2020年 大学院理工学研究科 シラバス - 精密機械工学専攻
設置情報
科目名 | 応用数学Ⅱ | ||
---|---|---|---|
設置学科 | 精密機械工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 山本 修一 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜3 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | G53B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 単振動,拡散,波動など動きが伴う現象の把握に微分方程式が本質的な役割を果たす。特に,重要でかつ解の挙動がわかりやすい,定数係数の2階線形微分方程式,そして偏微分方程式では,1次元熱方程式,1次元波動方程式に限定し,数式処理ソフト マスマティカ のアニメーション機能で描かれる動画を用いて,解の挙動と合わせて微分方程式を理解する。解の挙動と一緒に微分方程式を理解するので微分方程式の重要性だけでなく即効的な応用力も身につく。 |
---|---|
授業形態及び 授業方法 |
配布プリントを使用して,マスマティカ と板書を併用して講義を行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
準備学習:授業計画の第2回以降の授業では使用するプリントを一つ前の授業で配布するので、そのプリントの内容を予習することを授業の予習(120分)とする。授業内容によっては学部の1年で使用した微分積分学,線形代数学の教科書にある内容や先の授業の内容が予習に含まれることもあるので授業計画の中ではそれを予習事項として特記する。 授業の復習(時間の記載がないときは120分)は毎回の授業計画の中に記載される。復習では主に授業内容をより深めるための問題が提示される。予習と復習の時間は合計240分で、復習の記載がない場合は予習だけで240分とする。 予備知識:微分積分学Ⅰ,Ⅱ,線形代数学Ⅰ,Ⅱ および応用数学Ⅰ を履修していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 単位取得に関する事項や予習と復習の必要性の説明。さらに微分方程式の解で表現される現象(振動,拡散その他)を マスマティカ を用いて視覚的に概観する。 復習:これから学ぶ内容のキーワード(例えば,定数係数の2階線形微分方程式,電気回路と微分方程式,1次元拡散(熱)方程式,1次元波動方程式など)について,他の授業との関連性を調べたり,あるいはネット検索でおおよそを概観する(240分) |
---|---|
第2回 | 微分方程式の解法Ⅰ(定数係数の2階線形微分方程式の一般解の求め方を学ぶ) 復習:2階の定数係数の線形微分方程式の一般解を計算する(配布プリント) |
第3回 | 微分方程式の解法Ⅱ(定数係数の2階線形微分方程式の特殊解(物理的な条件から解かれる解)について,典型的な例を通して微分方程式の係数の変化に伴う解の表現の変化と,そのときの解の挙動を視覚的に理解する) 予習事項:微分積分学の教科書にある双曲線関数(73ページ) 復習:2階の定数係数の線形微分方程式の特殊解を計算する(配布プリント) |
第4回 | 電気回路の電流の挙動(第2回,第3回で学んだことを,具体的に電気回路に対して適用し,解として表現される電流の挙動を観察しながら微分方程式の重要性を理解する) |
第5回 | 微分方程式の差分近似解法(簡単な微分方程式の差分近似による解法を通して、微分や微分方程式は先を予測する重要な概念であることを学ぶ) 予習事項:ネピアーの数(微分積分学の教科書65ページ)、行列の性質(線形代数学の教科書53ページ~59ページ) 復習:微分方程式を差分近似解法で解く(配布プリント) |
第6回 | 一般の定数係数の線形微分方程式の解法(基本的な解の性質,さらに同次形の場合に固有値を用いた解の計算法や基本行列解を学びその関連性を学ぶ) 予習事項:指数関数、三角関数のマクローリン展開(微分積分学の教科書の95ページ~96ページ)、固有値,固有ベクトル(線形代数の教科書の132ページ~138ページ) 復習:微分方程式の解を固有値を用いる方法で計算する(配布プリント) |
第7回 | 定数係数の2階線形偏微分方程式(2変数の関数の微分方程式について,定数係数,2階,線形・非線形の違いを明らかにしながら,定数係数の2階線形偏微分方程式を理解しその標準形について学ぶ) 予習事項:合成関数の偏微分法(微分積分学の教科書の223ページ~237ページ) 復習:定数係数の2階線形偏微分方程式の標準形を計算する(配布プリント) |
第8回 | 偏微分方程式と境界値問題(1次元熱方程式や1次元波動方程式について,適当な境界条件,初期条件,初期速度条件を付けて得られる解と、その解が表す式の挙動を マスマティカ を用いた動画で観察しながら偏微分方程式を理解する) 復習:2階線形偏微分方程式の解を計算する(配布プリント) |
第9回 | 熱方程式の近似解(1次元熱方程式の差分法を用いた近似解法を学ぶ。特に、偏微分方程式を解く意味と境界条件の必要性を理解し、マスマティカ を用いて解の挙動を観察する) 復習:熱方程式の近似解を計算する(配布プリント) |
第10回 | 熱方程式とその解法(第9回の授業で扱った1次元熱方程式に対して,フーリエ級数展開を用いる解法を学び,第9回の授業内容と比較してその解法の違いを理解する) 予習:フーリエ級数展開(応用数学Ⅰで配布した第9回の授業プリント) 復習:熱方程式の解をフーリエ級数展開で計算する(配布プリント) |
第11回 | 第10回で学んだ熱方程式の解法について,さらに各自,自分の手で解を計算することで理解を深める。さらに,計算して得られた解に対してその挙動を実際に動画を通して観察することで熱方程式の理解をさらに深める。 |
第12回 | 波動方程式の解法と解法例(初期条件,初期速度が微分可能な関数で与えられる場合におけるダランベールの公式や,振動の方程式のフーリエ級数展開を活用する方法を学び,マスマティカ を用いて解の挙動を観察しながら波動方程式について理解を深める) 復習:波動方程式の解を計算する(配布プリント) |
第13回 | 波動方程式の広義解(初期条件や初期速度が不連続な関数で与えられる場合における広義解の概念を学び,フーリエ級数展開を活用して得られる形式解と,ダランベールの公式を利用する広義解との適合性を視覚的に学び,その解の挙動を深める) |
第14回 | 初期速度をもつ波動現象(初期速度が設定される波動方程式の解を、ダランベールの公式を通して理解するとともに、マスマティカ の描く動画を観察しながら理解を深める) レポート課題の内容を発表する。 復習:レポート課題に取り組む(240分) |
第15回 | レポート課題を回収する。その後,レポート課題に対する解答を通して課題の内容を動画を通して観察し,理解をさらに深める。 予習:レポート課題に取り組む(240分) |
その他
教科書 |
特に使用しない
|
---|---|
参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
ドナルド・A・マックォーリ 『偏微分方程式』 数学大全 講談社サイエンティフィク 2010年 第初版
E. クライツィヒ 『フーリエ解析と偏微分方程式』 技術者のための高等数学3 培風館 2007年 第8版
上の参考資料については,さらに深く理解するために利用してほしい。
なお,この授業の予習で学部1年で使用した教科書
微分積分(矢野・石原編,裳華房),新線形代数(大日本図書)
を利用する。
|
成績評価の方法 及び基準 |
レポート課題(提出することが単位取得のための必要条件)で 70 %,平常点(予習・復習など,授業に対する取り組み状況)を 30 % の割合で,GPA制度の基準に従って合否および優劣を総合的に評価する。 |
質問への対応 | 授業中に理解できないところがあった場合,質問内容を整理し授業終了後に質問すること。 |
研究室又は 連絡先 |
メールアドレス:syama@penta.ge.cst.nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
金曜 船橋 14:50 ~ 15:20 14号館一階講師室
|
学生への メッセージ |
レポート課題の内容は第14回目の授業で発表する。第15回の授業開始時にレポートを提出すること。 |