持続可能な次世代のロケットエンジン

担当講師:髙橋 賢一

宇宙へ人や物を送るときにはロケットを使用し,大きな力を出せる化学ロケットエンジンが利用されています。
宇宙へ行くには非常に大きな力(推力)が必要で,そのためには多くの燃料と酸素を必要とします。
燃料となる物質と酸素となる物質(これらを推進剤という)をロケットは自ら運び,そのため空気が薄いまたは無いところでも飛ぶことができます。
しかし,これらの推進剤は本質的に爆発性があり,何か事故が起きて推進剤が混合したり,エンジンに異常が発生したりすると一瞬にして爆発してしまいます。
事故を起こさないことが大事なのですが,このような本質的に爆発性を持つ化学ロケットエンジンでは宇宙旅行のように一般の人を乗せるロケットのエンジンには不向きです。

そこで,ハイブリッドロケットエンジンという化学ロケットエンジンがあります。
ハイブリッドロケットエンジンは本質的に非爆発性という安全に優れたエンジンです。しかし,ハイブリッドロケットエンジンは大きな推力を出すことが難しく,人を宇宙に送るにはまだ力不足です。
我々の研究室では,ハイブリッドロケットエンジンの性能を向上させるために,主に燃料の研究を行っています。

この講義では,ロケットの燃料のルーツとも言える黒色火薬から,ロケットエンジンの基礎,最近の研究課題について解説します。

宇宙放射線からコンピューターを守る

担当講師:高橋 芳浩

コンピューターにおける計算および情報記憶は,そのほとんどが半導体集積回路デバイス(LSI)により行われています。この半導体デバイスは非常に高い信頼性を有しており,今やコンピューターの計算結果を疑う人はいないと思います。

コンピューターは地上だけでなく,人工衛星などに搭載され宇宙でも活躍しています。ただし,宇宙は過酷な放射線環境であり,半導体デバイスに宇宙放射線が当たると,一時的に誤動作を起こしたり,永久に機能を失ってしまうことがあります(1 + 1 = 3 になる!?)。

我々は,放射線が半導体中で引き起こす影響を解明するとともに,宇宙空間でも地上同様,正確に動作する高信頼性半導体エレクトロニクスの実現を目指して研究を進めています。

宇宙放射線環境
宇宙放射線環境

ブラックホールを見つけ出す -天体観測とビッグデータ-

担当講師:根來 均

ブラックホールは,もっともよく耳にする天体の一つですが,ブラックホール自体は光を出さないために観測できず,その存在自体を含め,まだまだ謎が多い天体です。その存在を示した相対性理論からは,ブラックホールのすぐ近くでは空間がゆがみ,時間の進み方も遅くなって観測されると予想されています。

では実際には,ブラックホールはどのようにして見つけ出され,どのように観測されるのでしょうか?
現在,共同研究を行っている,国際宇宙ステーションに搭載される全天X線監視装置(マキシ)での取り組みを例に,授業では,観測されるブラックホール天体の特徴や,ブラックホールを見つけ出すまで用いられている衛星間通信やデータベースなど情報処理技術についてもお話しします。

宇宙ステーションと全天X線監視装置 MAXI
宇宙ステーションと全天X線監視装置 MAXI
(図版・画像等の出典や引用元:NASA, JAXA)
MAXI が発見した 37 の新天体
MAXI が発見した 37 の新天体
研究室のデータ処理システム

プラズマ実験を体験しよう!-プラズマの性質と応用-

担当講師:小林 大地

物質を構成する原子が十分なエネルギーを得ると,原子から電子が離れ,イオンと電子が自由に運動する状態となります。
この状態をプラズマといい,固体・液体・気体に続く,物質の第四状態とも呼ばれます。宇宙空間に存在し,観測可能な物質のほとんどがこの状態にあり,私たちの身近にも,太陽や稲妻,炎,蛍光灯などプラズマが存在します。
プラズマの研究は,原子核同士が融合する反応を利用した新たな発電方法の開発をはじめとして,宇宙物理学や医療・産業分野での応用など多岐にわたり盛んに行われています。

この講座では,演示実験を通してプラズマの性質を解説します。また,日本大学理工学部物理学科で行われている研究についてもいくつか紹介します。

テスラコイルによる放電の様子
テスラコイルによる放電の様子