最適化、使用エネルギ最適化等のシミュレータを使用した最適化設計法について学び、コスト計算を行って装置設計と経済性の関係を学ぶ。 |
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授業形態及び 授業方法 |
実際にエンジニアリングで使用されてるプロセスシミュレータとして、米国 AspenTech社のAspen Plusを使用し、プロセスモデリング、プロセス最適化の方法を演習を通じて学ぶ。 講義日程は、2~15回は、2コマ連続して行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
一般的な化学工学計算(物質収支、熱収支)及び相平衡計算等の熱力学。 |
授業計画
第1回 | 講義の狙いと概要 物性計算から蒸留プロセス設計; 蒸留塔設計に使用される物性値について説明し、物性計算から、個々の蒸留塔設計に至る講義概要を説明する。 |
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第2回 | 非理想系物性計算(1)非理想系気液平衡計算 ; 共沸蒸留塔設計に使用される非理想系相平衡の特徴、実際の計算方法、及び計算に必要な情報について説明する。 |
第3回 | 非理想系物性計算(2)非理想系気液平衡モデル構築 ; 非理想系気液平衡計算の為の物性モデル構築法を解説し、実際に気液平衡データを使用し物性パラメータ回帰法を学ぶ。 |
第4回 | 非理想系物性計算(3)液々平衡計算 ; 共沸蒸留プロセス設計に必要な液々及び気液々平衡計算の方法について学ぶ。 気液平衡とは異なる液々平衡固有の問題点について解説し、適切な物性モデル選択や計算上の注意点を解説する。 |
第5回 | 非理想系物性計算(4)液々平衡モデル構築 ; 液々平衡計算に必要な活量係数モデルパラメータを回帰する方法を解説し、実際に液々平衡データを使用し液々平衡データを相関する方法を学ぶ。 |
第6回 | 非理想系物性計算(5)3成分系相平衡 ;共沸蒸留では、3成分系気液平衡や気液々平衡計算が重要であり、構成2成分系モデルの組み合わせで計算する場合の問題点と改善方法について解説する。 |
第7回 | 非理想系物性計算(6)3成分系液々平衡モデル構築 ; 3成分系気液平衡や気液々平衡計算を行うための物性モデル構築法を解説し、実際に3成分系気液平衡データや共沸点データを使用して物性パラメータ回帰法を学ぶ。 |
第8回 | 蒸留塔設計(1)蒸留塔設計法; 様々な蒸留分離を解説しながら、蒸留塔設計の原理と実際の方法について解説する。 |
第9回 | 蒸留塔設計(2)蒸留塔モデル作成; 蒸留塔設計に用いるプロセスシミュレーションモデルを、メタノール脱水塔を例としてプロセスシミュレータとしてAspen Plusを使用し作成する。 |
第10回 | 蒸留塔設計(3)設計型計算法;Aspen Plusで設計型計算法を使用し分離スペックを満足する還流比を求める方法を学ぶ。 |
第11回 | 蒸留塔設計(4) 蒸留塔直径の決定;Aspen PlusでHydraulics計算を行い、蒸留塔トレイ性能評価や塔直径を求める方法を学ぶ。 |
第12回 | 蒸留塔設計(5)蒸留塔フィード段位置の最適化; Aspen Plusの感度解析で蒸留塔フィード段位置を最適化する方法を学ぶ。 |
第13回 | 蒸留塔設計(6)蒸留塔段数の最適化; Aspen Plusの感度解析で蒸留塔段数と還流比の関係を作成し、設計点を決定する方法を学ぶ。 |
第14回 | 蒸留塔設計(7)蒸留塔熱利用最適化; Aspen Plusで蒸留塔熱利用解析を行い、熱利用の最適化を行う方法を学ぶ。 |
第15回 | 蒸留塔設計(8)蒸留塔コスト計算; Aspen Plusで設計した蒸留塔のコスト計算を行い最適設計を行う方法を学ぶ。(リポート課題の提示) |
その他
教科書 |
教科書として指定する書籍は用意しない。資料を作成し配布する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
特になし。
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成績評価の方法 及び基準 |
授業中の課題レポート、最終回終了時の課題レポートの作成と提出。 |
質問への対応 | 授業中の質問は、その場で答えられる場合には、その場でお答えします。また授業後の質問は、その場で答えられなかった質問の回答も含め、e-mailで行う。 |
研究室又は 連絡先 |
株式会社 応用物性研究所 大場茂夫 e-mail : support@at-pp.co.jp 尚、e-mailの表題に、必ず大学、学部、学籍番号、氏名を明記すること。 |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
今年度も講義内容の大幅改善を行った。特にシミュレータソフトウェア使用に関し時間を多く取り、より理解が深まり、かつ物性測定研究への活用にも配慮した。 |