2020年 大学院理工学研究科 シラバス - 土木工学専攻
設置情報
科目名 |
土質力学演習Ⅰ
(地盤の不安定問題における総合評価能力の習得)
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設置学科 | 土木工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 岡田 仁 | 履修期 | 後期 |
単位 | 1 | 曜日時限 | 水曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | A32C |
クラス | |||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | 地盤の不安定問題(地震・豪雨に伴う斜面崩壊、工事に伴う地盤の沈下や掘削面の崩壊等)を扱う上で、土質力学の公式や解析技術を用いて検討するだけでは、現象を正しく評価することはできない。地盤の生い立ちの違いによって地形・地質が異なり、それによって物理的・力学的性状が異なることを考慮し、解析結果に合わせて総合的に判断を加えることが重要である。 本授業では、東京周辺の地盤を例に取り、地盤のトラブル事象を基に、実践的な地盤の総合判断能力を高める学習をする。 構造物の建設および維持管理をおこなう上で、地盤に関わる総合評価能力が身に付き、第四期の地盤を工学的に評価することができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
第一線建設工事に長年従事した経験をもとに、構造物を建設する際に注意すべき着目点や対処法を講義する。 講義は、スライドおよび配布資料を用いてディスカッションを基本として進め、黒板で実工事での適用例等で補足をおこなう。適宜、課題演習を交えて、地盤の不安定問題の解決方法を学習する。 授業計画は、講義毎の理解度により内容を変化させるので確定的ではないが、代表的な一例として下記に示す。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
土質力学および地盤工学の基礎知識は最低限必要。学部のときの教科書、ノート等の復習をしておくこと 出された課題は確実に実施すること。正答でなくても構わないので、自分の考えを整理し、レポートにまとめて発表できるようにしておく それによって論文作成および発表能力を身につける |
授業計画
第1回 | 地盤工学には多くの不確定要素があることおよび、地盤の総合評価の必要性を理解する (設計入力値の設定誤差、解析の誤差、土質調査・試験の不確実さを踏まえ、実現象と検討モデルの差を構造物の計画・設計にどのように反映させるか等) 地震・豪雨による斜面崩壊、工事による地盤沈下等の事例紹介と対策 |
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第2回 | 地形・地質により地盤の工学的性状が異なること、なぜそのようになるか、工学的にどのように判断すべきかを理解する 東京周辺の地盤概要を説明し、洪積層、沖積層の工学的違いを理解する |
第3回 | 課題演習に基づくディスカッションにより地盤の総合評価の必要性を理解する 地形、地質の違いが何故生じるか。施工法をどのように選定すべきか (東京駅周辺・駿河台周辺の地盤を例にとり、地盤の違いと土留めの選定について学習する) |
第4回 | 山の手台地と下町低地の地盤の違いと構造物の計画・設計・施工にあたっての留意点 (地質の違い、大地震時の被害の違い等) |
第5回 | 山の手台地の地形・地質・地層構成・おいたちの違いによる工学的評価 (山の手台地の分類と地盤の工学的特性) |
第6回 | 山の手台地の地盤トラブル、地下水問題、工事による地盤沈下 (課題演習によるディスカッションにより問題点を理解する) |
第7回 | 山の手台地の地盤と水 関東ローム層の工学的特性 |
第8回 | 下町低地の地盤と災害 下町低地の地形・地質、生いたち、広域地盤沈下、関東造盆地運動、南関東ガス田 |
第9回 | 東京低地・多摩川低地・台地部の河谷低地の沖積層 過去のトラブル事例を題材として、課題演習によるディスカッションにより問題点を理解する |
第10回 | 地盤の総合評価の応用(1) 地盤と地震災害;南関東大地震(東京下町低地の地盤災害、神奈川県小田原市の山津波、千葉市台地部での液状化)、首都直下型地震 |
第11回 | 地盤の総合評価の応用(2) 地形、地質を熟知した先人の知恵の理解、江戸から東京への発展(江戸の開発、上水道開発、利根川水系広域氾濫対策) |
第12回 | 地盤の総合評価の応用(3) 地盤トラブルの事例と地盤工学上の着眼点 |
第13回 | 地盤の総合評価応用(4) 近接工事に伴う地盤変状 解析上の課題の洗い出し、情報化施工について |
第14回 | レポート作成 地盤トラブルの課題提示 |
第15回 | レポート発表、ディスカッション |
その他
教科書 |
指定しない。授業の都度プリントを配布する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
『東京の自然史』 貝塚爽平 講談社学術文庫 2011年 第1版
東京周辺の地盤のバイブルと言っても良い本。
土木技術者にとって社会に出てからも役に立つ本です。
ぜひ熟読してください。
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成績評価の方法 及び基準 |
授業におけるディスカッションへの対応およびレポートの内容評価 |
質問への対応 | 教室でその都度対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
東京都千代田区神田駿河台1-8-14 研究室 :駿河台校舎 タワー・スコラ(新棟) 11階 S1109室 E-mail:sigemura@civil.cst.nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
東京は江戸時代に、さびれた寒村から人口100万人の大都市に発展した。それが現代の東京の大発展へとつながっている。江戸の開発は、地形、地質をうまく利用して大規模土木工事が行われ、築城、造成、洪水対策等の都市整備、道路・水路等の交通網整備、上水道整備が行われた。 土質力学の理論も確立されておらず、高度な数値計算も行われていない時代にどうしてこのような世界有数の大都市が建設できたのか。これは、江戸の地形、地質を熟知し、経験豊富な当時の土木技術者が地盤を総合的に評価したからである。このことは、現在の土木技術者である私たちも見習わなくてはならない。 この授業を通じて、地盤を総合的に評価する能力を身に付け、現状の地盤工学が抱える課題を理解し、それを解決する楽しさと重要性を感じ取って欲しい。 授業でわからないことはその場で質問して内容を理解し、論文・雑誌等でさらに理解度を深める習慣を身につけて欲しい。 一人でも多くのみなさんにこの授業を受けて欲しい。地盤工学だけでなく、都市計画を目指す人にも役に立つ内容である。 |