どうなってる?音よりも速い世界

担当講師:菊池 崇将

「ピカッ…(1, 2, 3) …ゴロゴロゴロッ」

雷が光ったとき,音がするまでの時間を数えて,どこで雷が発生したか考えたりしてませんか?

雷が光ってから,音が遅れてやってくるのは,光の伝わる速さよりも音の伝わる速さが遅いためです。
この音の伝わる速さを「音速」と呼び,空気中ではおよそ345m/sです。

私たちの身の回りには,音速に比べて十分遅い速さのものしかないため,音速の影響を感じることはありません。
しかし,もし音速に近い速さまで加速したら?音よりも速く動いたら,一体どんな世界になっているのでしょう?
そこには,音よりも速い「衝撃波」と呼ばれる波が存在する特殊な世界になっています。

本講義では,音よりも速い超音速の世界と,そこに存在する衝撃波について,実例を交えながら説明します。

航空機に使われているアルミニウム

担当講師:小宮 良樹

航空宇宙分野でよく用いられている金属材料には,アルミニウム合金があります。
アルミニウム合金は,お菓子などの包装用,アルミ缶,窓にはアルミサッシなど身の回りにたくさん使われています。
これらのアルミニウム合金は,航空機などに使われている合金と少し違いがあります。それは,軽くて丈夫であることです。
主成分はアルミニウムで同じですが,少しの工夫で,金属の性質を変えることができます。
では,どういう工夫をして軽くて丈夫な材料を作り出しているのでしょう。

そのなかには,料理と似ていて,少し別な物を加えたり,加熱する温度や時間を変えたりする方法があります。表面上の見た目は,ほとんど変わりませんが,強くなったり,軟らかくなったりします。
このからくりを明らかにするには,金属を大きく拡大する必要があります。通常ミジンコや植物の葉の表面を観るための顕微鏡では,1000倍くらいが限界であり,このからくりは見えません。電子顕微鏡を使う必要があります。

アルミニウム合金が強くなるからくりを,電子顕微鏡で観察した写真を見せながら説明します。

グライダーの飛行の科学

担当講師:齊藤 允教

グライダーとは,エンジンの力を使わずに空気の力と重力だけで滑翔する乗り物です.
19世紀にオットー・リリエンタールによってグライダーによる飛行試験が行われて以来,今日の航空機の原点であり,航空機が飛ぶ仕組みを理解する上で最も基本的な乗り物です.
グライダーが長時間飛行するためには,上昇気流と呼ばれる,重力と逆らう向きに流れる空気の力が必要となります.うまく上昇気流を利用できれば,数時間の滞空や,数百kmの距離を無動力で飛行する事が可能です.
上昇気流を発生させる原因は,地球規模で循環する風や,ゲリラ豪雨の原因でもある局地的な対流など様々です.

本講義では,まずグライダーの歴史や飛行する仕組みを解説します.また,上昇気流が発生する仕組みを解説し,グライダーが長時間飛行できる秘密に迫ります.最後に,最新のグライダー技術についてご紹介します.

翼周囲を流れる気流の流速と圧力の計算結果

宇宙ロケット開発入門

担当講師:髙橋 晶世

そもそもロケットってどうして飛べるのでしょう?ロケットの構成は車とそっくり。ではどこが違うのでしょう?

本講義では,ロケットやロケットエンジンの基本について学びつつ,宇宙開発は実際にどのように行われているのか,今のロケットは何を目指しているのか,メーカ出身の講師とともに深掘りしていきます。
主な内容は下記の通りです。

ロケットはなぜ飛ぶのか/ロケットエンジンにはどんな種類があるか/ロケットエンジンをどうやって設計するのか/
ロケットエンジンをどうやって作るのか/ロケットエンジンをどうやって点火するのか/
ロケット開発にはどのくらいお金がかかるのか/ロケットエンジンを使う宇宙旅行は安全か/
ロケットエンジンの何を研究するのか/ロケットは将来どうなるのか/ロケットと自動車の違いは何か

宇宙ロケット
宇宙ロケット
(図版・画像等の出典や引用元:JAXA)

最適化のおはなし

担当講師:中根 昌克

工学において,ある程度設計が完了した場合に,ではどれだけより安く,より扱いやすく,より良いものを作成するか,という問題が発生します。
また,飛行機やロケットなどを飛ばす際,どのような飛行をすることで経済的になるか,ということが問題になります。
その際に必要となる手法が「最適化」です。

この講義では,最適化に関して身近な例から出発し,最終的にはちょっとだけ数学を用いて,様々な「最適化」に関する話題を提供していきたいと思います。

宇宙で人間が住む方法

担当講師:中根 昌克

自動車や建築構造物など私たちの暮らしに必要な物を製造する材料として重要なものに鉄鋼があります。
鉄鋼を作る段階で出る産業廃棄物は「鉄鋼スラグ」と呼ばれ,その多くが,まだ有効利用されずに放置されています。
鉄鋼スラグには「高炉スラグ」と「転炉スラグ」の二種類があります。高炉スラグは国内で約2300 万t発生しセメント材料等として有効利用されています。
しかし,転炉スラグは約1000 万t発生しますが,含有する遊離石灰の水和により膨張崩壊するため埋立用材に使用される以外,有効利用の方法が確立されていません。

一方,コンクリートの材料であるセメントは石灰石を原料として作られるもので,製造時に原料を約1450℃で焼く必要があり,その際,多量の二酸化炭素を排出することから地球温暖化対策が必要となっています。そのためセメントを減らしてセメントの代替となる材料の活用が求められています。
転炉スラグが高炉スラグと同様にセメントの代替材料として使えるようになれば,リサイクル面で有効利用が可能となるだけでなく,セメントの生産量を減らすことに役立つことになります。
以上のことから,この授業を通じてリサイクルと環境問題は別々のものではなく,つながっているものだということを理解して下さい。

超小型の人工衛星の世界を体験してみよう

担当講師:山﨑 政彦

昨今,学生が自分たちの手で超小型の人工衛星を開発し,外国等のロケットで宇宙に打ち上げ,大学に設置した地上無線局で衛星を管制する,という活動が活発に行われています.日本大学でも,複数機の衛星を開発しています.

写真は,現在開発中の地震に先行する現象を解明する約30㎝x20㎝x10㎝の超小型衛星Preludeです.
超小型人工衛星は大型衛星に比べると小規模ながら,機械工学・電子工学・通信工学等の各種要素技術(構造設計・回路設計・信号伝送・ソフトウェア)や,加えて打ち上げや電波に関する法的手続き等,それら全てをまとめて人工衛星システムを構築する力が必要とされます.

この講義では,実物相当の超小型衛星キットを用いて人工衛星の各サブシステムの役割や仕組みについて学びながら,人工衛星の開発方法を勉強していきます.

電離圏電子密度変動現象観測衛星Prelude(プレリュード)
超小型衛星キット

ドローンが飛ぶ仕組みとこれから

担当講師:増田 開

農薬散布や災害調査,荷物の配達など,様々な利用が期待されているドローン.ドローンといっても様々な種類があり,プロペラが複数ついたヘリコプタのような機体から,旅客機のような固定翼機など,用途や目的に応じて様々なものが開発されています.
一般的なヘリコプタのようなドローンが飛ぶ仕組み,利点・欠点,ドローンの種類などを説明したいと思います.

また,今研究室で開発中の今までとは異なるドローンを紹介していきたいと思います.

災害に役立つ小型無人飛行機について

担当講師:入江 寿弘

機械自身が目的のために自らが判断して行動するという,ロボットの技術は様々な分野で利用されています。
機械が人の様に知的に行動するためには何が必要なのでしょうか?
人が何か行動を起こす場合,何をするでしょうか?

一番はじめにすることは今現在の回りの状況を知ることです。
そして,次に目的を達成するための過去の経験や知識に基づいてどのように振舞うか考え,実行に移します。
ロボットも同様に回りの状況を知る「センサー」の技術,過去の経験を蓄積し判断する能力である「コンピュータ」の技術そして,実際に行動を行う「アクチュエータ」の技術が必要になります。

この様な技術を使って私たちは小型飛行機を飛ばそうとしています。
飛行機は上空から地上を見ることが出来るため,センサーにより様々な情報を得る事が出来ます。
特にテレビカメラを使って撮影した情報を用いて小型飛行機を飛ばすことが出来れば,超低空で地上の状況をリアルタイムで把握できるので,様々な応用が期待できます。
しかし,実現するには様々な難問を解決しなければなりません。実用化に向けての,私たちの取り組みの一端を紹介します。

実験のイメージ画像

やわらかな動作の歩行ロボット実現にむけて

担当講師:入江 寿弘

世の中では二足歩行ロボットは大企業だけでなく一般の人でも楽しめる時代になってきました。
でもそれらの歩行ロボットは本当に人や動物と同じ様に歩いているのでしょうか?
現在の歩行ロボットのほとんどは,取り扱いが容易な電気を使ったモータで動かしています。
この様なモータは歯車を使って減速しなければ力が出ないので必ず歯車を使っています。
しかし,歯車を使うと大きな力は出ますが硬い動きしかできません。つまり,ロボットはガチガチに固まった状態で歩いているのです。

では,人はどうでしょうか?あなたは歩いている時にどれぐらい力を入れていますか?
人が歩くときは必要な筋肉に力を入れれば,あとの筋肉はリラックスしていても歩けます。
着地の衝撃も筋肉がバネとして働く事により,うまく吸収して次の一歩の前進に役立てています。
ロボットにこの様な動作をさせることは出来ないのでしょうか?

私たちはロボットの筋肉に空気圧シリンダーを使って柔らかな歩行を行わせる研究をしています。
ロボットの形は三脚や二脚など人と違う形をしていますが,歩行を行わせる思想は人や動物から学んでいます。
これらの研究の一端を解りやすく紹介します。