2019年 大学院理工学研究科 シラバス - 量子理工学専攻
設置情報
科目名 |
量子力学Ⅱ
調和振動子から散乱理論まで
|
||
---|---|---|---|
設置学科 | 量子理工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 大谷 聡 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜5 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | O55A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 量子力学Ⅰに引き続き,大学院生が必ず修得すべき量子力学の基礎について学ぶ.まず量子力学的模型の雛形である調和振動子について学んだ後,角運動量の量子化および水素原子について学ぶ.その後,応用上重要な摂動論や散乱理論について学ぶ.単なる学部の復習では無い,より高い視点からの量子力学の理解を目指す. |
---|---|
授業形態及び 授業方法 |
板書による講義形式 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
量子力学Ⅰを受講していることが望ましい. |
授業計画
第1回 | 講義の概観 これから学ぶ量子力学の固有値問題,摂動論,そして散乱理論を概観する. |
---|---|
第2回 | 調和振動子1 調和振動子のハミルトニアンの固有値問題を解く.まずは生成・消滅演算子を用いて代数的に解く. |
第3回 | 調和振動子2 引き続き調和振動子の固有値問題を解く.今度はSchrödinger方程式を解析的に解く. |
第4回 | 角運動量代数1 回転対称性を持つ系で重要な角運動量代数を学ぶ.まずは3次元回転行列の復習から始める. |
第5回 | 角運動量代数2 角運動量代数のユニタリー既約表現を分類する. |
第6回 | 角運動量代数3 応用上重要な球面調和関数について学ぶ. |
第7回 | 水素原子1 水素原子のハミルトニアンの固有値問題を解く.解法は色々あるが,ここではSchrödinger方程式を解析的に解く. |
第8回 | 水素原子2 引き続き水素原子のSchrödinger方程式を解く.束縛状態と散乱状態の波動関数を両方求める. |
第9回 | 周期表 少し脱線して元素の周期表について学ぶ.周期表は角運動量の量子化とPauliの排他律の帰結である事を学ぶ. |
第10回 | 摂動論1 固有値問題が厳密に解けない場合の近似解法を学ぶ.まずは時間に依存しない摂動論を学ぶ. |
第11回 | 摂動論2 引き続き時間に依存しない摂動論を学ぶ.縮退がない場合とある場合に分けて調べる. |
第12回 | 摂動論3 時間に依存する摂動論を学ぶ.応用上重要なFermiの黄金律を導く. |
第13回 | 散乱理論1 散乱の量子論を導入する.まず漸近条件とS行列について学ぶ. |
第14回 | 散乱理論2 実際の散乱実験で観測されるのは散乱断面積.S行列から散乱断面積を得る方法を学ぶ. |
第15回 | 散乱理論3 系に回転対称性がある場合,S行列はSO(3)の既約表現に分解可能.部分波展開について学ぶ. |
その他
教科書 |
特に指定しない.
|
---|---|
参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
S. Weinberg, Lectures on Quantum Mechanics, Cambridge University Press, 2015, 2nd edition
J. J. Sakurai and J. Napolitano, Modern Quantum Mechanics, Cambridge University Press, 2017, 2nd edition
J. R. Taylor, Scattering Theory: The Quantum Theory of Nonrelativistic Collisions, Dover Publications, 2006
上2つは定評のある量子力学の教科書で,一番下は散乱理論に特化した教科書.
|
成績評価の方法 及び基準 |
レポート課題で成績評価を行う.試験は行わない.また,レポート課題は提出締め切り後に解答例を配布する. |
質問への対応 | 授業中・授業外に関わらずいつでも受け付ける.メールでも良い. |
研究室又は 連絡先 |
研究室: 駿河台校舎8号館2階823D Email: ohya@phys.cst.nihon-u.ac.jp Phone: 03-3259-0790 URL: http://aries.phys.cst.nihon-u.ac.jp/~ohya/ |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 17:00 ~ 18:00 事前にメール等で連絡を入れるのが望ましい
|
学生への メッセージ |
量子力学に興味はあるが学部では学ぶ機会がなかった人,学部で一通り勉強したが更に理解を深めたい人,全ての学生を歓迎します.この授業では「簡単な問題は自分で解けるようになる」ということを目指して講義を進めます. |