直径250mの風力発電システムを浮かべる世界

担当講師:居駒 知樹

風力発電では大きな風車が使われます。
その直径は陸上の場合は130m程度ですが,海に設置される洋上風力発電ではもっと大きくなります。
世界で開発が進む最新の洋上風力発電風車の直径は250mにおよびます。
このような大きな風車を載せた100m規模の大きな浮体を海に浮かべるのが浮体式洋上風力発電です。

日本でも開発がどんどん進み2040年にはたくさんの風車が沖合に浮いていることでしょう。
海で風力発電を行う意味やそれを実現する技術を知りたいとは思いませんか?

洋上風力発電開発イメージ図

製鋼過程で発生する産業廃棄物のリサイクルと環境対策

担当講師:梅村 靖弘

自動車や建築構造物など私たちの暮らしに必要な物を製造する材料として重要なものに鉄鋼があります。
鉄鋼を作る段階で出る産業廃棄物は「鉄鋼スラグ」と呼ばれその多くが, まだ有効利用されずに放置されています。鉄鋼スラグには「高炉スラグ」と「転炉スラグ」の二種類があります。高炉スラグは国内で約2300万t発生しセメント材料等として有効利用されています。
しかし, 転炉スラグは約1000万t発生しますが, 含有する遊離石灰の水和により膨張崩壊するため埋立用材に使用される以外, 有効利用の方法が確立されていません。

一方, コンクリートの材料であるセメントは石灰石を原料として作られるもので, 製造時に原料を約1450℃で焼く必要があり, その際, 多量の二酸化炭素を排出することから地球温暖化対策が必要となっています。
そのためセメントを減らしてセメントの代替となる材料の活用が求められています。転炉スラグが高炉スラグと同様にセメントの代替材料として使えるようになれば, リサイクル面で有効利用が可能となるだけでなく, セメントの生産量を減らすことに役立つことになります。

以上のことから, この授業を通じてリサイクルと環境問題は別々のものではなく, つながっているものだということを理解して下さい。

製鋼過程と鉄鋼スラグ

海を舞台にした科学技術の世界

担当講師:居駒 知樹

日本は世界で6番目の広さの海を管理しています。
そこでは水産業が営まれていますが,みなさんが思っているほど海という場を使っていません。
日本の貿易の99%以上が船で賄われているので,港は驚くほどたくさんあります。
しかしながら,海は船が通るだけの場所になっています。世界では海上で石油や天然ガス開発が行われ,洋上風力発電の開発も進みますし,海上基地の構想や海上都市の構想まであります。
土木・建築・機械・電気・情報・環境などの全ての科学技術が海を舞台に展開されているのです。

海がどのように活用されているか,そしてどのように活用できる可能性があるのかを知りたいとは思いませんか?

浮体式洋上風力
浮体式洋上風力

「都市」を眺め,そして創る

担当講師:大沢 昌玄

私たちは,「住む」「働く」「学ぶ」「遊ぶ」ことの多くを都市で行っています。そして,私たちは生活する上で「安心」して「快適」にそして「楽しく」暮らせることを望んでいます。
つまり,都市を考えることは自分の生活環境を考えることでもあるのです。そこで私は,皆さんに,快適で楽しく安心して暮らせるまちづくりについて,現在の都市を眺めながら,都市の成り立ちを踏まえ未来の都市について解説します。また,東日本大震災の復興都市計画の進捗状況などをお伝えします。

  1. 身近な都市を眺めてみる:都市とは何か?そして都市の見方,感じ方についてお話します。
  2. まちづくりの考え方について:まちづくりについて,その構想から計画,設計の概念について実例を用いて解説します。
  3. 現在進められている都市再開発プロジェクトや大規模インフラの紹介
  4. 都市の履歴書:我が国の都市の多くは,戦争や災害からの復興事業により整備されています。現在の都市に至るまでのまちづくりの過程,どのような技術者が活躍したのかをお話します。
  5. 東日本大震災の復興都市計画:復興計画の苦悩と実際をお話します。
横浜みなとみらい21(皆が集う、観光地、デートスポット)
原宿・表参道
(緑豊かな街路空間)
横浜みなとみらい21(皆が集う、観光地、デートスポット)
横浜みなとみらい21
(皆が集う,観光地,デートスポット)
陸前高田市内及び 高田松原公園(津波でなぎ倒され、唯一残った松)
陸前高田市内及び 高田松原公園
(津波でなぎ倒され,唯一残った松)

海に浮かぶ未来都市を支える浮体式海洋構造物の世界

担当講師:惠藤 浩朗

海に浮かぶ未来都市は,気候変動が進むこれからの時代に,人類が新しい暮らし方を切り開くための大きな可能性を秘めています。
浮体式海洋構造物は沈まず,津波の力を受け流し,必要に応じて移動できる柔軟さを持ち,陸上では実現できない安全性と自由度を備えています。
埋め立てに頼らず海を傷つけないまま都市や港を広げることができ,洋上風力などの再生可能エネルギーの拠点としても活躍します。
さらに,海面上昇で国土が失われつつある地域を支える“新しい大地”となり,災害時には独立した電力や水を備えた海上の避難都市として人々を守る力もあります。

海に建てるという発想は,国土の限界を超え,未来の社会を自分たちの手でつくるための挑戦そのものであり,これらの可能性についてわかりやすく解説します。

水素生産のための浮体式海洋構造物
水素生産のための浮体式海洋構造物
弾性係留索により係留された浮体式海洋構造物
弾性係留索により係留された浮体式海洋構造物

プロジェクトを評価する

担当講師:金子 雄一郎

私たちの身の周りにある道路や鉄道,上下水道,エネルギー施設など-これらは社会基盤施設(インフラストラクチャー)と呼ばれています-は,毎日の暮らしの中で欠かせない施設です。そのため,施設を整備する際には多くの場合,貴重な税金が使われます。
税金は有効に使われなければなりませんので,整備に要する「費用」に見合うだけの「効果」が得られるのか,事前に十分チェックしておく必要があります。

社会基盤施設を整備するプロジェクトの評価は,
(1)プロジェクトを実施した場合(With-Case)と実施しなかった場合(Without-Case)にどのようなことが起こるかを想定し,
(2)両者の差からプロジェクトによる「効果」を算定し,「費用」と比較することで行われます。

ここでいくつかの問題があります。「効果」と「費用」を同じ単位で比較できるのでしょうか?
例えば,バイパス道路が整備された場合,自動車の利用者には走行時間の短縮,ガソリン代の節約などの「効果」が発生しますが,これらの「効果」を「費用」と比較するためには「円」の単位で表される必要があります。
どのように「時間」を「円」に換算するのでしょうか?

また,社会基盤施設は非常に長い期間利用されます。そのような「将来の価値」について,現時点でどのように評価すればよいのでしょうか?

講義ではプロジェクトの評価方法について,最近の整備事例を紹介しながら,以上のような疑問に答える形で,分かりやすく説明します。

橋
バイパス
トンネル

交通ビッグデータによるスマートな都市交通の創造

担当講師:石坂 哲宏

現在の都市交通システムは,様々なビッグデータによって支えられています。
身近な交通ICカードなど公共交通機関を便利に快適にさせる情報や,車両感知器などの道路交通情報など自動車を使った移動を最適にする情報まで様々です。

複雑で多様化する交通問題に対応するためには,全ての物事に対して情報を活用して有機的に連携する必要があります。
鉄道は鉄道,バスはバス,自動車は自動車のためだけでなく,複数の交通機関のビッグデータを有機的に活用し,混雑緩和や環境改善に適用している事例を具体的に紹介いたします。
また,現在の交通状況を把握する技術として,移動している車両から直接交通情報を収集するプローブ情報システムを,車両が動くコンピュータグラフィック(交通シミュレーション)を利用して,紹介したいと思います。

自動運転バスのシミュレーション
自動運転バスのシミュレーション
有機的な連携
有機的な連携

都市・交通の観点からのSDGs-地球温暖化と生物多様性の観点から-

担当講師:伊東 英幸

近年,地球規模での環境問題として地球温暖化や生物多様性の減少が大きな問題となっています。
これらの問題の解決に向けて持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)が2015年に国際連合で採択され,世界中の課題に対処するための17の具体的な目標が示されました。

私の講義では,都市と交通の観点から現状の地球温暖化や生物多様性に関する現状と課題を解説するとともに,私達の生活は地球が何個必要な生活をしているのか,電気自動車は本当に環境に優しいのか,再生可能エネルギーを活用したカーボンニュートラルな交通とまちづくりの事例,自動車と動物の事故(ロードキルなど)の現状や生物多様性との共生を目指した交通などに関する講義を行います。

持続可能な開発目標(SDGs)
持続可能な開発目標(SDGs)
ロードキル対策
ロードキル対策

多様な移動空間のデザインを考える

担当講師:江守 央

人が徒歩で移動する空間はどうあるべきでしょうか?
その空間を利用する人にはさまざまな方がいます.例えば高齢者など歩くスピードが遅い人から若い人のなど早く歩ける人もいます.また,車いすやベビーカーを利用している人も同じ空間を共有してい移動をしています.

このようなさまざまな人に向けた空間づくりを行うことをユニバーサルデザイン・あるいはインクルーシブデザインといって,日本の主要な都市では誰もがスムーズに移動できる工夫がされています.
また,今後は新しい個人の移動手段として「パーソナルモビリティ」といわれる電動の乗り物や配送ロボットといった様々な端末が歩行空間を共有していくこととなります.

自転車ほど遠くへは行かない,けど歩きではちょっと遠いなといった場所にどんな手段を使うと楽しく移動できるでしょうか?
また,まちの特色を生かした移動空間のデザインも考えられるでしょう.今後の歩行空間に求められる機能をみんなと考えていきましょう.

開放的なスウェーデンの交差点
開放的なスウェーデンの交差点
スウェーデンでは歩行空間にパーソナルモビリティが溢れています
スウェーデンでは歩行空間にパーソナルモビリティが溢れています

生活道路の交通安全

担当講師:小早川 悟

日本の交通事故件数は平成から令和にかけては減少傾向が続いています。
それでも年間2000名をこえる人が交通事故で亡くなっています。現在,交通事故ゼロを目指して様々な取り組みが行われています。

近年,特に注目されているのが生活道路での交通事故対策です。幹線道路と異なり,狭い道路にもかかわらず,自動車と歩行者,そして自転車などが混在して通行する生活道路での交通安全対策の事例を紹介しながら,都市計画や道路計画の考え方にもとづいて,交通安全対策の最新情報も含めて身近な道路での安全について講義をします。

生活道路の交通実態調査
生活道路の交通実態調査
住民の方々への説明会
住民の方々への説明会
交差点での交通事故対策(カラー舗装)
交差点での交通事故対策(カラー舗装)
交差点での交通事故対策(自転車矢羽根とカラー舗装)
交差点での交通事故対策
(自転車矢羽根とカラー舗装)