日本大学理工学部 日本大学大学院理工学研究科
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活躍する卒業生

理工学部で得てきた経験が、イプシロンロケット打上げの支えになりました。株式会社IHIエアロスペース 阪上 郁 航空宇宙工学科 2012年度卒業 (2014年度大学院修了)

©JAXA
2021年11月9日に打上げられたイプシロンロケット5号機。
当日は管制室にあるモニタで打上げの様子を見守っていました。
建物の中にいても、音と振動は大きかったです!

IHIエアロスペースが開発を担うイプシロンロケット打上げの最終整備にあたり、ロケットに積んだ電気系統の点検に対応するチームの指揮をとっています。機器の電源を入れ、正確に応答するか、挙動に不備がないか、センサーに不具合はないかといった入念なチェックを重ねた上で打上げへと進めていきます。私は初号機から4号機までを担当していた先輩から受け継ぐ形で、5号機からチームの指揮をとっていますが、最初のプレッシャーはやはり相当なものでした。打上げまでのカウントダウンの際、手元の緊急停止ボタンに手をかけて行く末を見守るのですが、「万が一の時には私たちがボタンを押し、確実に止めなければならない」という緊張のため、小さく震えていたことを覚えています。無事に打上げ成功の合図を目にした際には、心から安堵しました。目標を見据えた工程を一つひとつ、チームの仲間と地道にクリアしていき、みんなで一歩ずつ進んだ先に得た成功だからこそ、喜びもひとしおです。今では当たり前のようにイプシロンロケットに接していますが、入社当初は理解も浅く、企業特有の製品名称や覚えるべき用語・略語なども多いため苦労しました。また打上げに向けた社内での試験や点検についてもよりブラッシュアップした手順を作成する必要があるので、膨大な資料を頭に入れた上で従来の手順を改善していく、という作業は非常に骨が折れました。

そうした中で役立ったのは、航空宇宙工学科で身につけてきた知識です。宇宙に関わる先端技術のベースとなる考え方やロケットの基本的な設計・構造などの学びを得ていたことは、仕事を進めていくための大きな助けになりました。
4号機打上げの際には、理工学部が関わった人工衛星も搭載され打上げられたと聞き、卒業生として大変誇らしい思いでした。将来は後輩が手がけた人工衛星が、私の携わるイプシロンロケットと共に打上がる可能性も…と考えると、さらに夢が広がります。

(取材 2022.3)

  • 航空宇宙工学科 2012年度卒業 阪上 郁
  • 海洋建築工学科 2014年度卒業 本下 知輝
  • 交通システム工学科 2009年度卒業 棚橋 知世
  • 応用情報工学科 2017年度卒業 樋口 凌
  • 物理学科 2012年度卒業 黒柳 貴子