水をきれいにしながら温暖化防止も考える

担当講師:吉田 征史

生物は水がなくては生きていけません。
しかし,私たち人間の生活が便利になったことで排出量が増加した生活廃水・工場廃水などにより,水域では有機物・窒素・リンといった物質が増え,その結果,植物プランクトンが大量増殖し,まるで緑色のペンキを流したような汚い水域になってしまいます。
さらに近年,地球温暖化を起因とした海面上昇や異常気象などが続き社会問題となっています。
温暖化の原因としては化石燃料の燃焼(例えばガソリンの使用)による二酸化炭素(CO2)の増加が思い浮かぶと思いますが,日本のような火力発電をメインとしている国では電力需要の増加も大気へのCO2排出量を増加させます。

「水」と「大気」,別の環境問題を話しているようですが,水が蒸発すれば水蒸気が大気中へ放出されるように,実はとても密接に関わっています。

上に書いたような汚れた水域をきれいにするには,汚れている現場での対策と,水域への汚染物質の供給量を削減する対策(例えば下水処理)があります。

本講義では,水および汚濁物質の水中と大気中での循環,微生物による廃水処理の仕組み,それに伴う温暖化ガス排出抑制への関わり,そして水をきれいにしながら発電も行なう試みについてお話しします。

藍藻(植物プランクトン)
(顕微鏡写真)
藍藻(植物プランクトン)
(顕微鏡写真)
図2
気液平衡を利用して温暖化ガスを採取
図2
気液平衡を利用して温暖化ガスを採取
図3
微生物による排水処理と発電
(微生物燃料電池)
図3
微生物による排水処理と発電
(微生物燃料電池)

高速水流とその制御

担当講師:佐藤 柳言

日本には,2500基以上の数のダム(写真1)が整備されています。
ダムは,洪水調整・水資源の確保・水力発電・河川環境保全などを目的に造られるもので,我々の生活に欠かせない土木構造物の一つです。

ダムの堰上げによって貯められた水は位置エネルギーの大きい状態になるため,ダムからの放流水は大きな運動エネルギーをもつ流れ(高速水流)となります。
このような高速水流をダム下流側の河川・水路にそのまま流下させてしまった場合,河道・橋梁・道路などの施設や人家に被害を及ぼすことが想定されます。
このような事態を未然に防ぐため,ダム下流側には流水の運動エネルギーを小さくするための構造物(減勢工)を設けることがあります。

本講義では,代表的な減勢工を例に挙げ,ダム下流側で高速水流がどのように制御されているかを説明します。
また,私の研究グループが実施してきた高速水流制御の研究の一端を紹介します。
この講義を通じて,土木工学に水の流れに関する力学(水理学)の分野があることを知り,流水現象の不思議さと面白さを実感できることでしょう。

見えないモノを診る技術

担当講師:中村 勝哉

私たちの豊かな暮らしは道路,鉄道,ダムまたは電力施設等の多様な社会基盤施設と共にあります。
また,社会基盤施設は地盤に支えられており,施設の設計,維持管理においては施設を支える地盤の状態を把握する必要があります。
しかし,地盤内部の状態については目視で確認することが困難です。

確認することが困難な地盤内部を把握する手法の一つとして物理探査が挙げられます。
物理探査とは,対象とする材料の物理的な特徴を利用し,材料の状態を可視化する技術です。
そのため,地盤に力を加えることで反力等を得る方法とは異なり,地盤内部の状況を遠隔から把握することが期待できます。
しかし,適用する物理探査手法の限界,物理現象の計測方法について理解が不十分であると正しい結果が得られない場合があります。

本講義では,物理探査を用いて地盤内部を可視化する手法について紹介します。
また,地盤を伝わる弾性波を使った物理探査手法を例に手法の限界及び計測方法を深く理解することの重要性についてお伝えします。

計測した弾性波
計測した弾性波

まちの魅力-見つけ方と楽しみ方

担当講師:三友 奈々

本講義では,日本の中での地域差,海外との差を知ることで,客観的に自分の住むまちの魅力に気づいて誇りを持てるようになったり,自分の家や自分の部屋のようにまちに関心を持てるようになったりすることを目指しています。
また,海外を含めた他の地域やそこに住む人々に対して興味を持つきっかけになればと思います。

講義は,大きく二部に分かれます。

前半は,主に日本の事例を用いて,まちの魅力の見つけ方について講義します。
有名な都市でなくてもどんなまちにも魅力はあります。負の地域資源だと思っていたものも,見方を変えたり,少し手を加えたりすることで,地域の価値になる可能性を秘めています。

後半は,まちの楽しみ方です。主に欧米の事例を紹介して,公園や街路,広場といった公共空間で楽しんでいる人たちの様子を解説します。

廃線跡を再生した公園は
まちの資源に(米国)
廃線跡を再生した公園は
まちの資源に(米国)
公園でみんなで映画を楽しむ
(米国)
公園でみんなで映画を楽しむ
(米国)

私たちのくらしを支えるコンクリート構造物

担当講師:山田 雄太

私たちの身の回りには,くらしを支える橋,トンネル,ダムなどの土木構造物があふれています。
これらの土木構造物の多くはコンクリートと鉄などで造られています。
例えば,「鉄筋コンクリート」と呼ばれるコンクリート構造は,コンクリートと鉄などの持つ長所と短所を互いに補い合う構造形式です。

これまで私たちのくらしを支え続けていた土木構造物ですが,その多くが寿命を迎え始め,これからも安全かつ安心に使い続けていくためには,どのような対策を施すべきか考え続けていく必要があります。

この講義では,コンクリート構造の「仕組み」や皆さんの生命や財産を守るためにどのような技術が用いられているのかについて,新たな知見を織り交ぜながら,わかりやすく解説します。

コンクリート構造物
コンクリート構造物