都市計画の誕生 産業革命に対処した技術

担当講師:宇於﨑 勝也

高等学校の世界史では,英国において農業革命を背景に,ワットによる蒸気機関の改良によって産業革命が起り,「世界の工場」と呼ばれるまでに発展したこと,労働運動・社会主義に結びついていくことが紹介されています。
ここでは産業革命が引き起こした社会状況をさらに詳しく紹介し,それら「公害」を契機に近代の「(問題解決型の)都市計画」という新たな技術が創出され,暮らしやすく住むための方策が生み出されたことをお話しします。
また,それらが今日の都市にどのように結びついているかをお話しします。授業はプレゼンテーションツールを用いて,図表などを提示しながらのわかりやすいものです。

さらに,時間が許せば理念追求型の「理想都市」計画やわが国で大正時代に導入された都市計画の実態をも紹介します。

「ロンドンの上を走る鉄道」ギュスターヴ・ドレ(1872年)
「ロンドンの上を走る鉄道」ギュスターヴ・ドレ(1872年)
(図版・画像等の出典や引用元:ギュスターヴ・ドレ「ロンドン巡礼 ロンドンの上を走る鉄道」1872年)

美術館建築の楽しみ

担当講師:佐藤 慎也

建築物は,何らかの目的を持ってつくられていきます。
例えば美術館は,美術作品を展示し,それを観客が鑑賞することを目的としています。
時代によって美術作品のかたちは変化しており,絵画や彫刻だけではなく,空間そのものを作品として体験させるインスタレーションと呼ばれるものまで現れています。
そのため,美術作品の変化に応じて,美術館も変化を遂げる必要があるのです。

そんな美術館の歴史を,美術作品の変化とともに考えることによって,建築とはどのような目的を持って,どのようにつくられていくのかを考えることができるでしょう。

ルーヴル美術館
ルーヴル美術館
八戸市美術館
八戸市美術館

水族館の世界を裏側から覗いてみよう

担当講師:佐藤 信治

日本は四周を海に囲まれていることもあり,水族館は身近な施設の一つとして,皆さんも一度は訪れたことがあると思います。
その数は正確には捉えられていませんが,大きなものから小さなものまでを合わせると日本全国で100館以上,ひょっとすると150~200館近くあると言われています。
この数字は実に驚異的なもので,全世界の水族館を合わせても日本の水族館数を超えないといわれているほどです。
このため近年,各地に建設された水族館を見てみますと,他の館との差別化をはかるべく,観客を楽しませるための様々な工夫を展示に取り入れてきています。

一方で,これら生きた水生生物の展示を支える水族館の建築的な構成は一体どうなっているのでしょうか?
こうしたことについて,建物を建設する前の段階の「建築計画」という観点から捉えてみると意外なことがわかります。

「建築計画」とは,簡単に言うと建物を使いやすさの観点から研究する学問体系で,これらの研究成果を蓄積することは,快適な建築空間を作り出すために極めて重要なことです。
しかし,日本各地にこれほど多くの水族館が建設されているにもかかわらず水族館を設計するための「建築計画」的な基礎資科の数は,きわめて少ないというのが現状です。

本講義では,展示水槽を日夜,直接的に管理する飼育員の視点,つまり水族館の裏側にスポットをあて,今後の水族館建築のあり方を考えていきたいと思います。

イギリス
「Kingston upon hull
The Deep 水族館」
イギリス
「Kingston upon hull
The Deep 水族館」
イギリス
「Kingston upon hull
The Deep 水族館」
イギリス
「Kingston upon hull
The Deep 水族館」

超高層建築物の構造と歴史

担当講師:高橋 孝二

2011年3月に発生した東日本大震災では,超高層ビル群が大きく揺れ動く様子や高層階の人々が立っていられず床に這いつくばっている様子など,驚きの映像が記憶に新しいと思います。
これは「長周期地震動が原因で,高層ビルや高層マンションが大きく揺れました。」と報道等で言われています。こう言われてもなんだかピンとこないと思います。

本アカデミーでは,「何故このような現象が起きるのか」や,「超高層建築物の耐震設計はどのように行われているか」等を分かりやすく説明し,さらに我が国における超高層ビルの先駆けとなった霞が関ビルから最先端の耐震技術を紹介致します。

超高層建築物の耐震設計イメージ図

建築構造学-地震との闘いと建築を実現するテクノロジー-

担当講師:田嶋 和樹

建築構造学の役割の1つは地震などの安全な建物を世の中に実現することであり,もう1つは建築家による優れたデザインを実現可能な技術を提供することです。
本講義では,初めに日本の耐震技術が地震との戦いの中で磨かれてきた経緯に着目し,過去の地震被害を振り返りながら,地震被害から得た教訓について解説します。
また,著名な建築家による建築作品を紹介しながら,それらの作品の中で使用されている建築構造の様々な技術について解説します。

また,講義に際しては,建築学とは何か?など,建築学科に進学を希望する学生に対する事前の心構えなどについてもお話しします。

地震との闘いと建築を実現するテクノロジー
地震との闘いと建築を実現するテクノロジー

コンクリート造建築物を積み木あそびのように造る

担当講師:福井 剛

コンクリート造建築物を造るのにどのくらい時間がかかるかわかりますか。
地面より下に造られる基礎を除くと,1階分を造るのに3週間程度かかります。
このペースで高さ100mの30階建てマンションを造ると,90週,つまり約23ヶ月かかることになります。
この時間を短縮するには面倒な仕事を建設現場以外で行えば良いのです。
タワーマンションの建設では,柱や梁を工場で造り,建設現場で積み木のように組み立てる方法が主流となっています。

このような建物の造り方と,これをさらに進化させた方法について解説します。

巨大津波から命を守る―災害リスクを正しく理解しよう―

担当講師:星上 幸良

2011年3月に発生した東北太平洋沖地震に伴う巨大津波は,我が国の築き上げた沿岸まちづくりの防災リスクの脆弱さを明らかにした事は言うまでもありません。
震災から約9年が経過し,減災を目指したハード面での復興事業は収束を迎えつつあります。
これらの復興事業に適用された計画手法は,高度成長期に制度化された従来の技術であり,既に様々な課題が見えつつあります。
少子高齢化社会に向かっている我が国では,こうした自然災害に対して,新たな視点で安全・安心なまちづくりを実現しなければなりません。

「災害は,危機(自然現象)が脆弱性と出会うことで起こる」と言われています。
社会のもつ脆弱性は,防災計画がなかったり適切な危機管理がなされなかったりすることでさらに大きくなり,人的被害,経済的被害などを悪化させます。
つまり自然災害は,社会の脆弱性など人為的な原因により人的被害が拡大されている側面が大きいと言えます。

本講座では,東日本大震災での教訓をふまえ,自然現象としての津波のメカニズムだけでなく,人為的要因を踏まえた「災害リスク」について正しく理解し,今後の津波防災まちづくりの在り方や,巨大津波に対する避難計画立案に向けた心構えをテーマに講義します。
なお,講義は受講対象者の構成や希望テーマに合わせて,臨機応変に対応します。

津波防潮堤のあり方を考究する
津波防潮堤のあり方を考究する
防災は自助が大切、防災力を高める
防災は自助が大切、防災力を高める

防災・減災のための津波シミュレーション

担当講師:相田 康洋

南海トラフ地震の発生が懸念される現在,沿岸の人々を守るための施設整備が日本各地で進められています.
津波は,その規模の大きさから,水槽を用いた実験ですべてを把握することが困難な現象の一つです.
また,現在の観測技術では,今後発生する津波の規模を,事前に正確に推定することができないのが現状であり,あらかじめ想定される数多くの津波のパターンを網羅するためには,数多くの実験をする必要があります.

そこで力を発揮するのが,数値シミュレーションです.
太平洋全体を再現した津波実験をすることは不可能ですが,津波シミュレーションだったら可能です.
また,遡上した津波によって逃げ遅れる可能性がある地域を見つけることも,津波漂流物が漂流していく様子も,船舶が津波によって陸にのりあがる様子も,数値シミュレーションならば再現が可能です.
再現が可能だからこそ,対策を検討し,講じることができるのです.

この講義では,防災・減災のための津波シミュレーションについて動画を交えながら紹介します.

利用者のニーズに合わせた水回りのデザインを考えよう

担当講師:江川 香奈

生活に欠かせない「水回り」等のデザインをテーマに,建築計画学的観点と近年までのデザイン傾向について分かりやすく解説します。
ここでは,考案されてきた具体的なデザイン上の配慮点,利用者の使いやすさを考慮した設計手法や対策についても紹介します。
講義の後半では,使う人のニーズを取り入れた水回り空間等についてみなさんにもデザインする,または提案していただきたいと思います。
講義・演習は受講対象者の構成や希望テーマに合わせて,柔軟に変更・対応します。

キッチン(水回り)イメージ画像

建物は風で揺れるのか。

担当講師:扇谷 匠己

風が建物にどれほどの影響を与えるか考えたことはありますか。
建物は風ではびくともしない頑丈なものだと思っている方も多いと思います。しかし, 実は風は建物にとって非常に大きな脅威となり得ます。

風の脅威として「タコマ橋の崩壊」という歴史的な出来事が有名です。
1940年、米国ワシントン州のタコマに建設されたタコマナローズ橋が, 完成後わずか4か月で, 毎秒19m/sという比較的弱い風により激しく振動し, 最終的に崩壊してしまいました。
この衝撃的な事例は, 風と構造物の共振現象の恐ろしさを世界に知らしめ, その後の橋梁設計や建築設計に大きな教訓を与えています。

日本は、地震大国であるため地震に対する設計が主として行われてきました。しかし近年では, 60mを超える超高層建物, さらには100m, 200mを超える超々高層建物の建設も進んできています。

こうした超々高層建物は, はたして風で揺れてしまうのか。風と建物の関係について解説します。.