2020年 理工学部 シラバス - 建築学科
設置情報
科目名 | 建築史Ⅱ | ||
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設置学科 | 建築学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 田所 辰之助 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | C33O |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 西欧近代の建築を扱い、1)移行期における近代建築の特徴、2)新たな美意識の誕生-造形改革運動としての「モダニズム」、3)近代建築の多様なあらわれ、の各項目について重点的に解説する。今日の建築の状況へさまざまな経路を通じてつながっている「近代建築」の特徴を理解し、その成り立ちを重層的に読み解いていきたい。時代・社会背景との関連のなかで建築を理解し、建築のデザイン・造形を幅広い視野から考えることのできる目を養っていきたい。 |
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授業形態及び 授業方法 |
全体を大きく3つの章に分け、近代建築の1)始動因、2)改革運動としての側面、3)多様性、の各主題にもとづいて講義を進める。パワーポイントにより代表的作品を紹介しながら、その背景となる時代や社会背景を解説する。授業の中間期にレポートの作成、および学期末に試験を行い、その解説を通じて理解を深める。 |
履修条件 | 「建築デザインと歴史」を修得していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | イントロダクション(序論):なぜ歴史を学ぶのか/建築史(西欧)の見取り図-近代建築の位置づけ/時代の意思はどこに?/歴史は切子細工のように/「言葉」を手に入れること/授業スケジュールについて [事前学習]シラバスを通読し、授業の主旨と講義内容の全体構成について理解する。(120分) [事後学習]西欧における建築史の流れのなかで、近代建築の時代性とその独自性について、テキスト(教科書)や配布プリント、参考書等を参照して概要を知る。(120分) |
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第2回 | Ⅰ.移行期における近代建築の特徴(1):[原始的小屋-建築の“様式”とは?]建築史(西欧)の見取り図/「歴史主義(Historicism)」の建築/近代性の発芽/建築の「原型」の追求 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[001/005/006/012](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、また時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の確立を目指しさまざまな試みが着手されるに至った社会的背景について理解を深める。(120分) |
第3回 | Ⅰ.移行期における近代建築の特徴(2):[クリスタルパレス(水晶宮)-材料革命による“空間”の変容]技師たちによる造形/マッス(量塊)からヴォリューム(空間)へ/「建物」と「建築」の分断/ベルラーヘ・ペレ・ベーレンス [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[010/011/059](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、また時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の確立を目指しさまざまな試みが着手されるに至った社会的背景について理解を深める。(120分) |
第4回 | Ⅰ.移行期における近代建築の特徴(3):[リライアンス・ビル-未知の課題 “高層”化への対応]シカゴ派の建築/スカイスクレイパー(摩天楼)の形成/積層される「様式」/「形態は機能にしたがう」 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[007/044/059/060](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、また時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の確立を目指しさまざまな試みが着手されるに至った社会的背景について理解を深める。(120分) |
第5回 | Ⅰ.移行期における近代建築の特徴(4):ウィリアム・モリスとアーツ・アンド・クラフツ運動/「芸術」から「生活」へ/専用住宅の誕生/田園都市/ジードルンク(集合住宅)と郊外の開発 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[014/015/016/030/061](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、また時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の確立を目指しさまざまな試みが着手されるに至った社会的背景について理解を深める。(120分) |
第6回 | Ⅱ.造形改革運動としての「モダニズム」(1):[シュレーダー邸-“抽象”の美学]芸術運動とモダニズム/新造形主義/デ・ステイル/「デザイン」の誕生/ドイツ工作連盟とバウハウス/インターナショナル・スタイル(国際様式)への道のり [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[018/021/022/025/049](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の美的規範がつくられていった過程とその意義について考察する。(120分) |
第7回 | Ⅱ.造形改革運動としての「モダニズム」(2):[第3インターナショナル記念塔-“反芸術”としてのモダニズム]「神殿から工場へ」/シュプレマティスム(絶対主義)/「建築か、革命か」/国際的構成主義の成立 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[024/033/034/035/051](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の美的規範がつくられていった過程とその意義について考察する。(120分) |
第8回 | Ⅱ.造形改革運動としての「モダニズム」(3):[サヴォア邸-“機能”と空間ー「自由な」平面とは?]ピュリスム(純粋主義)/「住宅は住むための機械である」/ル・コルビュジエと近代建築の5原則/機能主義(ファンクショナリズム)の実効化/CIAM(近代建築国際会議) [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[028/032/038/046/053/058](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の美的規範がつくられていった過程とその意義について考察する。(120分) |
第9回 | Ⅱ.造形改革運動としての「モダニズム」(4):[ファンズワース邸-“普遍”たる空間とは?]「流動する空間」からの展開/ミース・ファン・デル・ローエと「ユニバーサル・スペース」の空間像/場所性からの解放/レス・イズ・モアの美学 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[039/041/048/059/060](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の美的規範がつくられていった過程とその意義について考察する。(120分) |
第10回 | 中間レポートおよび解説 [事前学習]授業前半の講義内容や配布プリント、教科書・参考書等を参照し、与えられたテーマについて要点を整理する。(120分) [事後学習]与えられたテーマをめぐって、関連する建築家やその作品と設計思想、時代状況をさらに調べ、近代建築の成立過程とその社会的要因、背景について理解を深める。(120分) |
第11回 | Ⅱ.近代建築の多様なあらわれ(1):[ウィーン郵便貯金局-“都市”にいかに向かい合うか]都市文化の形成/アール・ヌーヴォー/ゼツェシオン(ウィーン分離派)/オットー・ヴァーグナーと「近代建築」/「装飾は罪悪なり」(アドルフ・ロース) [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[002/003/019/020/027](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の美的規範がつくられていった過程とその意義について考察する。(120分) |
第12回 | Ⅱ.近代建築の多様なあらわれ(2):[アインシュタイン塔-“共同体”の回復を目指して]ドイツ表現主義の建築/神話と共同体/ガラスの鎖/ブルーノ・タウトと日本/ロマンティック・ナショナリズムの建築 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[023/026/029](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の美的規範がつくられていった過程とその意義について考察する。(120分) |
第13回 | Ⅱ.近代建築の多様なあらわれ(3):[ツェッペリン広場-“古典”への回帰]1930年代-全体主義の勃興/古典主義と近代建築の新たな統合/ベルリン都市改造計画/イタリア・ラショナリズムの建築 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[047](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の美的規範がつくられていった過程とその意義について考察する。(120分) |
第14回 | Ⅱ.近代建築の多様なあらわれ(4):[国立代々木競技場-“非西欧圏”におけるモダニズムの展開]日本の「伝統」とモダニズム/前川國男と丹下健三/建築から都市へ/伝統論争/メタボリズムへの展開 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[057/066/070/071/074/084](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の美的規範がつくられていった過程とその意義について考察する。(120分) |
第15回 | 平常試験(期末)および解説・まとめ [事前学習]配布プリントや教科書・参考書等を参照し、近代建築の理解のあり方をめぐって、授業内で提示した各要点を中心にあらためて整理する。(120分) [事後学習]近代建築の確立が求められていった時代状況、社会背景についてさらに理解を深め、近代建築を多様な観点から理解し、現代建築との照応関係について考察する。(120分) |
その他
教科書 |
矢代真己、田所辰之助、濱嵜良実 『マトリクスで読む20世紀の空間デザイン』 彰国社 2003年 第1版
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参考書 |
大川三雄、川向正人、初田亨、吉田鋼一 『図説 近代建築の系譜』 彰国社 1997年 第3版
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成績評価の方法 及び基準 |
中間レポート(30%)および期末試験(70%)を総合して評価する。 |
質問への対応 | 授業終了後に対応する。あるいは、下記の研究室を来室されたい。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎タワー・スコラ8階S817C室(田所研究室) |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 12:30 ~ 13:30
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学生への メッセージ |
今日の建築の礎となる近代建築がどのような過程を経てつくられていったのか。建築家たちによるさまざまな試行錯誤を通じて建築作品が生み出されていった。それぞれの作品のもつ豊かさにまずは目を向けていきたい。さらにもう一歩進めて、こうした試みがなぜ必要とされたのか、その時代背景や社会状況との関わりへも関心を広げていってほしい。 |