生活道路の交通安全

担当講師:小早川 悟

日本の交通事故件数は平成から令和にかけては減少傾向が続いています。
それでも年間2000名をこえる人が交通事故で亡くなっています。現在,交通事故ゼロを目指して様々な取り組みが行われています。

近年,特に注目されているのが生活道路での交通事故対策です。幹線道路と異なり,狭い道路にもかかわらず,自動車と歩行者,そして自転車などが混在して通行する生活道路での交通安全対策の事例を紹介しながら,都市計画や道路計画の考え方にもとづいて,交通安全対策の最新情報も含めて身近な道路での安全について講義をします。

生活道路の交通実態調査
生活道路の交通実態調査
住民の方々への説明会
住民の方々への説明会
交差点での交通事故対策(カラー舗装)
交差点での交通事故対策(カラー舗装)
交差点での交通事故対策(自転車矢羽根とカラー舗装)
交差点での交通事故対策
(自転車矢羽根とカラー舗装)

身近な”まちの歴史”の再発見

担当講師:阿部 貴弘

人の生い立ちを知ると,その人によりいっそう親しみがわくように,身近な”まちの歴史”を知ることで,普段何気なく暮らしているまちに,魅力や愛着を感じるようになります。
そうしたまちへの愛着は,クオリティ・オブ・ライフ,すなわち”暮らしの質”を高めるまちづくりの原動力となります。

ところで,日本のまちは,実に多様な成り立ちを誇っています。
全国の主要都市の多くは,近世の「城下町」を起源とします。また,かつての幹線道路,つまり旧街道沿いには,「宿場町」を起源とするまちが連なります。
さらに,河川や運河沿いには,様々な物資の集散地であった「在郷町」を起源とするまちが発達し,一方沿岸部には,海運拠点としての「湊町」を起源とするまちが点在します。

この講義では,まず,こうした日本のまちの成り立ちを概説したうえで,絵図や古地図を使いながら,身近なまちの歴史の見方・調べ方についてお話します。
さらに,まちの歴史が表れた身近な歴史資源について,まちづくりにおいてどのように活用していくか,具体事例を交えつつ,歴史を活かしたまちづくりの手法についてお話します。

城下町江戸の古地図
~城下町江戸の古地図~
日本の城下町は,水路網と街路網が複雑に入り組んだ,日本独自の大変興味深い都市構造を有していた
(1632(寛永9)年刊「武州豊嶋郡江戸庄図」(東京都立中央図書館東京誌料文庫所蔵))

デザインの力で“まち”に賑わいを生み出す

担当講師:落合 正行

住み開きによる“まちなか”シェア空間


2000年代に入り,日本社会はシェア(共有)の時代に入ったといわれ,あらゆるものを人々と共有することで,新たな価値を生み出すデザインが重要となっています。

そのひとつに,住まいの一部を“まち”に開き,自らコミュニケショーンの場として公共化する活動として「住み開き」が注目を集めています。

私自身も「住み開き」を実践していますが,こうして生み出された空間は,趣味や憩いの場を超えて,地域交流の場にまで発展するとともに,“まち”に賑わいを生み出すという点で,まちづくりへの応用が期待されています。

みなさんも,“まちなか”シェア空間のデザインについて学んでみませんか?

コンピューターに物を見させる

担当講師:門馬 英一郎

今,デジタルカメラやスマートフォンには「ヒトの顔」を見付ける機能が搭載されています。
では,どのように探しているのでしょうか?実は,これらの機器に搭載されているコンピューターは「ヒト」も「顔」も探していません。それどころか「顔」を構成する「目」も「鼻」も「口」も探していません。

一方で,私達が「ヒトの顔」を見付けるのはとても簡単です。遠くからでも「ヒト」を見付け,頭の位置にある「顔」を見付けられます。また,「^-^」のような記号や,汚れた壁のシミや木目などの模様からも「目」や「口」などのパーツから「顔」を見付けてしまいます。

「ヒトの顔」を例にしましたがコンピューターに「物」を見させるには私達とは全く違った考え方が必要になります。
このような話を含めた画像処理の話を皆さんにお話ししたいと考えています。

都市計画の誕生 産業革命に対処した技術

担当講師:宇於﨑 勝也

高等学校の世界史では,英国において農業革命を背景に,ワットによる蒸気機関の改良によって産業革命が起り,「世界の工場」と呼ばれるまでに発展したこと,労働運動・社会主義に結びついていくことが紹介されています。
ここでは産業革命が引き起こした社会状況をさらに詳しく紹介し,それら「公害」を契機に近代の「(問題解決型の)都市計画」という新たな技術が創出され,暮らしやすく住むための方策が生み出されたことをお話しします。
また,それらが今日の都市にどのように結びついているかをお話しします。授業はプレゼンテーションツールを用いて,図表などを提示しながらのわかりやすいものです。

さらに,時間が許せば理念追求型の「理想都市」計画やわが国で大正時代に導入された都市計画の実態をも紹介します。

「ロンドンの上を走る鉄道」ギュスターヴ・ドレ(1872年)
「ロンドンの上を走る鉄道」ギュスターヴ・ドレ(1872年)
(図版・画像等の出典や引用元:ギュスターヴ・ドレ「ロンドン巡礼 ロンドンの上を走る鉄道」1872年)

水族館の世界を裏側から覗いてみよう

担当講師:佐藤 信治

日本は四周を海に囲まれていることもあり,水族館は身近な施設の一つとして,皆さんも一度は訪れたことがあると思います。
その数は正確には捉えられていませんが,大きなものから小さなものまでを合わせると日本全国で100館以上,ひょっとすると150~200館近くあると言われています。
この数字は実に驚異的なもので,全世界の水族館を合わせても日本の水族館数を超えないといわれているほどです。
このため近年,各地に建設された水族館を見てみますと,他の館との差別化をはかるべく,観客を楽しませるための様々な工夫を展示に取り入れてきています。

一方で,これら生きた水生生物の展示を支える水族館の建築的な構成は一体どうなっているのでしょうか?
こうしたことについて,建物を建設する前の段階の「建築計画」という観点から捉えてみると意外なことがわかります。

「建築計画」とは,簡単に言うと建物を使いやすさの観点から研究する学問体系で,これらの研究成果を蓄積することは,快適な建築空間を作り出すために極めて重要なことです。
しかし,日本各地にこれほど多くの水族館が建設されているにもかかわらず水族館を設計するための「建築計画」的な基礎資科の数は,きわめて少ないというのが現状です。

本講義では,展示水槽を日夜,直接的に管理する飼育員の視点,つまり水族館の裏側にスポットをあて,今後の水族館建築のあり方を考えていきたいと思います。

イギリス
「Kingston upon hull
The Deep 水族館」
イギリス
「Kingston upon hull
The Deep 水族館」
イギリス
「Kingston upon hull
The Deep 水族館」
イギリス
「Kingston upon hull
The Deep 水族館」

巨大津波から命を守る―災害リスクを正しく理解しよう―

担当講師:星上 幸良

2011年3月に発生した東北太平洋沖地震に伴う巨大津波は,我が国の築き上げた沿岸まちづくりの防災リスクの脆弱さを明らかにした事は言うまでもありません。
震災から約9年が経過し,減災を目指したハード面での復興事業は収束を迎えつつあります。
これらの復興事業に適用された計画手法は,高度成長期に制度化された従来の技術であり,既に様々な課題が見えつつあります。
少子高齢化社会に向かっている我が国では,こうした自然災害に対して,新たな視点で安全・安心なまちづくりを実現しなければなりません。

「災害は,危機(自然現象)が脆弱性と出会うことで起こる」と言われています。
社会のもつ脆弱性は,防災計画がなかったり適切な危機管理がなされなかったりすることでさらに大きくなり,人的被害,経済的被害などを悪化させます。
つまり自然災害は,社会の脆弱性など人為的な原因により人的被害が拡大されている側面が大きいと言えます。

本講座では,東日本大震災での教訓をふまえ,自然現象としての津波のメカニズムだけでなく,人為的要因を踏まえた「災害リスク」について正しく理解し,今後の津波防災まちづくりの在り方や,巨大津波に対する避難計画立案に向けた心構えをテーマに講義します。
なお,講義は受講対象者の構成や希望テーマに合わせて,臨機応変に対応します。

津波防潮堤のあり方を考究する
津波防潮堤のあり方を考究する
防災は自助が大切、防災力を高める
防災は自助が大切、防災力を高める

利用者のニーズに合わせた水回りのデザインを考えよう

担当講師:江川 香奈

生活に欠かせない「水回り」等のデザインをテーマに,建築計画学的観点と近年までのデザイン傾向について分かりやすく解説します。
ここでは,考案されてきた具体的なデザイン上の配慮点,利用者の使いやすさを考慮した設計手法や対策についても紹介します。
講義の後半では,使う人のニーズを取り入れた水回り空間等についてみなさんにもデザインする,または提案していただきたいと思います。
講義・演習は受講対象者の構成や希望テーマに合わせて,柔軟に変更・対応します。

キッチン(水回り)イメージ画像

環境とコミュニケーション―「エコロジー」って何だろう?

担当講師:勢力 尚雅

「環境」って何でしょうか。多くの人は,わたしたちの外にある自然環境を考えるかもしれません。

しかし,環境とは,自然環境のことだけではありません。
その証拠に,自然環境だけでなく,衣食住環境,経済環境,情報環境,医療環境などが,わたしたち(の身体,思考,ライフスタイル,価値観など)をつくっており,これらの環境はわたしたちと切り離すことはできないのです。わたしたちは,政治,法,経済,宗教,教育,芸術,科学技術,マスメディアなどのさまざまな制度や機能システムにとり囲まれています。これらの機能システムは,日々,生成変化し続けています。
ひとりひとりの何気ないコミュニケーショの連鎖が,機能システムという環境に変化をもたらし,それらがわたしたちをつくり,変化させているのです。

それでは,これらの環境=機能システムは,知性によって操作・制御可能な対象でしょうか。

残念ながら,現代社会は,その反対を示すニュースやできごとであふれています。

わたしたちをとりまく機能システムが複雑で影響力が大きくなればなるほど,各機能システムの暴走や破綻がわたしたちに及ぼしうるリスクの全体を俯瞰して計測・調停・制御する上位の統合的な視点や知が存在しないことへの不安が増幅しています。

その結果,環境改変に伴うリスクへの不安を全否定するナルシスチックな知性による安全神話を生み出したり,参加型民主主義への過剰な楽観を生み出したり,反対に,リスクの源泉を探して相互に監視,糾弾,排除を繰り広げるヒステリックな「不安・不信のコミュニケーション」や「道徳のインフレーション」にまき込まれがちです。

そこで,本講義では,ルーマンやベイトソンらのコミュニケーション論を紹介しながら,自らの学習プロセス自体を問いなおし続ける学習が継続して生成し,互いの差異から学習しあい,新たな冗長性を探りあい続ける「ポリフォニー的な対話(対位法的なコミュニケーション)」によってつながるネットワークやコミュニティを育むには,どのようなコミュニケーションが必要となるのかを考察します。

また,アートやデザインを媒介として「豊かさ」や「調和」を探りあい続けるコミュニケーションの実践などを体験しながら,部分の最適化にばかり偏した文明から,動的平衡を探り続ける生命文明へと展開していくために必要な知恵とマナー,そして科学技術とのつきあいかたについて考察します。

楽しみながら学ぶ!-化学分野の教育・学習ゲームの実践-

担当講師:伊藤 賢一

教育ゲームや学習ゲームとは,ゲームの要素や仕組みを教育や学習に取り入れることで,学習者のモチベーションや能力を高めることを目的としたゲームのことです。
一般的にゲームは,プレイヤーにルールやゴールを与えてそれに向かう行動を促し,フィードバックや評価を提供することで興味や関心を引き出し,自発的参加につなげるものです。これより,教育・学習ゲームの実践(プレイ)はアクティブ・ラーニングにつながるとされています。
最近私は,化学・情報科学・教育学の分野の研究者を集め,化学分野の教育・学習ゲームを開発する研究グループを立上げ,理工学部の学生さん達と共にゲームの制作等を行っています。

この授業では,教育・学習ゲームの歴史的経緯や意義等を解説した後,私達が開発した化学分野の学習ゲームを実践(プレイ)してもらい,その経験を通して教育・学習ゲームがもつ面白さや学習効果等について実感してもらいます。

開発した化学分野の学習ゲーム
開発した化学分野の学習ゲーム