2019年 短期大学部 シラバス - ものづくり・サイエンス総合学科
設置情報
科目名 | 物理化学Ⅰ | ||
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設置学科 | ものづくり・サイエンス総合学科 | 学年 | 1年 |
担当者 | 木屋 幸蔵 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜1 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | E31M |
クラス | |||
学科ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 |
概要
学修到達目標 | 物理化学を構成する学問分野は、原子・分子構造を解明する量子化学、化学変化をエネルギーの面から考える化学熱力学、化学反応の速度を扱う化学反応論の三つに分けられる。この内、本講義では量子化学分野を学習対象とし、電子を中心とした原子構造の捉え方を学んだ上で、原子同士が結合してできる様々な分子の成立過程が説明できるようになることを目標とする。さらに量子化学の応用的手法である、分子分光学を学ぶための基礎となることを目指す。 |
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授業形態及び 授業方法 |
授業は基本的に板書を中心に進めるが、図表に関しては適宜パワーポイントも利用する。さらに授業内容定着のために演習を随時実施し、実施した次の回の授業で解答プリントを配付する。 |
履修条件 | 高校数学(理系大学受験レベル)の三角関数、指数関数、微積分の計算知識は必須である。 |
授業計画
第1回 | 【授業内容】連続スペクトルと線スペクトル プランクの量子仮説 アインシュタインの光量子仮説 ドブロイの物質波の考え方 古典力学でみた電子の運動とエネルギー ボーアの原子モデル(角運動量の量子化) 【事前学習】教科書p9~p25を予習しておく。(100分) 【事後学習】式の変形・誘導を確認し、自分で理解しやすい形に書き直してまとめる。(120分) |
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第2回 | 【授業内容】古典論での波動方程式 量子論での波動方程式(シュレディンガーの波動方程式) 井戸型ポテンシャル 波動方程式を「解く」とは(演算子、エネルギー固有値、波動関数) 【事前学習】教科書p26~p35を予習しておく。(100分) 【事後学習】演算子の役割を確認する。二階の微分方程式の解と得られるエネルギー固有値までの計算過程を確認し、自分で理解しやすい形に書き直してまとめる。(120分) |
第3回 | 【授業内容】水素原子の波動関数(軌道関数)とエネルギー順位 3種類の量子数 【事前学習】教科書p38~p52を予習しておく。(100分) 【事後学習】3種類の量子数の組み合わせで規定された軌道関数の式(簡単なものから5つ程度)と軌道関数の立体的な形を対応させて確認する。(120分) |
第4回 | 【授業内容】ヘリウムイオンHe⁺の波動方程式、波動関数とエネルギー固有値 【事前学習】教科書p38~p52(特にp41)ならびにp25を予習しておく。(100分) 【事後学習】式の誘導過程を確認する。(120分) |
第5回 | 【授業内容】多電子原子(He原子)の波動方程式、波動関数とエネルギー固有値 多電子原子における演算子とエネルギー固有値の取り扱い方 【事前学習】教科書p53~p54を予習しておく。(100分) 【事後学習】多電子原子の波動方程式の成り立ちを理解する。演算子・波動関数・エネルギー固有値の相互の役割を式で理解する。ヘリウムイオンHe⁺とヘリウム原子Heの波動方程式・波動関数の違いを比較してみる。(120分) |
第6回 | 【授業内容】電子の自転(スピン磁気量子数) パウリの排他原理とフントの規則(Li原子、C原子) 【事前学習】教科書p55~p56を予習しておく。(100分) 【事後学習】Li原子・C原子以外の原子の原子軌道(電子配置)を確かめてみる。(120分) |
第7回 | 【授業内容】水素分子イオンH₂⁺の波動方程式、波動関数 LCAO近似 波動関数の重ね合わせの考え方 分子軌道の形成 【事前学習】教科書p68~p72を予習しておく。(100分) 【事後学習】教科書p71図4‐4、p72図4‐5を中心に、分子軌道の形成までの考え方をもう一度辿る。(120分) |
第8回 | 【授業内容】水素分子イオンH₂⁺における結合性軌道、反結合性軌道の形成とそのエネルギー固有値 結合解離エネルギー 【事前学習】教科書p68~p72、p64~p65を予習しておく。(100分) 【事後学習】教科書p64図4‐1上で、反結合性分子軌道のエネルギーを表す曲線を付け加えて考えてみる。(120分) |
第9回 | 【授業内容】水素分子H₂の波動方程式、波動関数の重ね合わせ 結合性分子軌道、反結合性分子軌道の形成とそのエネルギー固有値 【事前学習】教科書p72~p75を予習しておく。(100分) 【事後学習】水素分子イオンH₂⁺と水素分子H₂の波動方程式・波動関数の違いを比較してみる。(120分) |
第10回 | 【授業内容】ヘリウム分子He₂、ヘリウム分子イオンHe₂⁺、リチウム分子Li₂は安定に存在するか(分子軌道のエネルギーと解離エネルギー) 【事前学習】教科書p72~p73を予習しておく。(100分) 【事後学習】Be₂分子が安定に存在するかを確かめてみる。(120分) |
第11回 | 【授業内容】等核二原子分子(B₂~)における分子軌道(σ軌道とπ軌道の形成) 結合次数 フントの規則 【事前学習】p72~p76を予習しておく。(100分) 【事後学習】p75表4‐2を参考にして、授業で扱った以外の等核二原子分子の分子軌道について図で考えてみる。(120分) |
第12回 | 【授業内容】異核二原子分子(LiH、HF、NO)における分子軌道 双極子モーメント メタン、エチレン、アセチレンにおける分子軌道(C原子のsp³、sp²、sp混成軌道) 【事前学習】教科書p86~p90、p79~p81を予習しておく。(100分) 【事後学習】授業で扱った以外の異核二原子分子の分子軌道を図で予想し、結合次数を計算してみる。(120分) |
第13回 | 【授業内容】エチレンのπ結合の形成 ヒュッケル近似法 ブタジエンのπ結合と共役二重結合 永年方程式を用いたエネルギー固有値の計算 【事前学習】教科書p81~p86を予習しておく。(100分) 【事後学習】シクロブタジエンの永年方程式を求め行列式を解いてみる。(120分) |
第14回 | 【授業内容】色とは何か 分子の色 分子分光学の基礎 【事前学習】教科書p101~p111を予習しておく。(100分) 【事後学習】光の三原色、色の三原色、補色の関係、様々な染料・色素分子の構造式について調べてみる。(120分) |
第15回 | 平常試験とその解説 全体的な振り返り 【事前学習】授業1回目から14回目までの内容を十分に復習しておく。(420分) 【事後学習】解答できなかった問題、不正解だった問題をもう一度調べなおす。(100分) |
その他
教科書 |
真下清 他 『物理化学入門』 東京教学社
2~4章および5章の一部の内容を扱う。各授業回で指示したページをあらかじめ読んで、疑問点や不明点を明らかにしておくこと。
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参考書 | |
成績評価の方法 及び基準 |
平常試験(60%)、授業出席状況・授業に取り組む姿勢(20%)、演習(20%) 出席が総授業時間数の3/5に満たない場合は履修放棄として取り扱い、成績の査定は行わない。 |
質問への対応 | 授業中、授業終了後に教室で質問を受け付けます。 |
研究室又は 連絡先 |
船橋校舎8号館838号室 E-mail:kiya.kouzo@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
量子化学では化学反応式に類するものはほとんど扱われず、基本的には数式や考え方が中心で、微積分等の数学的知識が必要です。決して取り組みやすい分野ではなく、積み重ねの学習が大切です。そのためにも毎回の出席を心がけて下さい。授業では分かりやすい板書、話し方を心がけます。皆さんは真面目な学習態度で授業に臨んでください。 |