2019年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 |
倫理学
アリストテレス『ニコマコス倫理学』の「幸い」「徳」を読む
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 2年 |
担当者 | 高橋 幸平 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | W12P |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 倫理学の源流の一つであるアリストテレスの『ニコマコス倫理学』を、原文(和訳)によって講読します。アリストテレスという一人の研究者の論文の一部分を読み、その内容を理解した上で、原文に沿って問い-こたえる作業を試みます。 アリストテレスの倫理学についてはさまざまな仕方で概説され紹介されており、みなさんも既にそのような概説に触れたことがあるかもしれませんが、直に原典にあたってみることは少ないのではないでしょうか。そんなとき、たとえば、みなさんは次のように問うことができるでしょう。――アリストテレスが実際に何を、どのように語っているのか。それは概説にまとめられているとおりなのか、或いは、どうしてそのようにまとめられているのか――。このような仕方で各自で原典を読み、直に内容を確かめてみることも大切です。アリストテレスだけでなく、そのほかの古典についてもこれは同じくあてはまることでしょう。 アリストテレスは「万学の祖」とも呼ばれる古代ギリシアの「研究者」であり、その記述内容はいまから2300年ほど前のものです。現代とは前提が異なるところ、理解しがたいところもありますが、現代の倫理思想の礎をなし、我々の常識と共通するところも少なくありません。このような両面を含むアリストテレスを読むことは、我々の源を読み解くことでもあり、我々とは異なるものを読み解くことでもあり、それと対比することによって、同時に、我々自身を理解することにもなるでしょう。 この講義では、アリストテレスの『ニコマコス倫理学』のうち、幸福と徳についての議論を中心に考察します。講義の全体を、第1部「幸い」、第2部「倫理の徳」、そして徳の具体的な事例として、第3部「いさをしさ(勇敢)」の3部に分けて、考察を進めます。 |
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授業形態及び 授業方法 |
講義・講読形式。 『ニコマコス倫理学』の和訳テキストに沿って、解説を加えながら読み進めます。数回ごとに、テキストの内容をあらためて問い直し、考察します。 |
履修条件 | 私語を慎み講義を聴くことができる者。そのほかは特になし。 環境ライフサブメジャー・コース設置科目 |
授業計画
第1回 | 「導入」 講義の概容、成績評価ほかの諸注意 ※履修希望者は必ず出席すること 「アリストテレスのテキストについて」 【予習】シラバスの内容を確認する(30分) 【復習】講義の概容や成績評価の注意について確認し、履修するか否かを決定する(30分) ※※なお、以下の計画(順序や内容)は新年度に発表される学事暦に沿って変更されることが見込まれるので、注意すること※※ |
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第2回 | 《第1部》 「幸い(1)」 人の善、目的としての幸いとは何か? 『ニコマコス倫理学』A巻1・2・4章 【予習】必要としない 【復習】講義(善、最高善、幸い、目的、手段など)について、原文テキストを引用して、内容を要約・説明する(1時間) |
第3回 | 「幸い (2)」 人の活動、よく生きているとは何か? 『ニコマコス倫理学』A巻7章 【予習】前回について復習した内容を確認する(30分) 【復習】講義(幸い、活動、よく生きていることなど)について、原文テキストを引用して、内容を要約・説明する(1時間) |
第4回 | 「幸い (3)」 徳と幸い・よい活動との関係。徳の二分類。 『ニコマコス倫理学』A巻7・8・13章 「中間レポート(1)の課題説明」 ※レポートの講評は第8回・14回に行う 【予習】前回について復習した内容を確認する(30分) 【復習】{1}講義(幸い・徳、保有・活動、理(ロゴス)など)について、原文テキストを引用して、内容を要約・説明する(1時間)。 {2}第2回~第4回の復習を用いて、中間レポート(1)を作成する(5時間)。※指定された提出日までに準備する。 |
第5回 | 《第2部》 「倫理の徳(1)」 快と苦をめぐる倫理の徳。快と苦の中(中庸説)。 『ニコマコス倫理学』B巻2・3・6・7章 【予習】前回について復習した内容を確認する(30分) 【復習】講義(倫理の徳、快・苦、中、ゆきすぎ・ひかえすぎなど)について、原文テキストを引用して、内容を要約・説明する(1時間) |
第6回 | 「倫理の徳(2)」 中の特徴と補足――中たりやすくするために 『ニコマコス倫理学』B巻6・8・9章 【予習】前回について復習した内容を確認する(30分) 【復習】講義(徳・悪徳、中、ゆきすぎ・ひかえすぎなど)について、原文テキストを引用して、内容を要約・説明する(1時間) |
第7回 | 「倫理の徳(3)」 徳の習慣づけ――徳育の構造と特徴 『ニコマコス倫理学』B巻1・2・3・6章 【予習】前回について復習した内容を確認する(30分) 【復習】講義(習慣づけ、学び、活動・保有など)について、原文テキストを引用して、内容を要約・説明する(1時間) |
第8回 | 「倫理の徳(4)」 徳育をめぐる難問についての考察――徳育の循環構造 『ニコマコス倫理学』B巻4章 『霊魂論』B巻5章・『形而上学』Θ巻8章 「中間レポート(2)の課題説明」 ※レポートの講評は第14回に行う 【予習】前回について復習した内容を確認する(30分) 【復習】{1}講義(習慣づけ、学び、力・保有・活動、循環など)について、原文テキストを引用して、内容を要約・説明する(4時間)。 {2}主に第5回~第8回の復習を用いて、中間レポート(1)を作成する(5時間)。※指定された提出日までに準備する。 |
第9回 | 《第3部》 「いさをしさ(1)」 いさをしさとは何か? 『ニコマコス倫理学』Γ巻6章 【予習】前回について復習した内容を確認する(30分) 【復習】講義(いさをしさ、恐ろしいこと、死、うるはしい死など)について、原文テキストを引用して、内容を要約・説明する(1時間) |
第10回 | 「いさをしさ(2)」 いさをしさと中 『ニコマコス倫理学』Γ巻7章 【予習】前回について復習した内容を確認する(30分) 【復習】講義(いさをしさ、をぢなし、あなどり、恐れなど)について、原文テキストを引用して、内容を要約・説明する(1時間) |
第11回 | 「いさをしさ(3)」 いさをしさに似たもの 『ニコマコス倫理学』Γ巻8章 【予習】前回について復習した内容を確認する(30分) 【復習】講義(いさをしさに似た五つのこと、いさをしさとの相異点など)について、原文テキストを引用して、内容を要約・説明する(1時間) |
第12回 | 「いさをしさ(4)」 いさをしさに伴う苦痛 『ニコマコス倫理学』Γ巻9章 【予習】前回について復習した内容を確認する(30分) 【復習】講義(うるはしい死、うるはしさ、いさをしさの目的・活動、堪える・逃げる、快・苦など)について、原文テキストを引用して、内容を要約・説明する(2時間) |
第13回 | 「いさをしさ(5)」 うるはしい死とは何か?――いさをしさをめぐる難問についての考察 『ニコマコス倫理学』Γ巻6~9章 『ニコマコス倫理学』K巻7・8章 『政治学』H巻14・15章 ほか 【予習】前回について復習した内容を確認する(30分) 【復習】講義(うるはしい死、うるはしく生きていること、幸い、活動・目的、活動の循環など)について、原文テキストを引用して、内容を要約・説明する(4時間) |
第14回 | 「期末課題の説明」 レポートの書き方ほかの諸注意(中間レポートへの講評・注意を含む) ※冬休み前の講義にて説明する予定。期末レポートを提出する意思のある者は、必ず出席すること。 【予習】各自が提出した中間レポートの記述内容を確認する(1時間30分) 【復習】期末レポートの課題や注意点について確認する(1時間) |
第15回 | 「講義の補足」 思惟・観想――神と人とをつなぐ活動 『ニコマコス倫理学』K巻7章 『形而上学』Λ巻7・9章 ほか 「期末レポートの提出」 【予習】期末レポートを作成する(20時間) ※第9回~第14回までの復習とあわせて準備すること。また、第2回~第8回で理解した内容をふまえること。 【復習】補足された講義内容(観想・思惟、実践など)をふまえて、自分が提出した期末レポートについてあらためて考察してみる(2時間)。 |
その他
教科書 |
なし。講義内でプリントを配布します。
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参考書 |
参考書は特に必要としない。現在出版されている和訳については、第1回で紹介します。
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成績評価の方法 及び基準 |
期末レポートおよび中間レポートによる評価。レポートは論述形式(テキストを読んで論じる)。 {1}論述(テキストを読んで論じる)形式の期末レポートによる評価(評点の100%)。アリストテレスのテキストを誤りなく読み解き、理解した上で、その内容についてテキストに沿って各自が問い、考察したことを論じていることを評価基準とする。※詳細は第1回および第14回(予定)などで示すので、必ず確認すること。 {2}第1部・第2部の講義内容を説明する中間レポートを課す。中間レポートは提出の有無のみを評価し、評点はしない(ただし、合否に関して若干の考慮はする)。中間レポートを提出しない者は、期末レポートを含めて未受験(「判定不可(E)」)とする。 {3}レポートはWeb上の情報に依拠することはできない(「不合格(D)」とする)ので、注意すること。 {4}そのほか、レポートに関する不正行為はすべて「不合格(D)」とするので、注意すること。 |
質問への対応 | 授業後に対応します。 |
研究室又は 連絡先 |
非常勤講師につき研究室はありません。 連絡先は講義(第1回など)のなかで案内します。 |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
{1}履修希望者は第1回に必ず出席し、講義の説明を聞いて内容を確認してください。 {2}期末課題の説明には必ず出席し、課題について確認してください。 {3}講義形式ですので、私語を謹みご静聴ください。講義中におしゃべりをするひと、したいひとは、履修しないこと。 {4}レポートの評価は厳しく行います。簡単に単位をとることができるだろうと予想しているひとは、履修しないこと。 |