2019年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 | 応用心理学 | ||
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 1年 |
担当者 | 伊藤 令枝 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜3 火曜4 水曜3 水曜4 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | P23U P24S P33R P34R |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 心理学は、人の心を読むテクニックやマインド・コントロールなどではなく、人間の「こころ」を客観的に把握しようとする科学である。 本講義では、環境(対人関係や状況など、個人を取り巻くものすべて)と人間行動との関係性についての基礎的な理論を学習し、人間の多様性と複雑性を科学的に理解することを目指す。 さらに、こころにまつわる俗説を批判的に思考する視点を養う。 |
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授業形態及び 授業方法 |
講義形式とし、パワーポイントによる提示と板書を併用する。 毎回、授業内容に応じた資料(インデックス程度)を配布する。 |
履修条件 | 社会コミュニケーションサブメジャー・コース設置科目。 前期「心理学の基礎」とあわせて受講することが望ましい。しかし、「心理学の基礎」と「応用心理学」はそれぞれ独立した科目であり、学習する理論や現象、そしてそのためのアプローチ方法は完全に異なる。 履修を希望する学生は、初回授業に必ず出席すること(履修者を制限する場合もあるため)。 |
授業計画
第1回 | 心理学へのアプローチ -個性(性格、知能、学力、価値観など)の理解と多様性、青年期におけるアイデンティティの確立 【事前学習】「心理学の基礎」「応用心理学」両科目のシラバスを確認し、心理学の学習の意義を熟考する。(2時間) 【事後学習】自分自身のアイデンティティを考え、人間の多様性や、他者を尊重する姿勢の重要性に気づく。(2時間) |
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第2回 | 個性とパーソナリティ(1) -類型論による性格の理解、精神分析学や分析心理学の性格理論 【事前学習】個人差を測定・評価することと、個人差について価値判断を行うこととの違いを考える。(1時間) 【事後学習】さまざまな類型論を概観し、類型論が衰退した理由を考察する。(2時間) |
第3回 | 個性とパーソナリティ(2) -特性論による性格理解、個人差研究の難しさ、相関関係と因果関係、血液型性格診断の非科学性 【事前学習】バーナム効果を実験的に検証し、性格診断や占いを信じてしまう要因を探る。(2時間) 【事後学習】性格調査を実施し、自己の性格を分析的かつ客観的に把握する。(3時間) |
第4回 | 個性とパーソナリティ(3) -遺伝的要因による個性の形成、環境的要因による個性の形成、複雑系としての人間 【事前学習】ポアンカレの三体問題とバタフライ効果について調べる。(1時間) 【事後学習】ホロコーストや日本の旧優生保護法について調べ、優生学の危険性を考察する。(3時間) |
第5回 | 個性とパーソナリティ(4) -主観的な「感情」の科学、感情・情動の発生メカニズム、感情・情動の表出と測定 【事前学習】さまざまな感情・情動状態での身体生理的変化を測定し、感情・情動を客観的に理解する。(2時間) 【事後学習】ジェームズ-ランゲ説と顔面フィードバック仮説について、具体的に考察する。(2時間) |
第6回 | 個人と社会(1) -自己意識と自己モニタリング、自己意識と規範的行動、割れ窓理論 【事前学習】割れ窓理論について調べる。(1時間) 【事後学習】自己を意識した場面を記録し、自己意識が行動に与える影響について検討する。(3時間) |
第7回 | 個人と社会(2) -他者との相互作用、パーソナル・スペースとテリトリ、スポーツ競技におけるホーム・アドバンテージ 【事前学習】ホーム・アドバンテージとその要因について調べる。(2時間) 【事後学習】見知らぬ他者とすれ違った時の行動を記録し、他者との相互作用の複雑さを検証する。(2時間) |
第8回 | 個人と社会(3) -街中での援助行動とその阻害要因、傍観者効果、社会的意思決定の複雑性 【事前学習】電車内での援助について観察する。(3時間) 【事後学習】傍観者効果の生じる要因を具体的に考察し、状況が個人の行動を規定することを理解する。(1時間) |
第9回 | 個人と社会(4) -社会的促進と社会的抑制及びそのメカニズム、社会的手抜き、ホーソン実験と人間関係論 【事前学習】個人の課題遂行に対する、他者の存在の直接的な影響について実験的に検討する。(2時間) 【事後学習】社会的手抜きの発生しやすい状況を、日常生活の中から具体的に発見する。(2時間) |
第10回 | 個人と社会(5) -集団圧力と同調、権威への服従、集団愚考、重大事故にひそむ人的要因 【事前学習】ハンナ・アーレントの提起した「悪の陳腐さ」について調べる。(2時間) 【事後学習】より平和的な社会の構築のために、個人個人が自覚すべきことを考察する。(2時間)。 |
第11回 | 災害と人間行動(1) -群集心理と没個性化、群集密度と災害、大災害と犯罪の関係性、集団催眠現象 【事前学習】デモや仮装イベントでの暴徒化、ネット社会での炎上などの事例を収集し、その発生要因を探る。(2時間) 【事後学習】催眠商法はどのような悪質商法なのか調べる。(2時間) |
第12回 | 災害と人間行動(2) -避難行動の特徴、避難行動を遅くする心理、避難時の失見当状態とパニック的行動 【事前学習】千日デパート火災と伊豆大島三原山大噴火について調べる。(2時間) 【事後学習】災害遭遇場面で、パニック的行動を抑制して避難する方法を検討する。(2時間) |
第13回 | 情報と人間行動 -流言の発生と伝播、災害時の流言、情報パニック、差別と流言 【事前学習】第一次オイルショックによる買い占め騒動と、ポール・マッカートニー流言について調べる。(2時間) 【事後学習】情報リテラシーの向上とその重要性について考察する。(1時間) |
第14回 | 心理学の歴史 -科学としての心理学、心理学の独自性、自然科学の影響、日本における心理学の受容、「こころ」を解明する難しさ 【事前学習】学習した内容を総括し、諸学問領域の「扇の要」となる心理学の存在意義を考える。(3時間) 【事後学習】自分自身の専攻分野と心理学との関係性について考察する。(2時間) |
第15回 | 総括 -環境と人間との相互作用、心理学による日常生活の理解と応用可能性、ヒューマンエラーの心理学 【事前学習】心理学を含め、諸学問領域の有機的な関係性について考察する。(2時間) 【事後学習】自分自身のアイデンティティを社会と歴史の中で位置づけ、多様な社会の中で、未来に向けてどう生きていくか熟考する。(2時間) |
その他
教科書 |
鹿取廣人・杉本敏夫・鳥居修晃(編) 『心理学』 東京大学出版会 2015年 第5版
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参考書 |
田之内厚三(編) 『ガイド 社会心理学』 北樹出版 2006年
岡村一成(監修)、藤田主一(編集) 『ゼロから学ぶ経営心理学』 学文社 2012年
内藤佳津雄・北村世都・市川優一郎(編) 『発達と学習』 Next教科書シリーズ 弘文堂 2015年
藤田主一・齋藤雅英・宇部弘子(編) 『新 発達と教育の心理学』 福村出版 2013年
V.E.フランクル(著)、霜山徳爾(訳) 『夜と霧-ドイツ強制収容所の体験記録』 みすず書房 1985年
岡本裕一朗(著) 『思考実験-世界と哲学をつなぐ75問』 ちくま新書 筑摩書房 2013年
その他、授業中に適宜紹介する。
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成績評価の方法 及び基準 |
パーソナリティ調査レポート(約20%)、授業内課題や小テスト等の平常点(約30%)、定期試験(約50%)による総合評価とする。 調査レポートと授業内課題の具体的な実施方法や評価基準については、授業内で解説する。 |
質問への対応 | 授業前後に受け付ける。 |
研究室又は 連絡先 |
授業前後に船橋校舎講師室に在室している。 メールや電話等による問い合わせは一切不可とする。 |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
人間の心や行動に興味を持ち、積極的に授業に臨んでほしい。 授業内容をノートにとったり、与えられた課題を指示通りにこなしたりするだけでは、アクティブな学習にならない。心理学の諸理論・現象を実際に実験・観察しながら具体的に把握することを心がけ、自分自身について、そして、人間について理解を深めてほしい。 なお、授業に支障をきたすおそれがあるため、授業内容の写真撮影や録音録画等を禁止する。 |