プラズマ実験を体験しよう!-プラズマの性質と応用-

担当講師:小林 大地

物質を構成する原子が十分なエネルギーを得ると,原子から電子が離れ,イオンと電子が自由に運動する状態となります。
この状態をプラズマといい,固体・液体・気体に続く,物質の第四状態とも呼ばれます。宇宙空間に存在し,観測可能な物質のほとんどがこの状態にあり,私たちの身近にも,太陽や稲妻,炎,蛍光灯などプラズマが存在します。
プラズマの研究は,原子核同士が融合する反応を利用した新たな発電方法の開発をはじめとして,宇宙物理学や医療・産業分野での応用など多岐にわたり盛んに行われています。

この講座では,演示実験を通してプラズマの性質を解説します。また,日本大学理工学部物理学科で行われている研究についてもいくつか紹介します。

テスラコイルによる放電の様子
テスラコイルによる放電の様子

重力波で観る宇宙

担当講師:平松 尚志

アインシュタインによって提案された一般相対性理論は,重い物体の周囲で時空(時間+空間)が歪むことを予言しています。そして,その後のさまざまな天体観測によって,その予言は見事に的中することが確かめられました。この時空の歪みは,水面の波紋のように,空間の中を波として伝わっていきます。これを「重力波」といいます。

重力波は,時空の歪みが真空中を伝わる現象であり,「時空のさざなみ」とも呼ばれます。
重力波と電磁波には多くの類似点がありますが,大きな違いは「相互作用の強さ」です。重力は非常に弱い力であるため,途中に障害物があっても,重力波はほとんど減衰せずに透過してしまいます。アインシュタインの予言からちょうど100年後の2015年9月,アメリカの重力波レーザー干渉計 LIGO と呼ばれる検出器によって,この重力波が初めて直接検出されました(2017年ノーベル物理学賞)。
このとき観測された重力波は,約13億光年彼方で2つのブラックホールが合体した際に生じたもので,ブラックホール連星の合体を初めて直接観測した瞬間でもありました。

重力波の極めて高い透過性のおかげで,約138億年前,宇宙が誕生した頃に発生した重力波も,当時の情報を保ったまま宇宙空間を伝わっていると考えられています。重力波を観測することで,天文学や宇宙論は新たな時代へと突入しています。
本講義では,重力波とはどのような現象なのか,そして重力波観測によって私たちが宇宙について何を知ることができるのかについてお話しします。

宇宙の歴史
宇宙の歴史
(図版・画像等の出典や引用元:https://science.nasa.gov/mission/wmap)
重力波レーザー干渉計 LIGO
重力波レーザー干渉計 LIGO
(図版・画像等の出典や引用元:https://www.ligo.caltech.edu)
ブラックホール連星からの重力波のイメージ
ブラックホール連星からの重力波のイメージ
(図版・画像等の出典や引用元:https://www.ligo.caltech.edu)

“たくさん”が創る“ひとつ”の世界――相転移現象にみる集団性と秩序の誕生――

担当講師:河村 泰良

皆さんもご存じの通り,水は冷やすとある温度で突然氷になり,温めると水蒸気となって蒸発します。
日常の中では当たり前のことのように思えるかもしれませんが,温度を変えるだけで,たくさんの水分子の集まりが,まるで一つの意思をもったかのように性質をガラッと変える――改めて考えてみるととても不思議な現象です。

実はこのような現象は,水に限らず,さまざまな物質で見られます。
例えば,金属を十分に冷やすと,ある温度で突然,電気抵抗がゼロである「超伝導状態」と呼ばれる特殊な状態に移行します。また,普段はクリップなどを引きつける磁石も,加熱していくとある温度で磁力を失ってしまいます。

このように,温度を変えただけで物質の性質が劇的に変化するという,身近ながら奥深い現象の背後には,「たくさん」の粒子が集まったときに生まれる協調的なふるまいが潜んでいます。
これは,「ひとつ」の粒子では決して起きない変化が,集団として協力しあうことで初めて生じる現象であり,物理学では「相転移現象」と呼びます。

私たち理論物理の研究者は,この相転移のしくみを,熱力学や統計力学という物理の言葉で読み解いています。
この講義では,相転移の不思議さと面白さを,身近な例や簡単なシミュレーションも交えながらやさしく紹介し,熱・統計力学という深遠な物理の世界へと皆さんをご案内できればと思います。

相転移現象の例(磁石)
相転移現象の例(磁石)