2020年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 |
文学
少女小説及び少女マンガにみる少女/女性同士の関係性
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 1年 |
担当者 | 押山 美知子 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜4 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | P34B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 1.テクストをジェンダー批評の観点から分析・考察し、言語化することができる。 2.日本の少女小説及び少女マンガにおいて女性作家が少女/女性同士の関係性をどのように表現したのか見解を持つことができる。 3.少女/女性同士の関係性のあり方について認識を深める。 |
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授業形態及び 授業方法 |
2013年に公開され全世界で大ヒットを記録し、2019年には続編が制作された『アナと雪の女王』は、ディズニー映画史上初のWヒロイン作品として注目を集めたが、2014年にスタジオジブリが制作した『思い出のマーニー』及びNHKの連続テレビ小説『花子とアン』(2014)や『あさが来た』(2016)でもWヒロインが登場し、10年代半ばのアニメやドラマでは同性同士濃密な関係を築くWヒロインがブームとも言える様相を呈した。 翻って日本の少女小説及び少女マンガは、少女/女性間の関係性をどのように描いてきたのだろうか。本講義では、大正期から現代に至るまでの、少女小説及び少女マンガ作品から、友情もしくは「S(エス)」や「百合」、「レズビアン」と称される関係性までをも含め、少女/女性間の濃密な関係性を描いた作品を取り上げ、異性間及び男性間の関係性に比して焦点化され難い少女/女性間の関係性について、ジェンダー批評の観点から表象分析を行う。 授業はPowerPointを使用し、毎回レジュメを配布する。 |
履修条件 | 学内外の図書館などを利用して参考文献を積極的に読み、近現代女性文学の研究、マンガ研究、少女文化論、セクシュアリティ・ジェンダー論の先行研究に触れるようにする。ジェンダー批評はセクシュアリティの問題を含むため、作品によっては性愛描写、エロティシズム分析を行う。その点を踏まえた上で履修選択をすること。 文化教養サブメジャー・コース設置科目 |
授業計画
第1回 | 本講義の概要及び成績評価について説明・他の教養科目との関係・次回までの課題について 【事前学習】 本講義及び他の教養教育科目のシラバスをよく読んだうえで授業に参加すること。(30分) 【事後学習】これまで自分が読んだことのある Wヒロインを描いたマンガ、アニメ、小説について紹介文を書く。特に、Wヒロインがそれぞれどのような特徴を持ち、どのような関係なのか、分かるように書くこと。(30分) |
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第2回 | 吉屋信子『屋根裏の二處女』 「S」(エス)と呼ばれる大正期の女学生同士の関係性について学ぶ 【事前学習】 吉屋信子『屋根裏の二處女』を読み、少女たちの人物造形及びその関係性に注意しながら作中で特に気になった点を箇条書きにしてまとめておく。(120分) 【事後学習】 吉屋信子『屋根裏の二處女』を再読し、授業で指摘された点を確認する。本作についての見解をまとめ、アンケートに積極的に回答する。(120分) |
第3回 | 吉屋信子・小沢真理『花物語』 大正期の少女小説における少女同士の関係性について考察する 【事前学習】 配布されたプリントを読み、少女たちの人物造形及びその関係性で特に気になった点を箇条書きにしてまとめておく。(120分) 【事後学習】 配布されたプリントを再読し、授業で指摘された点を確認する。本作についての見解をまとめ、アンケートに積極的に回答する。(60分) |
第4回 | 川端康成『乙女の港』 昭和初期の少女小説における女学生同士の関係性について考察する 【事前学習】 川端康成『乙女の港』を読み、少女たちの人物造形及びその関係性で特に気になった点を箇条書きにしてまとめておく。(120分) 【事後学習】 川端康成『乙女の港』を再読し、授業で指摘された点を確認する。本作についての見解をまとめ、アンケートに積極的に回答する。(60分) |
第5回 | 一条ゆかり『摩耶の葬列』 七〇年代少女マンガにおける〈レズビアンもの〉について学ぶ 【事前学習】 配布されたプリントを読み、少女たちの人物造形及びその関係性で特に気になった点を箇条書きにしてまとめておく。(120分) 【事後学習】 配布されたプリントを再読し、授業で指摘された点を確認する。本作についての見解をまとめ、アンケートに積極的に回答する。(60分) |
第6回 | 池田理代子『おにいさまへ…』 七〇年代少女マンガにおける女子高生同士の関係性について考察する 【事前学習】 配布されたプリントを読み、少女たちの人物造形及びその関係性で特に気になった点を箇条書きにしてまとめておく。(120分) 【事後学習】 配布されたプリントを再読し、授業で指摘された点を確認する。本作についての見解をまとめ、アンケートに積極的に回答する。(60分) |
第7回 | イケスミチエコ『孔雀の微笑』 七〇年代少女マンガにおける女性同士の関係性について考察する 【事前学習】 配布されたプリントを読み、少女たちの人物造形及びその関係性で特に気になった点を箇条書きにしてまとめておく。(120分) 【事後学習】 配布されたプリントを再読し、授業で指摘された点を確認する。本作についての見解をまとめ、アンケートに積極的に回答する。(60分) |
第8回 | 有吉京子『アプローズ—喝采』 八〇年代少女マンガにおける女性同士の関係性について考察する 【事前学習】 配布されたプリントを読み、少女たちの人物造形及びその関係性で特に気になった点を箇条書きにしてまとめておく。(120分) 【事後学習】 配布されたプリントを再読し、授業で指摘された点を確認する。本作についての見解をまとめ、アンケートに積極的に回答する。(60分) |
第9回 | 市東亮子『やじきた学園道中記』 女性間の〈ホモソーシャル〉の可能性について考える 【事前学習】 配布されたプリントを読み、少女たちの人物造形及びその関係性で特に気になった点を箇条書きにしてまとめておく。(120分) 【事後学習】 配布されたプリントを再読し、授業で指摘された点を確認する。本作についての見解をまとめ、アンケートに積極的に回答する。(60分) |
第10回 | 吉田秋生『櫻の園』 八〇年代少女マンガにおける女子高生同士の関係性について考察する 【事前学習】 配布されたプリントを読み、少女たちの人物造形及びその関係性で特に気になった点を箇条書きにしてまとめておく。(120分) 【事後学習】 配布されたプリントを再読し、授業で指摘された点を確認する。本作についての見解をまとめ、アンケートに積極的に回答する。(60分) |
第11回 | 藤村真理『降っても晴れても』 九〇年代少女マンガにおける女子高生同士の関係性について考察する 【事前学習】 配布されたプリントを読み、少女たちの人物造形及びその関係性で特に気になった点を箇条書きにしてまとめておく。(120分) 【事後学習】 配布されたプリントを再読し、授業で指摘された点を確認する。本作についての見解をまとめ、アンケートに積極的に回答する。(60分) |
第12回 | さいとうちほ・ビーパパス『少女革命ウテナ』 〈男装の少女〉と女性間の関係性について考察する 【事前学習】 配布されたプリントを読み、少女たちの人物造形及びその関係性で特に気になった点を箇条書きにしてまとめておく。(120分) 【事後学習】 配布されたプリントを再読し、授業で指摘された点を確認する。本作についての見解をまとめ、アンケートに積極的に回答する。(60分) |
第13回 | 今野緒雪『マリア様がみてる』 現代の少女小説における女子高生同士の関係性について考察する 【事前学習】 今野緒雪『マリア様がみてる』を読み、少女たちの人物造形及びその関係性で特に気になった点を箇条書きにしてまとめておく。(120分) 【事後学習】 今野緒雪『マリア様がみてる』を再読し、授業で指摘された点を確認する。本作についての見解をまとめ、アンケートに積極的に回答する。(60分) |
第14回 | 榛野なな恵『ピエタ』 九〇年代少女マンガにおける女性同士の関係性について考察する 【事前学習】 配布されたプリントを読み、少女たちの人物造形及びその関係性で特に気になった点を箇条書きにしてまとめておく。(120分) 【事後学習】 配布されたプリントを再読し、授業で指摘された点を確認する。本作についての見解をまとめ、アンケートに積極的に回答する。(60分) |
第15回 | 平常試験及びその解説 学習内容の総まとめとなる試験を行い、授業内容の理解度を確認する。 【事前学習】 第2回から第14回までの授業で扱った内容について配布レジュメ及び自身が書いたアンケートを改めて見直し、復習すること。(120分) 【事後学習】 これまで自分が読んだことのある男性間の濃密な関係を描いた作品と授業で取り上げた作品の特徴を比較し、共通点や違いから何が言えるのかを考える。(60分) |
その他
教科書 |
小説の吉屋信子『屋根裏の二處女』と川端康成『乙女の港』は、借りる又は購入するなど独自に入手し、事前に読んでおいてください。他のテクストについては授業時に指示します。
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参考書 |
駒尺喜美 『吉屋信子 隠れフェミニスト』 リブロポート 1994年
藤本由香里 『私の居場所はどこにあるの?少女マンガが映す心のかたち』 朝日新聞社(朝日文庫) 2008年
『ユリイカ 特集=百合文化の現在』 青土社 2014年
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成績評価の方法 及び基準 |
平常試験:授業を踏まえた上で作品を深く読み込んでいるか、独自の観点から問題提起ができているか、考察が論理的且つ説得力のある文章で書かれているかの3点から評価する。(60%) 小テスト:授業内に1回の小テストを実施する(時期は授業時に告知)。講義内容の理解度を見る。小テストについては採点後にCSTポータルⅡの機能を用いて受験者に点数を告知し、授業時にテスト内容の解説を行う。(30%) 作品アンケート:毎回CSTポータルⅡにアンケートを設置し、取り上げる作品に対する意見や感想を募集する。作品に対して独自の見解が述べられているかで評価する。アンケートについては毎回授業の冒頭でその一部を紹介し、内容についてコメントする。(10%) |
質問への対応 | 授業中に理解できないところがあった場合、質問内容を整理し授業終了後に質問すること。 |
研究室又は 連絡先 |
yobato315@gmail.com |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
少女/女性同士の関係性を切り口に〈女性〉や〈少女〉のあり方、異性と同性間の関係性の差異について考えてみましょう。小説とマンガは共に「読む」ものですが、表現方法が異なるため分析のアプローチも若干異なります。小説とマンガを「読む」こと、その違いについても考えてみましょう。 |