「都市」を眺め,そして創る

担当講師:大沢 昌玄

私たちは,「住む」「働く」「学ぶ」「遊ぶ」ことの多くを都市で行っています。そして,私たちは生活する上で「安心」して「快適」にそして「楽しく」暮らせることを望んでいます。
つまり,都市を考えることは自分の生活環境を考えることでもあるのです。そこで私は,皆さんに,快適で楽しく安心して暮らせるまちづくりについて,現在の都市を眺めながら,都市の成り立ちを踏まえ未来の都市について解説します。また,東日本大震災の復興都市計画の進捗状況などをお伝えします。

  1. 身近な都市を眺めてみる:都市とは何か?そして都市の見方,感じ方についてお話します。
  2. まちづくりの考え方について:まちづくりについて,その構想から計画,設計の概念について実例を用いて解説します。
  3. 現在進められている都市再開発プロジェクトや大規模インフラの紹介
  4. 都市の履歴書:我が国の都市の多くは,戦争や災害からの復興事業により整備されています。現在の都市に至るまでのまちづくりの過程,どのような技術者が活躍したのかをお話します。
  5. 東日本大震災の復興都市計画:復興計画の苦悩と実際をお話します。
横浜みなとみらい21(皆が集う、観光地、デートスポット)
原宿・表参道
(緑豊かな街路空間)
横浜みなとみらい21(皆が集う、観光地、デートスポット)
横浜みなとみらい21
(皆が集う,観光地,デートスポット)
陸前高田市内及び 高田松原公園(津波でなぎ倒され、唯一残った松)
陸前高田市内及び 高田松原公園
(津波でなぎ倒され,唯一残った松)

プロジェクトを評価する

担当講師:金子 雄一郎

私たちの身の周りにある道路や鉄道,上下水道,エネルギー施設など-これらは社会基盤施設(インフラストラクチャー)と呼ばれています-は,毎日の暮らしの中で欠かせない施設です。そのため,施設を整備する際には多くの場合,貴重な税金が使われます。
税金は有効に使われなければなりませんので,整備に要する「費用」に見合うだけの「効果」が得られるのか,事前に十分チェックしておく必要があります。

社会基盤施設を整備するプロジェクトの評価は,
(1)プロジェクトを実施した場合(With-Case)と実施しなかった場合(Without-Case)にどのようなことが起こるかを想定し,
(2)両者の差からプロジェクトによる「効果」を算定し,「費用」と比較することで行われます。

ここでいくつかの問題があります。「効果」と「費用」を同じ単位で比較できるのでしょうか?
例えば,バイパス道路が整備された場合,自動車の利用者には走行時間の短縮,ガソリン代の節約などの「効果」が発生しますが,これらの「効果」を「費用」と比較するためには「円」の単位で表される必要があります。
どのように「時間」を「円」に換算するのでしょうか?

また,社会基盤施設は非常に長い期間利用されます。そのような「将来の価値」について,現時点でどのように評価すればよいのでしょうか?

講義ではプロジェクトの評価方法について,最近の整備事例を紹介しながら,以上のような疑問に答える形で,分かりやすく説明します。

橋
バイパス
トンネル

多様な移動空間のデザインを考える

担当講師:江守 央

人が徒歩で移動する空間はどうあるべきでしょうか?
その空間を利用する人にはさまざまな方がいます.例えば高齢者など歩くスピードが遅い人から若い人のなど早く歩ける人もいます.また,車いすやベビーカーを利用している人も同じ空間を共有してい移動をしています.

このようなさまざまな人に向けた空間づくりを行うことをユニバーサルデザイン・あるいはインクルーシブデザインといって,日本の主要な都市では誰もがスムーズに移動できる工夫がされています.
また,今後は新しい個人の移動手段として「パーソナルモビリティ」といわれる電動の乗り物や配送ロボットといった様々な端末が歩行空間を共有していくこととなります.

自転車ほど遠くへは行かない,けど歩きではちょっと遠いなといった場所にどんな手段を使うと楽しく移動できるでしょうか?
また,まちの特色を生かした移動空間のデザインも考えられるでしょう.今後の歩行空間に求められる機能をみんなと考えていきましょう.

開放的なスウェーデンの交差点
開放的なスウェーデンの交差点
スウェーデンでは歩行空間にパーソナルモビリティが溢れています
スウェーデンでは歩行空間にパーソナルモビリティが溢れています

身近な”まちの歴史”の再発見

担当講師:阿部 貴弘

人の生い立ちを知ると,その人によりいっそう親しみがわくように,身近な”まちの歴史”を知ることで,普段何気なく暮らしているまちに,魅力や愛着を感じるようになります。
そうしたまちへの愛着は,クオリティ・オブ・ライフ,すなわち”暮らしの質”を高めるまちづくりの原動力となります。

ところで,日本のまちは,実に多様な成り立ちを誇っています。
全国の主要都市の多くは,近世の「城下町」を起源とします。また,かつての幹線道路,つまり旧街道沿いには,「宿場町」を起源とするまちが連なります。
さらに,河川や運河沿いには,様々な物資の集散地であった「在郷町」を起源とするまちが発達し,一方沿岸部には,海運拠点としての「湊町」を起源とするまちが点在します。

この講義では,まず,こうした日本のまちの成り立ちを概説したうえで,絵図や古地図を使いながら,身近なまちの歴史の見方・調べ方についてお話します。
さらに,まちの歴史が表れた身近な歴史資源について,まちづくりにおいてどのように活用していくか,具体事例を交えつつ,歴史を活かしたまちづくりの手法についてお話します。

城下町江戸の古地図
~城下町江戸の古地図~
日本の城下町は,水路網と街路網が複雑に入り組んだ,日本独自の大変興味深い都市構造を有していた
(1632(寛永9)年刊「武州豊嶋郡江戸庄図」(東京都立中央図書館東京誌料文庫所蔵))

都市空間を“開かれた”“都市活動の場”にするためのまちづくり手法 -制度設計・仕組み・事例紹介-

担当講師:山﨑 晋

過密している都市部の中で良好な環境を確保するためには,道路や公園等の公有地だけでは十分ではなく,民有地にも地域住民や来訪者が使える空間を確保することも必要です。
しかし,民有地には当然ながら所有者がいます。都市部の地価は高く,開発や建設の事業性を考えると,そのような土地に地域に開かれた空間を作り出すことは難しい側面もあります。

さらに,せっかく空間を確保したとしても,そこが使われなければ意味がありません。
歩いたり,ベンチ等で休むだけではなく,オープンカフェやイベントが開催されると賑わいのある都市になります。しかし,そこにも様々な制約があります。

そこで本講座では,地域に開く空間を生み出す方法や,オープンカフェやイベント等の都市活動ができるような仕組みについて解説し,それらに関する事例を紹介します。
また,高校生のみなさんにも住まいや学校周辺の公開空地等の空間を探してもらい,地域に開くまちづくり手法を考えてもらう演習も可能となっています。

歩道も狭く圧迫感のある都市空間の例
歩道も狭く圧迫感のある都市空間の例
公開空地(民有地)で実施されているイベント例
公開空地(民有地)で実施されているイベント例

魅力あるまちを創る「ランドスケープ」という手法ーみどりと観光からのまちづくりー

担当講師:押田 佳子

近年,観光立国に向けかじ取りを進めてきたわが国では,国内外からの来訪者が急増する一方で,一部の人気観光地において過剰な観光客の集中による弊害「オーバーツーリズム」が生じる事態となりました。
具体的な事例として,自然観光地においては踏みつけや騒音により自然環境が損なわれ,歴史観光地においては混雑や交通渋滞,地域住民のプライバシーの侵害などが挙げられます。
このように,観光は地域の魅力が資源となり活性化をもたらす一方で,過剰になると地域に負荷をかける恐れも持ち合わせています。
オーバーツーリズムは,ただ混雑するなどの不便が生じるだけでなく,地域の魅力を損なうことに繋がります。
コロナ禍においても,オーバーツーリズム観光地は従来の人気やアクセス性の良さから,比較的観光客の戻りも早く,今後持続可能な観光を進めるためには,地域の許容量に合った観光客数,ツアー数などを設定する必要があります。

以上をふまえ,この講義では,日本有数の自然や歴史を観光資源とする観光地が,持続可能な観光を維持するために取り組んできたまちづくりを中心にご紹介します。

日本有数のオーバーツーリズム観光地に挙げられる鎌倉。問題解決に向け、様々な取り組みがなされている。
日本有数のオーバーツーリズム観光地に挙げられる鎌倉。問題解決に向け,様々な取り組みがなされている。
小笠原諸島にある無人島「南島」。オーバーツーリズムによる生態系破壊を避けるため、1日100人までの入島制限を設けている。
小笠原諸島にある無人島「南島」。オーバーツーリズムによる生態系破壊を避けるため,1日100人までの入島制限を設けている。

デザインの力で“まち”に賑わいを生み出す

担当講師:落合 正行

住み開きによる“まちなか”シェア空間


2000年代に入り,日本社会はシェア(共有)の時代に入ったといわれ,あらゆるものを人々と共有することで,新たな価値を生み出すデザインが重要となっています。

そのひとつに,住まいの一部を“まち”に開き,自らコミュニケショーンの場として公共化する活動として「住み開き」が注目を集めています。

私自身も「住み開き」を実践していますが,こうして生み出された空間は,趣味や憩いの場を超えて,地域交流の場にまで発展するとともに,“まち”に賑わいを生み出すという点で,まちづくりへの応用が期待されています。

みなさんも,“まちなか”シェア空間のデザインについて学んでみませんか?

水族館の世界を裏側から覗いてみよう

担当講師:佐藤 信治

日本は四周を海に囲まれていることもあり,水族館は身近な施設の一つとして,皆さんも一度は訪れたことがあると思います。
その数は正確には捉えられていませんが,大きなものから小さなものまでを合わせると日本全国で100館以上,ひょっとすると150~200館近くあると言われています。
この数字は実に驚異的なもので,全世界の水族館を合わせても日本の水族館数を超えないといわれているほどです。
このため近年,各地に建設された水族館を見てみますと,他の館との差別化をはかるべく,観客を楽しませるための様々な工夫を展示に取り入れてきています。

一方で,これら生きた水生生物の展示を支える水族館の建築的な構成は一体どうなっているのでしょうか?
こうしたことについて,建物を建設する前の段階の「建築計画」という観点から捉えてみると意外なことがわかります。

「建築計画」とは,簡単に言うと建物を使いやすさの観点から研究する学問体系で,これらの研究成果を蓄積することは,快適な建築空間を作り出すために極めて重要なことです。
しかし,日本各地にこれほど多くの水族館が建設されているにもかかわらず水族館を設計するための「建築計画」的な基礎資科の数は,きわめて少ないというのが現状です。

本講義では,展示水槽を日夜,直接的に管理する飼育員の視点,つまり水族館の裏側にスポットをあて,今後の水族館建築のあり方を考えていきたいと思います。

イギリス
「Kingston upon hull
The Deep 水族館」
イギリス
「Kingston upon hull
The Deep 水族館」
イギリス
「Kingston upon hull
The Deep 水族館」
イギリス
「Kingston upon hull
The Deep 水族館」

建築のデザインコンセプト

担当講師:山中 新太郎

建築における理念やデザインコンセプトについて講義します。

講師による庁舎や小学校,公園などの公共建築の建築設計コンペ提案を用いて,地域の課題や住民ニーズをどのように建築デザインへと結びつけていくかを説明します。

横浜・象の鼻地区プロポーザルコンペ案
横浜・象の鼻地区プロポーザルコンペ案

地球と人中心の都市デザイン

担当講師:泉山 塁威

「地球と人中心の都市デザイン」について講義します。近代都市計画以降,経済合理性と機能が優先され,自動車中心の都市で,日本も世界中の都市がつくられています。
しかし,本来は,私たち人が豊かで,快適な都市生活を送り,都市生活の質(QOL /QOPL)やウェルビーイングに寄与する都市(人中心の都市)であるべきです。
さらに,昨今の気候変動等,地球温暖化の問題も深刻です。それらは人の活動によってもたらされています。

これからは,人中心はもちろんのこと,地球と人中心の都市デザインを探求し,研究と実践をしていく必要があります。
そんな最先端の都市デザインの講義を行います。

人中心のストリート(Degras Street・メルボルン・オーストラリア)
人中心のストリート(Degras Street・メルボルン・オーストラリア)
(図版・画像等の出典や引用元:Shutterstock)
池袋駅東口グリーン大通りオープンカフェ社会実験(東京都豊島区)
池袋駅東口グリーン大通りオープンカフェ社会実験(東京都豊島区)
(図版・画像等の出典や引用元:Knit Green実行委員会)
パークレット(バレンシアストリート・サンフランシスコ・アメリカ)
パークレット(バレンシアストリート・サンフランシスコ・アメリカ)
(図版・画像等の出典や引用元:Photo by Rui IZUMIYAMA)