2019年 大学院理工学研究科 シラバス - 量子理工学専攻
設置情報
科目名 |
場の理論特論Ⅱ
摂動論的ゲージ場の量子論
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設置学科 | 量子理工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 大谷 聡 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | O32D |
クラス |
概要
学修到達目標 | 摂動論的ゲージ場の量子論について学ぶ.はじめに場の量子論の基礎を復習した後,Faddeev-Popovに従ってゲージ理論を量子化する.その後,1ループ量子補正について学んで,最後にHiggs機構について学ぶ.目標は摂動計算の修得で,1ループ計算が難なくこなせることを目指す. |
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授業形態及び 授業方法 |
板書による講義形式 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
場の理論特論Ⅰを受講していることが望ましい. |
授業計画
第1回 | 場の理論の基礎1 自由場の理論の復習.相互作用が無い場合の有質量スカラー場,有質量Dirac場,有質量ベクトル場の理論を解く. |
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第2回 | 場の理論の基礎2 LSZ公式の復習.Green関数が分かればS行列要素が得られる事を学ぶ. |
第3回 | 場の理論の基礎3 生成汎関数の復習.Green関数,連結Green関数,頂点関数それぞれの生成汎関数について学ぶ. |
第4回 | ゲージ場の古典論 無質量ベクトル場の理論にはU(1)ゲージ不変性がある.これをSU(N)に拡張した古典論を学ぶ. |
第5回 | ゲージ固定とFaddeev-Popovゴースト1 ゲージ理論を量子化するにはゲージ固定が必要.まず初等積分でゲージ軌道とゲージ固定を学ぶ. |
第6回 | ゲージ固定とFaddeev-Popovゴースト2 Faddeev-Popovに従ってゲージ理論を量子化する.Gribov ambiguityの問題にも触れる. |
第7回 | BRST対称性 ゲージ固定後に残るBRST対称性について学ぶ. |
第8回 | 摂動論的QED1 以下,摂動論的ゲージ理論を学ぶ.まずはQEDの散乱振幅を摂動の最低次で計算する. |
第9回 | 摂動論的QED2 QEDの1ループ補正について学ぶ.まず自己エネルギーの1ループ計算を行う. |
第10回 | 摂動論的QED3 引き続きQEDの1ループ補正を学ぶ.頂点関数の1ループ計算を行い,歴史的に重要なg-2を求める. |
第11回 | 摂動論的Yang-Mills1 SU(N)ゲージ理論の1ループ補正を学ぶ.自己エネルギーと頂点関数を計算する. |
第12回 | 摂動論的Yang-Mills2 引き続きSU(N)ゲージ理論の1ループ補正を計算する.ゲージ理論で最も重要な漸近的自由性を示す. |
第13回 | 自発的対称性の破れ 話は変わって対称性の自発的破れについて学ぶ.まずはNambu-Goldstoneの定理を学ぶ. |
第14回 | Higgs機構1 ゲージ理論における対称性の自発的破れについて学ぶ.まずは古典論のレベルで起こるHiggs機構について学ぶ. |
第15回 | Higgs機構2 量子効果で起こるHiggs機構について学ぶ.スカラーQEDを例にColeman-Weinberg機構を学ぶ. |
その他
教科書 |
特に指定しない.
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
M. Maggiore, A Modern Introduction to Quantum Field Theory, Oxford University Press, 2005
A. Zee, Quantum Field Theory in a Nutshell, Princeton University Press, 2010, 2nd edition
A. Duncan, The Conceptual Framework of Quantum Field Theory, Oxford University Press, 2012
1番上は場の理論の良い入門書.2番目はくだけた文体で書かれた面白い教科書.3番目はより詳細に立ち入った教科書で,内容も深い.
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成績評価の方法 及び基準 |
レポート課題で成績評価を行う.試験は行わない.また,レポート課題は提出締め切り後に解答例を配布する. |
質問への対応 | 授業中・授業外に関わらずいつでも受け付ける.メールでも良い. |
研究室又は 連絡先 |
研究室: 駿河台校舎8号館2階823D Email: ohya@phys.cst.nihon-u.ac.jp Phone: 03-3259-0790 URL: http://aries.phys.cst.nihon-u.ac.jp/~ohya/ |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 17:00 ~ 18:00 事前にメール等で連絡を入れるのが望ましい
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学生への メッセージ |
自由場の理論は厳密に解けるので比較的容易に修得可能ですが,相互作用が入った場の理論は少数の例外を除いて一般には解けません.普通は摂動論を用いて近似的に解いていくのですが,この摂動論が曲者で,修得するには相当な訓練が必要です.この授業では前半はフォーマリズムの話をしますが,後半からは摂動計算の修得を目指して進めていきます. |