日本大学理工学部

Step2

超ミクロの世界への旅-素粒子物理学から見た究極の世界-

量子科学研究所

「物質は何からできているのだろう?」物質の究極や基本物質の存在を問うこのような疑問は、古代ギリシャの時代からありました。19 世紀には、全ての物質は原子から構成されていることが明らかになり、それらの原子は化学の教科書にも載っている周期律表にまとめられています。20 世紀初頭には、原子が原子核とそれを取り巻く電子からできていることがわかり、それにより周期律表の原子配列の規則も理解できるようになりました。さらに1930 年台には、原子核は陽子と中性子から成り、それらはパイ中間子を媒介することで互いに強く結びついていることがわかりました。

現在では、陽子、中性子、パイ中間子などは全て、クォークと呼ばれる究極の粒子(素粒子の一種)から構成されていることがわかっています(例えば、陽子はu クォーク2 個とdクォーク1 個からできています(図参照))。素粒子物理学では、クォークの存在が確証されているにもかかわらず、クォーク自体を単体で取り出すことはできないと予想しています。これは、クォークの閉じ込めと呼ばれていますが、現時点で、クォークの閉じ込めに対する満足な証明は与えられておらず、21 世紀に残された難問の一つになっています。

この講義では、以上のような歴史的な背景を踏まえ、物質の究極と考えられているクォーク、電子、ニュートリノなどの素粒子、そしてそれらを統一的に理解するための試みに関する入門的なお話をしたいと思います。

出口 真一
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