2018年 大学院理工学研究科 シラバス - 物理学専攻
設置情報
科目名 | 磁気流体力学Ⅰ | ||
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設置学科 | 物理学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 長山 好夫 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜1 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M51A |
クラス |
概要
学修到達目標 | プラズマを専攻する大学院生の常識集でもある「F.F. Chen "Introduction to Plasma Physics and Controlled Fusion"」の内容を理解する。重要な式は導出できるようにし、基本的な電磁流体力学の概念を理解する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
講義 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
予習:教科書を読む 復習:教科書の式の導出をフォローする 予備知識:電磁気学や解析学(偏微分方程式) |
授業計画
第1回 | 序論: 温度の定義 デバイ遮蔽 荷電粒子の運動 |
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第2回 | 荷電粒子の運動: 磁場なしの運動 磁場中の運動 重力場中の運動 |
第3回 | 荷電粒子のドリフト: 磁場勾配によるドリフト 湾曲磁場によるドリフト、磁気ミラー 時間変化する電場中、磁場中の荷電粒子の運動 |
第4回 | 電磁流体力学: 電磁流体力学方程式 磁性体としてのプラズマ 運動方程式、圧力、連続の式、状態方程式 |
第5回 | プラズマの流体的ドリフト運動: 電場によるドリフト 圧力勾配によるドリフト 磁場に平行なドリフト |
第6回 | プラズマ中の波動: 波動の表式、位相速度、群速度 プラズマ振動 電子プラズマ波、音波、イオン波 |
第7回 | プラズマ中の静電波: 磁場に平行な静電波、磁場に垂直な静電波 低域混成波 磁場がない時の電磁波、磁場中の電磁波(正常波、異常波) |
第8回 | プラズマ中の電磁波: カットオフ、共鳴 ホイッスラーモード、ファラデー回転 アルベン波、磁気音波 CMAダイヤグラム |
第9回 | 拡散: 衝突と拡散 フックの法則 両極性拡散 スラブプラズマの拡散、円柱プラズマの拡散 |
第10回 | 電気抵抗: クーロン衝突と電気抵抗 一流体MHD方程式 ボーム拡散と新古典拡散 |
第11回 | 平衡と安定性: 平衡方程式 二流体不安定性 レイリー・テーラー不安定性と重力不安定性 ドリフト波不安定性 |
第12回 | 運動論入門: 速度分布関数 運動学的方程式 流体力学方程式の導出 ランダウダンピング |
第13回 | 分散関係: シース: チャイルド・ラングミュア則 静電プローブ |
第14回 | 非線形効果: 磁気再結合: |
第15回 | 核融合炉入門: 核融合炉の成立条件 トカマク 自己維持(内部輸送障壁、ブートストラップ電流) |
その他
教科書 |
Francis F. Chen (著), 内田 岱二郎 (翻訳) 『プラズマ物理入門』 丸善 1977年 第1版
初歩のプラズマ物理学の教科書の定番中の定番「F.F. Chen "Introduction to Plasma Physics and Controlled Fusion" (第1版)」の日本語訳。プラズマの基礎から電磁流体力学まで、本質を重視し、分かりやすく書かれている。式の導出も丁寧である。本書はプラズマを専攻する大学院生の常識集でもあり、手元に常備すべきである。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
Francis Chen, Introduction to Plasma Physics and Controlled Fusion, Springer, 2015, 3 edition
「F.F. Chen "Introduction to Plasma Physics and Controlled Fusion"」の最新版。日本語訳との差は、内容的には核融合実験装置が最新のものになったぐらいと小さいが、演習問題の解答がついている点はとても大きい。
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成績評価の方法 及び基準 |
基本的に講義内で行う単元ごとの小テストの点数の合計で評価する。小テストの内容は前週に告知し、解答は参考書(原書第3版)に記載されているので、普通に勉強すれば高得点が期待できる。時間的に小テストができない場合はレポートで代用する。 |
質問への対応 | 短いものなら授業時間内あるいは授業前に受け付ける。長いものは研究室で受け付ける。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台キャンパス7号館2階721B号室 電子メール:nagayama.yoshio@nihon-u.ac.jp 内線:898 |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
電磁流体力学(MHD)は難しいので、ステップを踏んで一段ずつ上っていくしかありません。F.F. Chenは「初歩のプラズマ物理」の教科書の世界的定番です。日本語訳があるのはありがたいです。F.F. Chenに導かれるままに式を導出していきます。条件が極端な場合を取り扱うので戸惑うかもしれませんが、問題を容易にするためですのでやむをえません。徐々にプラズマ物理学の概念や基礎方程式、電磁流体力学に慣れていきましょう。 |