量子で実現する究極的な情報技術

担当講師:行方 直人

身の回りの物質,光(電磁波)などをミクロな領域まで分解していくと,それらの振る舞いは量子力学によって記述されます。量子力学が誕生してから100年ほど経ち,今や量子力学のコンセプトは情報社会へ実装されようとしています。
その例として,盗聴を完全に無意味化する「量子暗号」や一部の困難な問題が高速に計算できる「量子コンピューター」が挙げられます。どちらも量子力学の原理を用いなければ絶対に成し遂げられない性能を持っています。

これからの社会を担う皆さんは,量子力学が常識となる世代,「量子ネイティブ」にならなくてはなりません! 
そこで,本講義では,皆さんが「量子ネイティブ」になるための一助となるよう,量子力学の基本原理である,「波動性と粒子性の二重性」,「干渉」,「不確定性関係」を分かりやすく解説し,「なぜ量子暗号で安全な通信ができるようになるのか?」や「なぜ量子コンピューターは高速な計算ができるのか?」などを直観的に理解できるように説明します。そして,今後どんな「量子」情報社会となっていくのかという展望も紹介します。

開発した量子暗号(量子鍵配送)用単一光子検出器
開発した量子暗号(量子鍵配送)用単一光子検出器。
(実用的な半導体を用いたものでは世界最高性能)
光量子ウォークシミュレータ実験系
光量子ウォークシミュレータ実験系

インターネット時代のネットワーク

担当講師:澤邉 知子

インターネットの発達やWi-Fiの普及に伴い,ネットワークは空気のようにあって当たり前,使えて当たり前と思っている人も多いでしょう。しかし,通信したい相手と間違いなく通信するためには,様々な仕組みが必要となります。
本講義では,インターネットやWi-Fiに使われているIPネットワークを取り上げ,IPネットワークにおける通信の仕組みを紹介します。

具体的には,電話の電話番号や郵便の住所の代わりにIPネットワークで使われているIPアドレスやMACアドレスとは何か,通信する時にこれらのアドレスはどう使うのか,スイッチングハブやルータなどのネットワーク装置はどのように動作するのかなどを説明します。
本講義を聞くと,例えばスマートフォンをWi-Fiネットワークに接続した時に,スマートフォンにどのようにIPアドレスが設定されるか,Webサイトにアクセスする時に何を通信するのかなどが理解できると思います。

IPネットワークの仕組み

レーザーで実現する極低温の世界-レーザー冷却の最先端-

担当講師:桑本 剛

レーザーで物が冷やせるか?
直感的にはそんなことはできないだろうと思われるでしょう。確かにレーザー冷蔵庫などといったものは聞いたことがありませんね。
逆にレーザーをあてると物の温度が上がると考える人が多いのではないでしょうか。実際レーザーは物を極めて高温にする用途に使用されており,金属の切断や加工,医療現場でのレーザーメスといったものに活かされています。
しかしながら,巧みにレーザーの波長や強さを調整することで,物質(この授業では気体状態の原子を対象にしています)を絶対零度付近まで冷やすことが可能なのです。

出前授業では,「レーザーを使って原子を冷やせる原理」を分かりやすく説明し,私の研究室で構築した「絶対零度付近まで原子を冷やす装置」を紹介します。
また,実験に使用しているレーザー装置などを実際に手にとって見ていただきます。さらに,この技術が私たちの生活の中でどのように活かされているのか紹介します。

実験装置の開発
実験装置の開発