2019年 理工学部 シラバス - 電気工学科
設置情報
科目名 | 電気材料 | ||
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設置学科 | 電気工学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 鈴木 薫 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | I43M |
クラス | A・B | ||
学科ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | この授業は各種の電気・電子機器を構成する材料の性質や部品・デバイスの作成方法の基礎を理解することを目標とする。特に導体や半導体・誘電体・磁性体について電気物性学の基礎概念を用いると同時に様々な分野における諸法則を説明することができる。また、物質の電気的特性の身近な例からそれらを理解し活用できるように、それまでに学んだ電気磁気学の知識と、これにある程度の量子論的取り扱いを加味して諸量を計算することができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
教科書や講義の資料 S14B を用い、パワーポイントや板書で講義を行う。理解を深めるために章末問題などを演習する。 |
履修条件 | なし。物性の基礎と半導体デバイスの基礎の知識があれば理解は早い。 |
授業計画
第1回 | 電気材料の概略と体系的な特徴を歴史的な経緯や理論的な考え方などについてまとめ、電気材料の基礎と応用に関する導入として講義する。【事前学習】教科書の1ページから12ページを読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
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第2回 | 電気材料の基礎:電気材料は導体・半導体・誘電体・磁性体に分類されるが、共通な電子と物質の性質の関係について基礎を学習する。特に、原子の構成や量子状態・電子軌道・化学結合とバンド構造などについて講義する。【事前学習】教科書の13ページから28ページを読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
第3回 | 導電材料:粒子的模型による導電率や緩和時間をBoltzmanの輸送方程式から求め、Sommerfeldの電気伝導理論について述べる。また、温度による抵抗の変化としてMatthiessenの関係やサーミスタ・金属導電材料として電線やケーブル・プリント配線・接点・ブラシ・フューズ・ろう付け材料などについて講義する。【事前学習】教科書の29ページから43ページと51ページから56ページ及び「講義の資料」No.3,No.4導電材料を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
第4回 | 抵抗材料と発熱材料:抵抗素子材料として金属や炭素皮膜・酸化物薄膜抵抗体について、発熱材料は電流によるジュール熱発生について述べ、ジュールの法則について説明する。また、抵抗ひずみセンサなどについて講義する。【事前学習】教科書の44ページから50ページと57ページから62ページ及び「講義の資料」No.3,No.4導電材料を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
第5回 | 半導体材料の製法と素子化:半導体は抵抗率が導体と絶縁体の中間にあるとともに、抵抗率の温度変化に負の部分があるとか、光や磁界に対する特異な現象、整流効果などの性質を有している。真性半導体を得るための高純度化や不純物半導体の製法と素子化について講義する。【事前学習】教科書の73ページから85ページを読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
第6回 | 半導体の製造プロセス:半導体デバイスにおいて、複雑かつ微細化する集積回路を作製するプロセスとして、CZ法や酸化拡散工程・スパッタ化学気相堆積工程・フォトリソグラフィ・エッチング工程・イオン打込み工程などについて講義する。【事前学習】教科書の105ページから116ページ及び「講義の資料」No.5,No.6半導体材料・素子の製造方法を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
第7回 | 半導体の応用素子:半導体接合の製法として合金法や成長法・気相拡散法などを具体的に説明し、ダイオードやトランジスタ・FET・サイリスタなどの構造と電気的特性について講義する。【事前学習】教科書の86ページから104ページ及び「講義の資料」No.5,No.6半導体材料・素子の製造方法を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
第8回 | 磁性体の性質:原子の磁気モーメントについて考え、物質を構成する原子が持っている永久磁気双極子とその配列による磁性の関係として、反磁性・常磁性・強磁性(フェロ磁性・フェリ磁性・反強磁性)などの概要について講義する。【事前学習】教科書の183ページから104ページを読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
第9回 | 強磁性体:強磁性と自発磁化を示し、分子磁界のWeiss則について講義する。磁気ヒステリシス特性や鉄損について説明する。【事前学習】教科書の198ページから202ページを読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
第10回 | 磁性材料:永久磁石材料や磁心材料・磁気記録材料・特殊磁性材料として磁歪材料・磁気抵抗材料・磁性流体などの製造方法や特性について講義する。【事前学習】教科書の203ページから219ページ及び「講義の資料」No.7,No.8磁性材料を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
第11回 | 誘電・絶縁材料:誘電分極を巨視的に表している分極や誘電率・電気感受率などの考え方や、誘電体を構成する原子や分子などがそれぞれ双極子となることであるため、この種類について講義する。特に、電子分極や原子分極の取り扱いとして、Lorentzの内部電界とClausius-Mosottiの式について講義する。【事前学習】教科書の125ページから132ページ及び「講義の資料」No.9分極の微視的な検討を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
第12回 | 誘電分極の機構:誘電体に電界を加えると正負の電荷が変位して双極子となる瞬間分極や永久双極子が電界方向に配向するなどの機構により分極が生じる。この機構の概要を述べ、中でも配向分極の考え方としてLangevin-Debyeの式の取り扱いについて講義する。【事前学習】教科書の133ページから138ページ及び「講義の資料」No.10双極子・分極の種類を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
第13回 | 誘電正接と複素誘電率:交流電界を印加したときの充電電流は実数部と虚数部に分けられ、そのなす角δを誘電損角と、tanδを誘電正接と呼ぶ。複素誘電率との関係や周波数特性などについて講義する。【事前学習】教科書の139ページから143ページ及び「講義の資料」No.13誘電率と誘電損の周波数特性と等価回路を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
第14回 | 絶縁材料とコンデンサー材料:電気的絶縁を目的とした材料を気体・液体・固体に分類し、それぞれの代表的な物質について性質や特徴・製造方法などについて説明する。また、電子素子の受動素子として用いられているコンデンサーに多用されている物質の性質や特徴・製造方法などについて講義する。【事前学習】教科書の144ページから169ページ及び「講義の資料」No.11誘電体の応用やNo.12コンデンサ材料、焦電・圧電・強誘電材料を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
第15回 | 誘電材料の種類と応用:静電容量の変化の検出素子や圧電素子とその応用などについて講義する。また、電気材料の体系的な特徴や理論的な考え方および基礎と応用について述べ、講義の総括を行う。【事前学習】教科書の170ページから182ページ及び「講義の資料」No.12コンデンサ材料、焦電・圧電・強誘電材料を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の練習問題を回答する。 |
その他
教科書 |
青柳稔・鈴木薫・田中康寛・松本聡・湯本雅恵 『基本からわかる電気電子材料講義ノート』 オーム社 2015年 第1版
教科書のみで不足する部分はインターネットに「講義の資料」を掲示する。
http://www.ele.cst.nihon-u.ac.jp/DisLasLab/
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参考書 |
川端 昭 『電子材料・部品と計測』 コロナ社 1995年 第1版
酒井 善雄 ・ 山中 俊一 『電気物性学』 森北出版 1992年 第1版
物性論に基づいた専門的な参考書です。
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成績評価の方法 及び基準 |
試験(70%)、課題・演習(30%) |
質問への対応 | 授業中も可能、講義の後は電子メールを利用 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎 タワースコラ S1614号室, TEL : 03-3259-0770, E-mail : suzuki.kaoru@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
水曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
金曜 駿河台 18:20 ~ 19:50
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学生への メッセージ |
板書を書き写し記憶するだけでなく、応用を含めた理解に努めて下さい。 |