住宅の高断熱化と省エネルギー

担当講師:井口 雅登

カーボンニュートラル社会を目指すため,住宅でもエネルギーをできるだけムダなく使うことが求められています。
住宅で使われるエネルギーのうち,約3割は暖房に使われているため,まずは「高断熱の家」にすることがとても大切です。
そのうえで,太陽の熱などの自然エネルギーを上手に使ったり,エネルギー効率のよい機器を選んだりすることも重要です。

そして,2025年4月からは,新築住宅の省エネ基準への適合が義務になります。
これによって,家の中の温度が快適に保ちやすくなったり,健康にも良い影響を与えたりと,たくさんのメリットが期待できます。
さらに,しっかり断熱された家では,エアコン1台だけで家全体を暖冷房できるような,新しいスタイルの空調も可能になります。

このように,住宅の「断熱」はこれからの家づくりにとってとても大切なポイントです。
本講義では,住宅でのエネルギーの使われ方や,なぜ断熱が重要なのか,そしてこれからの住宅がどう変わっていくのかについて,解説していきます。

地球と人中心の都市デザイン

担当講師:泉山 塁威

「地球と人中心の都市デザイン」について講義します。近代都市計画以降,経済合理性と機能が優先され,自動車中心の都市で,日本も世界中の都市がつくられています。
しかし,本来は,私たち人が豊かで,快適な都市生活を送り,都市生活の質(QOL /QOPL)やウェルビーイングに寄与する都市(人中心の都市)であるべきです。
さらに,昨今の気候変動等,地球温暖化の問題も深刻です。それらは人の活動によってもたらされています。

これからは,人中心はもちろんのこと,地球と人中心の都市デザインを探求し,研究と実践をしていく必要があります。
そんな最先端の都市デザインの講義を行います。

人中心のストリート(Degras Street・メルボルン・オーストラリア)
人中心のストリート(Degras Street・メルボルン・オーストラリア)
(図版・画像等の出典や引用元:Shutterstock)
池袋駅東口グリーン大通りオープンカフェ社会実験(東京都豊島区)
池袋駅東口グリーン大通りオープンカフェ社会実験(東京都豊島区)
(図版・画像等の出典や引用元:Knit Green実行委員会)
パークレット(バレンシアストリート・サンフランシスコ・アメリカ)
パークレット(バレンシアストリート・サンフランシスコ・アメリカ)
(図版・画像等の出典や引用元:Photo by Rui IZUMIYAMA)

デザインの可能性

担当講師:中村 航

建築(特に現代)のデザインには多くの可能性があります。
家具スケールの小さいものから,都市スケールの大きいものまで,建築の領域を拡張するようなデザインの可能性についてお話しできればと思います。

街中の写真
街中の写真

建築物は社会の写し鏡

担当講師:二瓶 士門

建築物は,社会の要請にともなって進化してきました。
例えば集合住宅は,産業革命以降の近代化によって都市部への人口集中が進み,19世紀に資本家が労働者のために住宅を整備したことが始まりとされています。
その後,工業化・都市化・車社会の到来を見据え,建築家たちはさまざまなモデルを設計してきました。
日本では,戦後に多くの集合住宅が建設され,独自の文化として定着してきました。

「なぜ日本では集合住宅が『マンション』という呼び名で広く浸透しているのか?」
「なぜ間取りは『nLDK』という表記で呼ばれるのか?」
こうした疑問をひも解くことで,集合住宅の歴史と現在を理解し,過去とのつながりや将来の可能性に気づくことができます。

パークハウス吉祥寺OIKOS
パークハウス吉祥寺OIKOS
撮影:鈴木研一
パークハウス吉祥寺OIKOS
パークハウス吉祥寺OIKOS
撮影:鈴木研一

自然素材と建築

担当講師:廣石 秀造

担当講師:廣石 秀造

建築は,身近で入手しやすい自然由来の材料(自然素材)を用いてつくられてきました。
その結果,国や地域ごとに特色ある建築が生み出されています。近年では,環境への配慮の観点から,このような自然素材の価値が改めて見直されています。
しかし,各素材には固有の特性があり,それぞれの特徴と向き合いながら適切に活用していくことが求められます。

本講義では,自然素材と建築との関係,特に素材の特徴を生かした建築の構成方法について,木材を中心に事例を交えながら紹介します。

木材の素材の特徴を生かした建築

よい建物はつくり方が大事

担当講師:渡邉 悟士

超高層や大規模な建物をつくるためには,設計を工夫するとともに,それを実現するための特別な材料や作り方(工法)が必要になります。
ここでは,コンクリートに関する技術開発と,それを適用した建物について紹介します。

超高強度コンクリートの製造
超高強度コンクリートの製造
(図版・画像等の出典や引用元:渡邉悟士、保利彰宏、鳴瀬浩康、長瀧重義:シリカフュームが高強度コンクリートの物性に及ぼす影響の評価に関する研究、セメント・コンクリート論文集、No.62、pp.419-426、2009.2)
超高強度コンクリートの切断面
超高強度コンクリートの切断面
(図版・画像等の出典や引用元:渡邉悟士、寺内利恵子、小田切智明、阿部剛士:高品質粗骨材選定技術による超高強度コンクリートの品質の安定化、コンクリート工学、Vol.45、No.2、pp.32-40、2007.2)
鋼繊維補強コンクリートの靭性試験
鋼繊維補強コンクリートの靭性試験
(図版・画像等の出典や引用元:渡邉悟士、今井和正、高橋智也、黒岩秀介:構造設計への反映を想定した鋼繊維補強コンクリートの靭性能の評価に関する検討、コンクリート工学、Vol.61、No.8、pp.665-672、2023.8)
コンクリートの非破壊試験
コンクリートの非破壊試験
(図版・画像等の出典や引用元:渡邉悟士、菱川量巳、構健剛、並木哲:超音波法による構造体コンクリート強度の推定に関する研究、日本建築学会構造系論文集、Vol.81、No.720、pp.191-198、2016.2)

大空間建築のデザイン-建築家のイメージ・言葉

担当講師:長谷川 洋平

2007年に世界文化遺産に登録されたオーストラリアの「シドニー・オペラハウス」は,その姿からヨットの帆や,白い貝殻が連想されるといわれています。
岬の先端に位置するという環境から建築家はこのような大胆なかたちを提案したのではないでしょうか。

この授業ではシドニー・オペラハウスのような大きな屋根をもつ建物を大空間建築として着目し,その成り立ちについて説明します。
また大空間建築の特徴の一つである「巨大さ」が環境や社会へ及ぼす影響について,建築家たちがどのように捉え設計するのか。
環境に関わる建築家のイメージや言葉についてお話したいと思います。

シドニー・オペラハウス
シドニー・オペラハウス

これからの少子高齢社会と海浜空間

担当講師:山本 和清

日本では21世紀に入り,超高齢社会といわれる本格的な高齢者の時代を迎えようとしています。
その対策として,2006年12月のバリアフリー新法制定など,建物内部及び公共交通空間における移動の利便性や安全性の向上が推進されつつあります。
それらの対策により,高齢者・障害者の外出が容易となり,海洋性レクリエーションへの参加意欲が向上していくものと考えられます。
そのためにはバリアフリーとしての対応では限界があり,今後は個々の施設が円滑につながり,安全かつ自由に行動でき,全ての人々にとって優しい配慮のされたユニバーサルデザイン整備が必要であると考えられます。

また,海浜空間の利用計画では,サイン計画が重要な視点であると言えます。
広大な海浜空間では自分の位置の把握が困難であり,特に高齢者の場合,トイレや休憩場所の位置など,文字ではなく一目で分かるサインが必要不可欠なものであると言えます。

以上のような社会状況から,この講義では日本がこれから迎える超高齢社会において,健常者だけでなく,高齢者・障害者を含めた全ての人々が,海浜空間のもつ魅力を満喫できるようなシステムを構築するための手法についてお話します。

海外における海浜空間のサイン事例

環境に配慮した海洋利用を考えよう

担当講師:吉田 毅郎

海に囲まれた日本において,海との共存共栄は今後日本が目指すべき姿だと考えられます。
近年では海洋再生可能エネルギーや水産資源の安定供給としての養殖業など様々な海洋利用が注目を集めています。
しかし,海洋空間における構造物の設置は環境に影響を及ぼします。
適切に計画・管理されなければ,生態系の変化や底質の悪化など様々な負の影響をもたらす可能性があります。
そこで「環境に配慮した海洋利用」を考える必要があります。

本講座では,こうした観点を踏まえ,海洋再生可能エネルギーの導入に伴う環境影響と,養殖場における海底環境保全の取り組みを主なテーマとして,環境に配慮した海洋利用の在り方を総合的に考察します。
具体的には,洋上風力発電などの再生可能エネルギー設備が魚類および周辺環境に与える影響や,養殖場における自家汚染と呼ばれる環境問題とその改善策について解説します。最新の研究成果や事例を交えながら,技術的な対策についても説明します。

本講座は受講対象者の興味関心にあわせて,扱うトピックや事例の選定を調整する可能性があります。
本講座を通じて,環境と調和した海洋構造物の意義を理解し,持続可能な海洋利用に興味を持っていただければ幸いです。

構造物周辺の魚類
構造物周辺の魚類
画像処理されたナマコ
画像処理されたナマコ
養殖場の堆積物
養殖場の堆積物
網の付着物
網の付着物

自動運転で渋滞をなくせるか?

担当講師:青山 恵里

私たちの生活をより便利に,快適にしてくれると期待される自動運転ですが,自動運転によって渋滞をなくすことはできるでしょうか?
そもそも,なぜ渋滞が起きるのでしょうか?そして,自動運転と人による運転とでは何が変わるのでしょうか?

授業では,まず,車の流れの特徴や,渋滞が起きるメカニズムの説明をします.その上で,自動運転が渋滞をなくすことができるのか,一緒に考えてみましょう.

都内での自動車交通流の観測
都内での自動車交通流の観測
カナダでの現地調査
カナダでの現地調査
米国での現地調査
米国での現地調査