2020年 大学院理工学研究科 シラバス - 建築学専攻
設置情報
科目名 |
防災工学特論
防火・防災計画から見た安全・安心について
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設置学科 | 建築学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 菅原 進一 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | C53A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 災害を抑止するというこれまでの考え方から「災害は起こるものである」とする卒災の考え方を導入し、人命・財産を守るための学習(卒災学習)を既往の防災学習と比較検討しつつ、受講者との対話や小論文の出題を通して災害対応能力を高めること本学習の目標とする。 |
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授業形態及び 授業方法 |
講義・課題討論などを設定して授業を進める。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
各種事故・災害の情報を技術的あるいは人的要素の面から考える習慣を養うため、既往の災害研究や関連法令に関する文献等の情報の習得に務めること。 |
授業計画
第1回 | 防災工学の位置づけを解説し、授業の進め方、講義の流れ、課題の作成、評価、確認の方法などについて概説する。 |
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第2回 | 安全と安心:これまでは安全第一が社会システムの基盤であったが、事故や災害の発生様態の変化から安全だけでは不安であるという人々が増えてきた。すなわち技術基準に対する心理的反応の変化をリスクとして理解する必要性が強く認識されるようになった。ここでは、安全と安心の基本的考え方を学習しリスク概念との関連を考察する。 |
第3回 | 防災と卒災:防災は予防を基軸として施策されるが、事故や災害は自分には無関係と願う生存感が警戒心を緩め予防策があっても再び同様な事故を繰り返すのが日常である。これに対して卒災の考え方は、「事故や災害」は自分にも降りかかるものとの認識をベースに安全安心な社会を構築する理念設定に根ざしている。これを基に事故や災害の事例を具体的に考え、安全安心との関連も含めた課題を設定し議論を進める。 |
第4回 | 安全に関わる標準・基準(1):標準はものの性能の尺度を提示し品質など保持を図るために活用される。基準は標準尺のある値域を指定しこれを遵守することを義務付けるためにある。規格は両者の意味づけをもつ例が少なくない。ここでは、標準と基準の考え方と安全安心・リスクとの関連について考える。 |
第5回 | 安全に関わる標準・基準(2):国内外の規格・基準の特徴を述べ、安全安心やリスクの観点から考察することを目途とした中間レポート課題を出題する。 |
第6回 | 提出された中間レポートに基づき、これまでの授業内容の整理確認及びそれに関する質疑を行うと同時に、発表方法を議論しプレゼンテーション能力向上を図る。 |
第7回 | 火災の歴史と防火思想の変遷:事故や災害に関する現在までの総合的系譜を概観し、更に火災事故に注目した対応策の流れについて考察を加える。 |
第8回 | 火災安全に関わる法律(1):消防法・消防組織法、建築基準法、都市計画法等の概要について解説する。 |
第9回 | 火災安全に関わる法律(2):消防法・建築基準法における性能規定の内容について法規定に基づく概要の解説を行なう。 |
第10回 | 火災現象と火災安全工学(1):火災現象と制御技術の概要について調査研究する。 |
第11回 | 火災現象と火災安全工学(2):煙流動と避難安全性、人間の行動特性について調査研究する。 |
第12回 | 火災現象と火災安全工学(3):燃焼発熱と建築内外装材料工法、インテリア材料等の防火性能について調査研究する。 |
第13回 | 性能的火災安全検証法(1):避難安全性能検証法に基づく設計事例について調査研究する。 |
第14回 | 性能的火災安全検証法(2):耐火性能検証法と事例検討について調査研究する。 |
第15回 | これまでに授業を基に、事故や災害の対応策に関する思考力を確認するため、調査研究結果に関わる課題を最終レポートとして提示し、提出を求める。 |
その他
教科書 |
日本火災学会 『はじめて学ぶ建物と火災』 共立出版 2007年 第1版
講義で使用する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
菅原進一 『都市の大火と防火計画』 共立出版 2003年 第1版
授業の際、参考とする。
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成績評価の方法 及び基準 |
レポートの提出をもって最終試験に替える。 |
質問への対応 | 授業中に対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
sugasuga@beige.ocn.ne.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
「災害は起こるもの」とし、自然と共に生きる方法論(卒災)について東日本大震災や阪神淡路大震災の事例研究を通してよく学んでください。 |