秘密を漏らしたのは誰だ???~フォレンジック技術を学ぶ~(PC演習付)

担当講師:五味 悠一郎

情報を脅威から守る方法として,技術的対策や物理的対策および人的対策などがありますが,セキュリティは利便性や費用とトレードオフの関係にあることから,コンピュータやネットワークで管理されている情報を完璧に守ることは不可能です。
そのため,リスクコントロールやリスクマネジメントなどで脅威が顕在化した場合でも被害が最小限となるような取り組みもされています。
こうした「完璧なセキュリティは無い」という考えのもと,早期発見と原因究明および同じ脅威を顕在化させない方法として,デジタルフォレンジック技術があります。

この授業では,デジタルフォレンジックの基礎的な講義をしたあと,学んだ知識や技術の定着を図るために,PCを用いたゲーム形式の演習を行います。

PC演習では,USBメモリもしくはインターネット経由でツールやデータを配布し,インターネットに接続されたWebブラウザでゲーム形式の演習に取り組む想定での授業ですが,PC演習無しの講義だけでも授業可能です。

お店を経営してみよう~ビジネスシミュレーションでマネジメントを学ぶ~(PC演習付)

担当講師:五味 悠一郎

情報系の資格試験として有名な「基本情報技術者試験」において,出題範囲がテクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系と大別されているように,情報技術者にはテクノロジ(情報技術)の知識や技術だけでなく,マネジメント系(経営管理)やストラテジ系(経営戦略)の知識や技術が求められています。

この授業では,マネジメント系とストラテジ系を対象として,経営工学の生産管理や会計学の基礎的な講義をしたあと,学んだ知識や技術の定着を図るために,Webブラウザで動作するビジネスシミュレーターを用いたゲーム形式の演習を行います。

経営管理や経営戦略では,表計算ソフト(Microsoft ExcelやGoogle Spreadsheetなど)を用いた手法を取り扱います。
Webブラウザと表計算ソフトが利用でき,インターネットに接続されているPCが使える想定での授業ですが,PC演習無しの講義だけでも授業可能です。

フリーWi-Fiの危険性を体験しよう(演習付)

担当講師:五味 悠一郎

世の中のDX化が進んでいく中で,情報セキュリティの専門家は様々な分野で必要とされ,人々に求められるセキュリティスキルも日々高まっていますが,セキュリティは理解できても実践することが難しく,座学だけでセキュリティスキルを身に付けることは難しいという特徴があります。

この授業では,本物のWebサイトから偽物のWebサイトに自動遷移する不正なフリーWi-Fiサービスは簡単に作れること,本物のWebサイトと見分けのつかない偽物のWebサイトで個人情報を不正に収集できること,本物のWebサイトが保護されていない(httpsでなくhttpを利用)と偽物のWebサイトに気づきにくいこと,などを解説し,授業用に構築した不正なフリーWi-Fiルータを用いたデモンストレーションを実施します。

この授業の実施には,Wi-Fiでインターネットに接続できる端末(PC,タブレット,スマートフォン,など)が必要です。

日常生活を支える分析化学

担当講師:吉川 賢治

みなさんは「分析化学とは何か?」という質問に対して,どのように回答するでしょうか。「理論化学」,「無機化学」,「有機化学」は高校でも良く聞く思いますが,このページを見て初めて知った方も多いでしょう。
しかし,「分析化学」なくしてみなさんの日常生活は成り立たないでしょう。

例えば,水道水は硬度や有害成分の検査後に各家庭に供給され,食卓に並ぶ食品は栄養成分や食品添加物が表示されています。講義を受ける教室では,空気中の微量成分が分析され,各種検査を通過した建材が使用されるなど,例を挙げたらキリがありません。このように,24時間身近で役に立つ分析化学は「縁の下の力持ち」と言っても過言ではありません。

「分析化学」はサスペンスドラマと共通点が多く,「自然界に存在する物質を捜査対象とし,化学および物理的な実験および解析に基づいて捜査を行い,得られた証拠から物質の質,量および存在形態という真実を暴き出す化学分野」とも言えるでしょう。
本講義では,以上の例を含めた具体的な分析例を幾つか挙げながら,分析化学の社会への貢献を中心にお話ししたいと思います。

写真①:分析機器の外観
写真①:分析機器の外観
写真②:食品中の合成着色料の分析例
写真②:食品中の合成着色料の分析例

自動運転で渋滞をなくせるか?

担当講師:青山 恵里

私たちの生活をより便利に,快適にしてくれると期待される自動運転ですが,自動運転によって渋滞をなくすことはできるでしょうか?
そもそも,なぜ渋滞が起きるのでしょうか?そして,自動運転と人による運転とでは何が変わるのでしょうか?

授業では,まず,車の流れの特徴や,渋滞が起きるメカニズムの説明をします.その上で,自動運転が渋滞をなくすことができるのか,一緒に考えてみましょう.

都内での自動車交通流の観測
都内での自動車交通流の観測
カナダでの現地調査
カナダでの現地調査
米国での現地調査
米国での現地調査

持続可能な都市のあり方を考える

担当講師:菊池 浩紀

日本の多くの都市では,戦後の人口増加に伴い,住宅地や商業地が広がり,都市全体が拡大してきました。
しかし近年では,少子高齢化による人口減少や自治体の財政負担の増大などにより,これまでのように都市を広げながら維持していくことが難しくなっています。
このような課題に対して,国や自治体もさまざまな取り組みを進めています。例えば,都市機能を一定のエリアに集約するコンパクトシティ政策や,公共交通を中心とした鉄道沿線のまちづくりなど,持続可能な都市構造を目指した政策が各地で進められています。

CSTサイエンスアカデミーでは,こうした国内外の事例を紹介しながら,都市と交通の関係に着目し,これからの社会に求められる持続可能な都市のあり方について考えます。

公共交通を軸としたまちづくり
公共交通を軸としたまちづくり
密集した高層ビル群と公共交通
密集した高層ビル群と公共交通
自動車交通を軸とした近代都市
自動車交通を軸とした近代都市

「生き物」の視点から交通を考える

担当講師:末次 優花

道路や鉄道などの交通インフラは,人や物の移動を支え,私たちの移動をより便利にしています。
また,都市開発によって住みやすく便利なまちが形成され,私たちの生活を豊かにしています。
一方で,人間以外の「生き物」の視点で見ると,開発によって生息地が失われたり,道路が「壁」となって移動が妨げられるなど,多くの生き物にさまざまな影響を及ぼします。

本講義では,交通や都市を「生き物」の視点から捉え,開発による環境への影響を評価する「環境アセスメント」のしくみや,自然環境に配慮した道づくり「エコロード」の取り組みなどについて紹介し,生き物や自然環境と人間社会の関わり方について一緒に考えます。

エコロードのイメージ
エコロードのイメージ
(図版・画像等の出典や引用元:高速道路総合技術研究所ホームページ:エコロード(https://www.ri-nexco.co.jp/tabid/231/Default.aspx))
道路開発で造成された代替池の例(横浜横須賀道路 釜利谷JCT)
道路開発で造成された代替池の例(横浜横須賀道路 釜利谷JCT)

連立方程式で解く数学パズル

担当講師:石原 侑樹

連立方程式とは,複数の方程式からなる組のことです。例えば,2x+3y=1,5x+3y=7という2つの方程式からなる連立方程式はx=2,y=-1という解を持ちます。

1次の方程式のみならず,2次や3次の方程式の連立方程式も考えることができます。連立方程式は中学で習う基礎的なものですが,現代の情報社会を支える重要なものとなっています。

この講義ではその応用の広さを実感するために連立方程式を使って色々な「数学パズル」を解いてみたいと思います。例えば,証言から誰が嘘をついているか見抜く「嘘つきパズル」や,赤・青・黄の3色だけを使って隣り合う国に違う色を塗る「彩色パズル」などは連立方程式を使っても解くことができます。

また連立方程式を解く際にコンピュータを使って「グレブナー基底」と呼ばれるものを計算すると,人間の手よりもはるかに素早く解くことができます。

講義ではそういった代数的な計算とコンピュータの関係,そして「量子コンピュータでも解けない暗号(耐量子計算機暗号)の安全性解析」などの現代社会への応用についても話します。

相対性理論を応用した未来を照らす特殊な光の創成

担当講師:住友 洋介

近年,ブラックホール連星の衝突合体から放出される重力波や,光を用いたブラックホールの観測が行えるようになってきています。
ブラックホールや重力波の放出は相対性理論によりその存在が示唆されており,間接的には様々な方法で検証が行われてきましたが,科学技術の発展により,ついに直接的な観測が行える時代になりました。相対性理論は,身近なものである携帯電話やカーナビで使われているGPSにおいても欠かせないものです。

この講演では,相対性理論のうち特殊相対性理論と呼ばれる,高いエネルギー状態にある物体の持つ速度やエネルギーに関する理論を簡単に説明します。次に,物体に高いエネルギーを印加させる加速器装置を用いると強度の高い光が生成できることを紹介します。
実は,X線を含む多くの領域で強い光を生み出すためには相対性理論が重要となり,また,こうして作られた強い光は材料開発を含む産業の促進にも貢献しています。講演では数式をできるだけ使わないで簡潔に説明を行います。

量子ビーム科学研究室の研究で使用している1億電子ボルト加速器の概略図です。
量子ビーム科学研究室の研究で使用している1億電子ボルト加速器の概略図です。
(図版・画像等の出典や引用元:右下の研究室ロゴはGemini (AI)を用いて作っています。他のCGで作成した加速器概略図のコピーライトは©Rey.Horiになります。)

“たくさん”が創る“ひとつ”の世界――相転移現象にみる集団性と秩序の誕生――

担当講師:河村 泰良

皆さんもご存じの通り,水は冷やすとある温度で突然氷になり,温めると水蒸気となって蒸発します。
日常の中では当たり前のことのように思えるかもしれませんが,温度を変えるだけで,たくさんの水分子の集まりが,まるで一つの意思をもったかのように性質をガラッと変える――改めて考えてみるととても不思議な現象です。

実はこのような現象は,水に限らず,さまざまな物質で見られます。
例えば,金属を十分に冷やすと,ある温度で突然,電気抵抗がゼロである「超伝導状態」と呼ばれる特殊な状態に移行します。また,普段はクリップなどを引きつける磁石も,加熱していくとある温度で磁力を失ってしまいます。

このように,温度を変えただけで物質の性質が劇的に変化するという,身近ながら奥深い現象の背後には,「たくさん」の粒子が集まったときに生まれる協調的なふるまいが潜んでいます。
これは,「ひとつ」の粒子では決して起きない変化が,集団として協力しあうことで初めて生じる現象であり,物理学では「相転移現象」と呼びます。

私たち理論物理の研究者は,この相転移のしくみを,熱力学や統計力学という物理の言葉で読み解いています。
この講義では,相転移の不思議さと面白さを,身近な例や簡単なシミュレーションも交えながらやさしく紹介し,熱・統計力学という深遠な物理の世界へと皆さんをご案内できればと思います。

相転移現象の例(磁石)
相転移現象の例(磁石)