連立方程式で解く数学パズル

担当講師:石原 侑樹

連立方程式とは,複数の方程式からなる組のことです。例えば,2x+3y=1,5x+3y=7という2つの方程式からなる連立方程式はx=2,y=-1という解を持ちます。

1次の方程式のみならず,2次や3次の方程式の連立方程式も考えることができます。連立方程式は中学で習う基礎的なものですが,現代の情報社会を支える重要なものとなっています。

この講義ではその応用の広さを実感するために連立方程式を使って色々な「数学パズル」を解いてみたいと思います。例えば,証言から誰が嘘をついているか見抜く「嘘つきパズル」や,赤・青・黄の3色だけを使って隣り合う国に違う色を塗る「彩色パズル」などは連立方程式を使っても解くことができます。

また連立方程式を解く際にコンピュータを使って「グレブナー基底」と呼ばれるものを計算すると,人間の手よりもはるかに素早く解くことができます。

講義ではそういった代数的な計算とコンピュータの関係,そして「量子コンピュータでも解けない暗号(耐量子計算機暗号)の安全性解析」などの現代社会への応用についても話します。

等差数列を遊んで学ぼう!

担当講師:齋藤 耕太

3, 5, 7, 9, 11
この5つの数を観察すると,左から右へそれぞれ2つずつ数が増えていることがわかります。このように同じ数ずつ増えていくような数の列のことを等差数列(とうさすうれつ)と呼びます。

この数列は単純そうに見えて,実は極めて奥が深い対象です。この授業では等差数列を活用したボードゲームで遊び,その後,関連する研究結果について体験的に学習していきます。

等差数列を活用したボードゲーム
等差数列を活用したボードゲーム

素因数分解と暗号理論

担当講師:長峰 孝典

「数学って何の役に立つの」と考えたことはありませんか?
教科書の問題を解くために公式を覚えて,計算して,たまに間違って…の繰り返しだと確かに数学の良さを見つけにくいかもしれません。しかしながら,数学は皆さんの生活の様々な場面で活躍しています。例えば,インターネット上で買い物をするとき,クレジットカードなどの個人情報が第三者に盗み見られてしまったら大変ですよね。
それを防いでいるのが「暗号理論」です。特にRSA暗号と呼ばれる暗号技術には「素因数分解」にまつわる数学が使われています。

この講義では,素数や素因数分解に慣れ親しんでもらい,それらがどのようにして暗号技術に応用されるのかを解説します。
さらに,背景にある「代数学」と呼ばれる数学の一つの分野についても説明し,素因数分解が最先端の数学の研究でも活躍する様子を見てもらいたいと思っています。

代数学と幾何学の融合による多角形の諸性質について

担当講師:鷲尾 夕紀子

代数学と幾何学を融合した範疇の数学を用いた多角形の諸性質の解析および紹介を行う.

モーレイの定理,ナポレオンの定理などに関して,数学ソフトウェアを用いて説明する.

歴史から考える教科書に書かれた物理学の構築

担当講師:雨宮 高久

アイザック・ニュートンという物理学者が,1687年に『自然哲学の数学的諸原理(プリンキピア)』を著し,現在の教科書で勉強する力学の基礎体系を築いたことは皆さんもご存じかもしれません。
しかし,ニュートンという天才ひとりによって力学の体系化が完成したわけではありません。例えば,ma=Fという(ニュートンの)運動方程式は,運動の第2法則の帰結として導出されるものですが,この方程式はニュートンが導出した訳ではありません。実は,運動方程式はニュートンが亡くなった後,力学が微分積分学と組み合わさることで,漸く導出されました。そして,その象徴とも言えるものが,1788年にフランスの数学者・物理学者ジョゼフ・ルイ・ラグランジュによって書かれた著書『解析力学』でした。

このように,多くの科学者たちがさまざまな研究結果を発表し,さらにそれらが密接に関わり合うことによって,現在の教科書に書かれている自然科学は構築されていったわけです。
本講義では,教科書に書かれている科学(物理学)がどのように構築されていったのかを考えるきっかけとして,物理学者による研究活動を踏まえた物理学の歴史に関して御話致します。

なお,物理学の歴史は多岐にわたっているため,具体的な講義内容に関しては事前に要相談とさせて頂きます。

相対性理論を応用した未来を照らす特殊な光の創成

担当講師:住友 洋介

近年,ブラックホール連星の衝突合体から放出される重力波や,光を用いたブラックホールの観測が行えるようになってきています。
ブラックホールや重力波の放出は相対性理論によりその存在が示唆されており,間接的には様々な方法で検証が行われてきましたが,科学技術の発展により,ついに直接的な観測が行える時代になりました。相対性理論は,身近なものである携帯電話やカーナビで使われているGPSにおいても欠かせないものです。

この講演では,相対性理論のうち特殊相対性理論と呼ばれる,高いエネルギー状態にある物体の持つ速度やエネルギーに関する理論を簡単に説明します。次に,物体に高いエネルギーを印加させる加速器装置を用いると強度の高い光が生成できることを紹介します。
実は,X線を含む多くの領域で強い光を生み出すためには相対性理論が重要となり,また,こうして作られた強い光は材料開発を含む産業の促進にも貢献しています。講演では数式をできるだけ使わないで簡潔に説明を行います。

量子ビーム科学研究室の研究で使用している1億電子ボルト加速器の概略図です。
量子ビーム科学研究室の研究で使用している1億電子ボルト加速器の概略図です。
(図版・画像等の出典や引用元:右下の研究室ロゴはGemini (AI)を用いて作っています。他のCGで作成した加速器概略図のコピーライトは©Rey.Horiになります。)

”温度をはかる”仕組みを学ぼう~熱電対の作製を例に~

担当講師:出村 郷志

温度計は,身近な様々な場所で活躍している。体温を測る,お風呂の温度を測る,オーブンの温度を測る等である。その一方で,温度をどうやって測定しているのか,という部分は表立っていないことが多い。

そこでこの授業では,温度を測る様々な手法を紹介し,その方法を物理的な観点,特に熱力学や物性物理学の観点から学ぶ。その際,二つの異なる金属を用いて温度を測る,熱電対を用いた実演を交えながら,温度を測る仕組みを共に理解する。

自然界の対称性と素粒子

担当講師:三輪 光嗣

物理の実験は東京で行っても大阪で行ってもおよそ同じ結果が得られます。
このことは重要な意味を持っています。というのは,もし実験結果が場所によって全く違ったものになるならば,授業で使う教科書も場所によって全く違った内容になっていなければなりません・・・というのは冗談ですが,このように「空間方向に移動しても物事が変わらない」という性質は,実は「運動量保存の法則」という物理法則と密接に関係しています。
この例のように,物事に何らかの操作を施してもその物事が変化しない場合,その操作のことを「対称性」と呼びます。他の身近な対称性の例として,円形は「中心周りの回転」と「中心を通る軸に関する入れ替え」という操作を対称性として持っています。

自然界には実に様々な対称性が存在し,それらは様々な物理現象と関係します。また逆に「対称性の破れ」という概念も重要な物理的意味を持ちます。
この講義では特に自然界のミクロの世界,つまり素粒子の世界に存在する様々な対称性や,その対称性と関連した物理現象を紹介します。例えば私達の住む世界とそれを鏡に映した世界は同じ物理法則に従うかどうか,みなさんはどう思いますか?

ブラックホール熱力学と情報パラドクス

担当講師:三輪 光嗣

重力は私たちが日常的に感じる身近な力です。ところが,実はミクロの世界における重力の仕組みはきちんと理解されていません。このことは現代物理学における最大の課題の一つであると言えます。
こうした課題に対してヒントを与えると期待されているのがブラックホールに関わる様々な理論的考察です。ブラックホールとは,光ですら抜け出すことのできない事象の地平面を持ち,外の人は中の様子を見ることができません。このことはブラックホールや重力が持つ様々な興味深い理論的性質を示唆します。
こうした性質は重力を構成する基本的自由度によって説明される必要があり,ミクロの世界における重力の仕組みの理解につながるのでは無いかと期待されています。

本講座ではこうしたテーマについて分かりやすく解説をします。

図:Schwarzschild時空を表すPenrose図。
図:Schwarzschild時空を表すPenrose図。

プラズマ実験を体験しよう!-プラズマの性質と応用-

担当講師:小林 大地

物質を構成する原子が十分なエネルギーを得ると,原子から電子が離れ,イオンと電子が自由に運動する状態となります。
この状態をプラズマといい,固体・液体・気体に続く,物質の第四状態とも呼ばれます。宇宙空間に存在し,観測可能な物質のほとんどがこの状態にあり,私たちの身近にも,太陽や稲妻,炎,蛍光灯などプラズマが存在します。
プラズマの研究は,原子核同士が融合する反応を利用した新たな発電方法の開発をはじめとして,宇宙物理学や医療・産業分野での応用など多岐にわたり盛んに行われています。

この講座では,演示実験を通してプラズマの性質を解説します。また,日本大学理工学部物理学科で行われている研究についてもいくつか紹介します。

テスラコイルによる放電の様子
テスラコイルによる放電の様子