微生物を利用した下水からの資源回収

担当講師:齋藤 利晃

私たちは,新しい細胞を合成したり生体器官を維持するため,食べ物や飲み物から栄養とエネルギーを吸収しています。
私たちが廃棄する食べ残しや厨房排水,排泄物には,吸収しきれなかった栄養とエネルギーが豊富に含まれているため,そのまま川や湖に放流すると,有機物汚濁や富栄養化などの深刻な水質汚染を引き起こします。

水環境を保全し,かつ,持続可能な社会を構築するためには,排水を適切に処理して取り除くことに加え,排水中の栄養やエネルギーを積極的に回収し再利用することが求められています。
その役割を担っているのは,わずか数マイクロメートルのとても小さな生き物であるバクテリアです。バクテリアは,その多彩な能力と処世術で厳しい環境を巧みに生き抜き,排水処理はもちろん,私たちが利用し損ねた栄養やエネルギーを回収する技術へも役立とうとしています。

本講義では,バクテリアの多様性とその生命力,生き抜くための知恵を紹介しながら,バクテリアを用いた排水処理と資源・エネルギー回収の動向について概説します。

大型アンテナの世界へようこそ!

担当講師:瀧川 道生

宇宙と地球をつなぐ架け橋,「大型アンテナ」の世界に足を踏み入れてみませんか?私たちの日常生活に欠かせない通信技術や,壮大な宇宙研究を支える影の立役者。それの一つが大型アンテナです。
通信技術では,宇宙探査機や人工衛星との通信を可能にします。
たとえば,深宇宙探査では地球から何十億キロメートルも離れた場所にある探査機との通信に使われます。その正確なデータ受信能力が,ミッション成功の鍵となります。
また,天文学者たちは大型アンテナを使い,遠くの銀河や恒星から放射される微弱な電波を観測します。これにより,宇宙の起源や進化についての新しい発見がもたらされています。
アンテナの仕組みや科学の世界での役割について楽しく学びましょう。

64mアンテナと私
64mアンテナと私

デザインの可能性

担当講師:中村 航

建築(特に現代)のデザインには多くの可能性があります。
家具スケールの小さいものから,都市スケールの大きいものまで,建築の領域を拡張するようなデザインの可能性についてお話しできればと思います。

街中の写真
街中の写真

自然素材と建築

担当講師:廣石 秀造

担当講師:廣石 秀造

建築は,身近で入手しやすい自然由来の材料(自然素材)を用いてつくられてきました。
その結果,国や地域ごとに特色ある建築が生み出されています。近年では,環境への配慮の観点から,このような自然素材の価値が改めて見直されています。
しかし,各素材には固有の特性があり,それぞれの特徴と向き合いながら適切に活用していくことが求められます。

本講義では,自然素材と建築との関係,特に素材の特徴を生かした建築の構成方法について,木材を中心に事例を交えながら紹介します。

木材の素材の特徴を生かした建築

材料をつないでモノを作る

担当講師:渡邉 満洋

身の回りにある便利な機械は様々な材料から作られています。
特に近年では,機械の小型化,軽量化,多機能化が急速に発展しているため,一つの材料で構成されている機械はほとんどなく,それぞれの材料の特性を活かして適材適所に材料を配置して機械が作られています。
そのため,機械(モノ)を作るためには異なる材料を「つなぐ(接合する)」技術が必要になります。

では,異なる材料をつなぐことは簡単でしょうか。
答えはNoです。なぜならば,材料はそれぞれ固有の特性を持っているためです。
異なる性質を持つ材料をつないで一つのモノを作り,みなさんが安心・安全に使うことができるようにするためには,材料と材料の境目(接合界面)の状態(組織)を精密に制御する必要があります。

本講義では,接合技術ならびにそれが生み出す接合界面組織と強度の関係について紹介します。

アルミニウム(Al)と鉄(Fe)の接合材の一例.
アルミニウム(Al)と鉄(Fe)の接合材の一例.
接合界面組織の電子顕微鏡像の一例.
接合界面組織の電子顕微鏡像の一例.

楽しみながら学ぶ!-化学分野の教育・学習ゲームの実践-

担当講師:伊藤 賢一

教育ゲームや学習ゲームとは,ゲームの要素や仕組みを教育や学習に取り入れることで,学習者のモチベーションや能力を高めることを目的としたゲームのことです。
一般的にゲームは,プレイヤーにルールやゴールを与えてそれに向かう行動を促し,フィードバックや評価を提供することで興味や関心を引き出し,自発的参加につなげるものです。これより,教育・学習ゲームの実践(プレイ)はアクティブ・ラーニングにつながるとされています。
最近私は,化学・情報科学・教育学の分野の研究者を集め,化学分野の教育・学習ゲームを開発する研究グループを立上げ,理工学部の学生さん達と共にゲームの制作等を行っています。

この授業では,教育・学習ゲームの歴史的経緯や意義等を解説した後,私達が開発した化学分野の学習ゲームを実践(プレイ)してもらい,その経験を通して教育・学習ゲームがもつ面白さや学習効果等について実感してもらいます。

開発した化学分野の学習ゲーム
開発した化学分野の学習ゲーム

風のエネルギーの有効利用 ―庭で風力発電できる?―

担当講師:関谷 直樹

日本でも風力発電所が各地で建設されるようになってきました.
その多くは,平原,洋上等の人口の少ない地に建設されており,日本の風力発電の割合は全発電量の1%に過ぎません.

この講義では風の持つエネルギーをどの程度電気へ変換できるか試算し,太陽光発電のように各家庭でも風力による発電を利用できるか検証します.

環境に配慮した海洋利用を考えよう

担当講師:吉田 毅郎

海に囲まれた日本において,海との共存共栄は今後日本が目指すべき姿だと考えられます。
近年では海洋再生可能エネルギーや水産資源の安定供給としての養殖業など様々な海洋利用が注目を集めています。
しかし,海洋空間における構造物の設置は環境に影響を及ぼします。
適切に計画・管理されなければ,生態系の変化や底質の悪化など様々な負の影響をもたらす可能性があります。
そこで「環境に配慮した海洋利用」を考える必要があります。

本講座では,こうした観点を踏まえ,海洋再生可能エネルギーの導入に伴う環境影響と,養殖場における海底環境保全の取り組みを主なテーマとして,環境に配慮した海洋利用の在り方を総合的に考察します。
具体的には,洋上風力発電などの再生可能エネルギー設備が魚類および周辺環境に与える影響や,養殖場における自家汚染と呼ばれる環境問題とその改善策について解説します。最新の研究成果や事例を交えながら,技術的な対策についても説明します。

本講座は受講対象者の興味関心にあわせて,扱うトピックや事例の選定を調整する可能性があります。
本講座を通じて,環境と調和した海洋構造物の意義を理解し,持続可能な海洋利用に興味を持っていただければ幸いです。

構造物周辺の魚類
構造物周辺の魚類
画像処理されたナマコ
画像処理されたナマコ
養殖場の堆積物
養殖場の堆積物
網の付着物
網の付着物

”温度をはかる”仕組みを学ぼう~熱電対の作製を例に~

担当講師:出村 郷志

温度計は,身近な様々な場所で活躍している。体温を測る,お風呂の温度を測る,オーブンの温度を測る等である。その一方で,温度をどうやって測定しているのか,という部分は表立っていないことが多い。

そこでこの授業では,温度を測る様々な手法を紹介し,その方法を物理的な観点,特に熱力学や物性物理学の観点から学ぶ。その際,二つの異なる金属を用いて温度を測る,熱電対を用いた実演を交えながら,温度を測る仕組みを共に理解する。

地域課題を解決する“再生可能エネルギー”を活かした 環境・防災まちづくり

担当講師:田島 洋輔

米国主催の気候変動サミットにおいて2050年までに脱炭素社会の実現する方針の公表を受けて,再生可能エネルギーが普及しておりますが,ここにきてその動きはますます活発化する方向にあります。
その背景には,これまでの気候変動問題への対応という従来型の動機のみならず,再生可能エネルギーを活用した地域課題の解決という“まちづくり(地域活性化)の視点”が存在するためです。

まちづくりで重要なのは,地域に潜在する個別具体の課題を整理・抽出し,それらを如何に解決して,持続的で住みやすいまちを創出するか,を考えることです。

こうした中で再生可能エネルギーを単なる“化石エネルギー源の代替”として捉えるのではなく,再生可能エネルギーを活用して,多様な地域課題を解決することはもちろんのこと,行政や企業,住民等のさまざまな立場から新たな価値を見出すことが重要となります。

そこで本講義では,以上の視点から単なる再生可能エネルギー施設の導入ではなく,地域課題の解決に加え,“地域の魅力向上”や“既存産業の活性化”,さらには,“災害時の電源供給”などに寄与する地域に寄り添った再生可能エネルギーの役割や地域との関係性についてご紹介します。