機械工学科/専攻
丸井 勇介
本田技研工業株式会社
2007年3月 機械工学科卒業
現在のお仕事の内容を教えてください。
私は入社時以来一貫して2輪車のエンジンの開発部門に所属し,現在は熱流体解析(CFD)を用いたエンジン設計を主業務としています。Honda2輪の主要マーケットであるインド,東南アジア地域で販売する小型2輪車は燃費性能が非常に重視されますが,それと同時により低価格な商品が求められるため,可変機構や電子スロットルのようなデバイスに頼ることができません。よっていかにそれらデバイスなしでの燃焼を良くするかが重要で,CFDを用いてエンジン筒内の流れや燃料の混合状態をシミュレーションしながら,実際のエンジンでテストした結果と比較することで現象理解を深め,燃費が良くなる燃焼の構築に取り組んでいます。また最近はmotoGPエンジンの設計にも携わったり,HySE(水素小型モビリティ・エンジン研究組合)の所属メンバーとして,水素エンジンの燃焼シミュレーションを担当し,同業他社のエンジニアの方々と定期的に技術ディスカッションしたり,大学との共同研究にも参画しています。

現在のお仕事に,学生時代の学びがどのように役立っていますか?

学部1,2年生の時は,旋盤加工や材料引張試験,紙製図などの実体験を経ることにより,ものづくりへの感性や興味を養い,3,4年生は机上メインではあるものの,実体験に基づいた理解修得もでき,私としては在学中にエンジニアになるための準備が整ったと思います。研究室は内燃機関の専攻で庄司研(飯島研の前身)に所属し,実際にエンジンを触りながら実験していたことでエンジンや燃焼の基礎を学べていたため,入社後もスムーズに仕事を覚えることができました。さらに私の場合は,学生フォーミュラサークル(円陣会)に所属し,活動の中で実際の企業に勤めるエンジニアの方々と接する機会もあり,早い段階からより身近にエンジニアという職業を実感できた,という諸々の経験が現在の私を構築したものと感じています。
学生生活での思い出を教えてください。
一番の思い出は学生フォーミュラ活動(円陣会)に4年間,朝から晩まで没頭したことです。学部4年時にはドライバー兼エンジンテストやカウルデザインを担当し,総合優勝はできませんでしたがメインの走行競技では2位を獲得し,大きな達成感を得ることができました。また大会直前に自分の勉強不足でエンジンを誤組して壊してしまいましたが,内燃機関棟に連日泊まり込みで深夜まで作業し,なんとかリカバリーして大会に臨めたのも良い思い出です。印象に残っているのはその時にできた仲間たちで,自動車業界以外に就職した人間もいますが,彼らとは今でも交流が続いています。
機械工学科を目指す高校生へのメッセージをお願いします。
将来やりたいことが定まっている人もそうでない人も,現在は私が大学に入学した時に比べて世の中の動きが大きく,予測不能なVUCAの時代と言われています。そんな時代を生き抜くためには常識にとらわれず,いろいろなことに興味を持って,失敗を恐れずにまずはやってみることが大切だと思います。学科の選択で悩まれると思いますが,機械工学は4力学を基礎とし,ものづくりの基礎分野となる学問です。そしてものづくりの感覚・感性は原理原則をしっかり学んだ上で,実際にモノを見て触って感じることで磨かれていきます。機械工学科に入学すれば多くの学びと実体験の機会に恵まれ,ご自身の将来の方向性を定める上で有用な学生生活が送れるはずです。将来世の中で活躍する極意は,好きこそ物の上手なれだと思いますので,課外活動も加えて,学生生活の間にご自身が好きなこと・没頭できることを見つけてほしいと思います。