太陽系小天体探査−流星・彗星・小惑星–

担当講師:阿部 新助

私たちが住む太陽系には,8つの惑星と準惑星や衛星,これらの天体になれなかった小天体が多数存在します。
これら「太陽系小天体」には,150万個以上発見されている「小惑星」や約5,000個発見されている「彗星」のほかに,彗星や小惑星を起源とする「メテオロイド(流星体)」と呼ばれる直径がミリメートル程度の「ダスト(塵)」があります。
彗星から放出された塵の帯(ダスト・トレイル)が地球と交差する際に発生する現象が,「流星群」です。
一方,小惑星の破片は「隕石」として地上に落下することもあります。地球には,毎日数100トンもの塵が宇宙から降り注いでいるのです。

この講義では,太陽系と小天体についての基本的な知識から,小惑星,彗星,流星の科学について,天体観測や小惑星探査「はやぶさ」などの最前線の太陽系探査も交えながら紹介します。

小惑星探査「はやぶさ」
小惑星探査「はやぶさ」
しし座流星嵐
しし座流星嵐

宇宙放射線からコンピューターを守る

担当講師:高橋 芳浩

コンピューターにおける計算および情報記憶は,そのほとんどが半導体集積回路デバイス(LSI)により行われています。この半導体デバイスは非常に高い信頼性を有しており,今やコンピューターの計算結果を疑う人はいないと思います。

コンピューターは地上だけでなく,人工衛星などに搭載され宇宙でも活躍しています。ただし,宇宙は過酷な放射線環境であり,半導体デバイスに宇宙放射線が当たると,一時的に誤動作を起こしたり,永久に機能を失ってしまうことがあります(1 + 1 = 3 になる!?)。

我々は,放射線が半導体中で引き起こす影響を解明するとともに,宇宙空間でも地上同様,正確に動作する高信頼性半導体エレクトロニクスの実現を目指して研究を進めています。

宇宙放射線環境
宇宙放射線環境

音が目の前に現れる–情報技術と融合したオーディオシステム–

担当講師:大隅 歩

音楽を聴くときに用いるスピーカですが,このスピーカには実に多くの種類があります。
このスピーカの中には超指向性スピーカと呼ばれるものがあり,近年の情報技術と融合して様々な場面でオーディオシステムとして使用されるようになりました。超指向性スピーカとは,非常に狭い範囲のみに音が聞こえるように開発されたスピーカで,超音波を使用しています。このスピーカを用いると,騒音問題となっている夜遅くの駅構内アナウンスを乗車する人のみに聞かせることが出来たり,美術館のような静けさが求められる場所でも隣の人に聞こえないように展示品のアナウンスを聞くことが出来たりします。
実は,すでに皆さんも体験したことがあるのではないでしょうか。
また,聴くことを目的としない面白い利用方法もあります。(それは講義を楽しみにしてください)

この講義では,そのような超指向性スピーカの原理や構造,応用技術などを紹介していきます。

●一般的なスピーカの聞こえ方
●一般的なスピーカの聞こえ方
●超指向性スピーカの聞こえ方
●超指向性スピーカの聞こえ方
●超指向性スピーカの外観
●超指向性スピーカの外観

酸化カルシウム系建築材料のリサイクル

担当講師:小嶋 芳行

われわれが生活している家あるいは職場のビルを見回してみると酸化カルシウム系建築材料であるセッコウボード,コンクリートで囲まれていることに気がつきます。
最近では,このビルあるいは家が老朽化や都市整備などにより解体され,これによって大量のコンクリート廃材,セッコウボード廃材が排出されています。この量はコンクリート廃材で年間5000万t程度,セッコウボード廃材では170 万t 程度と推定されています。コンクリート廃材の一部は埋め戻し材,骨材などとしてリサイクルされていますが,廃棄処理地の不足や遠方化などによる廃材の不法投棄は後を絶たず,環境汚染などを引き起こして社会問題となっています。
そこで,われわれは,ただたんに廃棄物を役に立たないものとしてあつかうのではなく,酸化カルシウム系建築材料を化学的に処理することにより新たな資源として活用することを目的とした研究を行っています。

たとえば,コンクリート廃材を地球温暖化の原因とされている二酸化炭素と海水を用いて化学処理することにより,コンクリートの原料である炭酸カルシウム,シリカゲルおよび砂などが得られることを明らかにしています。

迫りくる巨大地震に備えて

担当講師:北嶋 圭二

東海・東南海・南海地震や首都直下地震など,迫りくる巨大地震に備えて,建築物の耐震性能向上が喫緊の課題です。
建物の地震時挙動のシミュレーション技術や,免震・制震技術を用いて建物の耐震性能向上に貢献しています。

建築物が巨大地震にも耐えられるように,どのような仕組みで造られているのか,耐震構造の仕組みや免震構造・制震構造の仕組みなどについて紹介します。
また,これまでの地震被害の状況や,地震時の建物の揺れ方などを再現した振動台実験の映像などについて紹介し,地震時の建物挙動について分かりやすく解説します。

耐震構造の仕組み参考写真
耐震構造の仕組み参考写真

建築構造学-地震との闘いと建築を実現するテクノロジー-

担当講師:田嶋 和樹

建築構造学の役割の1つは地震などの安全な建物を世の中に実現することであり,もう1つは建築家による優れたデザインを実現可能な技術を提供することです。
本講義では,初めに日本の耐震技術が地震との戦いの中で磨かれてきた経緯に着目し,過去の地震被害を振り返りながら,地震被害から得た教訓について解説します。
また,著名な建築家による建築作品を紹介しながら,それらの作品の中で使用されている建築構造の様々な技術について解説します。

また,講義に際しては,建築学とは何か?など,建築学科に進学を希望する学生に対する事前の心構えなどについてもお話しします。

地震との闘いと建築を実現するテクノロジー
地震との闘いと建築を実現するテクノロジー

超高層建築物の構造と歴史

担当講師:高橋 孝二

2011年3月に発生した東日本大震災では,超高層ビル群が大きく揺れ動く様子や高層階の人々が立っていられず床に這いつくばっている様子など,驚きの映像が記憶に新しいと思います。
これは「長周期地震動が原因で,高層ビルや高層マンションが大きく揺れました。」と報道等で言われています。こう言われてもなんだかピンとこないと思います。

本アカデミーでは,「何故このような現象が起きるのか」や,「超高層建築物の耐震設計はどのように行われているか」等を分かりやすく説明し,さらに我が国における超高層ビルの先駆けとなった霞が関ビルから最先端の耐震技術を紹介致します。

超高層建築物の耐震設計イメージ図

コンクリート造建築物を積み木あそびのように造る

担当講師:福井 剛

コンクリート造建築物を造るのにどのくらい時間がかかるかわかりますか。
地面より下に造られる基礎を除くと,1階分を造るのに3週間程度かかります。
このペースで高さ100mの30階建てマンションを造ると,90週,つまり約23ヶ月かかることになります。
この時間を短縮するには面倒な仕事を建設現場以外で行えば良いのです。
タワーマンションの建設では,柱や梁を工場で造り,建設現場で積み木のように組み立てる方法が主流となっています。

このような建物の造り方と,これをさらに進化させた方法について解説します。

巨大津波から命を守る―災害リスクを正しく理解しよう―

担当講師:星上 幸良

2011年3月に発生した東北太平洋沖地震に伴う巨大津波は,我が国の築き上げた沿岸まちづくりの防災リスクの脆弱さを明らかにした事は言うまでもありません。
震災から約9年が経過し,減災を目指したハード面での復興事業は収束を迎えつつあります。
これらの復興事業に適用された計画手法は,高度成長期に制度化された従来の技術であり,既に様々な課題が見えつつあります。
少子高齢化社会に向かっている我が国では,こうした自然災害に対して,新たな視点で安全・安心なまちづくりを実現しなければなりません。

「災害は,危機(自然現象)が脆弱性と出会うことで起こる」と言われています。
社会のもつ脆弱性は,防災計画がなかったり適切な危機管理がなされなかったりすることでさらに大きくなり,人的被害,経済的被害などを悪化させます。
つまり自然災害は,社会の脆弱性など人為的な原因により人的被害が拡大されている側面が大きいと言えます。

本講座では,東日本大震災での教訓をふまえ,自然現象としての津波のメカニズムだけでなく,人為的要因を踏まえた「災害リスク」について正しく理解し,今後の津波防災まちづくりの在り方や,巨大津波に対する避難計画立案に向けた心構えをテーマに講義します。
なお,講義は受講対象者の構成や希望テーマに合わせて,臨機応変に対応します。

津波防潮堤のあり方を考究する
津波防潮堤のあり方を考究する
防災は自助が大切、防災力を高める
防災は自助が大切、防災力を高める

防災・減災のための津波シミュレーション

担当講師:相田 康洋

南海トラフ地震の発生が懸念される現在,沿岸の人々を守るための施設整備が日本各地で進められています.
津波は,その規模の大きさから,水槽を用いた実験ですべてを把握することが困難な現象の一つです.
また,現在の観測技術では,今後発生する津波の規模を,事前に正確に推定することができないのが現状であり,あらかじめ想定される数多くの津波のパターンを網羅するためには,数多くの実験をする必要があります.

そこで力を発揮するのが,数値シミュレーションです.
太平洋全体を再現した津波実験をすることは不可能ですが,津波シミュレーションだったら可能です.
また,遡上した津波によって逃げ遅れる可能性がある地域を見つけることも,津波漂流物が漂流していく様子も,船舶が津波によって陸にのりあがる様子も,数値シミュレーションならば再現が可能です.
再現が可能だからこそ,対策を検討し,講じることができるのです.

この講義では,防災・減災のための津波シミュレーションについて動画を交えながら紹介します.