建築構造学-地震との闘いと建築を実現するテクノロジー-

担当講師:田嶋 和樹

建築構造学の役割の1つは地震などの安全な建物を世の中に実現することであり,もう1つは建築家による優れたデザインを実現可能な技術を提供することです。
本講義では,初めに日本の耐震技術が地震との戦いの中で磨かれてきた経緯に着目し,過去の地震被害を振り返りながら,地震被害から得た教訓について解説します。
また,著名な建築家による建築作品を紹介しながら,それらの作品の中で使用されている建築構造の様々な技術について解説します。

また,講義に際しては,建築学とは何か?など,建築学科に進学を希望する学生に対する事前の心構えなどについてもお話しします。

地震との闘いと建築を実現するテクノロジー
地震との闘いと建築を実現するテクノロジー

建築の再生―「リノベーション」と「コンバージョン」―

担当講師:古澤 大輔

既存の建物を改修する「リノベーション」や全く新しい用途に変更する「コンバージョン」。
老朽化してしまった建築物を再生することに,今注目が集まっています。

本講義では,建築のユニークな再生事例を紹介しながら,これからの建築はどうあるべきか,皆さんと考えていきたいと思います。

コーシャハイム千歳烏山住棟改善モデル事業
コーシャハイム千歳烏山住棟改善モデル事業
撮影:堀田貞雄
シェアプレイス東神奈川99
シェアプレイス東神奈川99
撮影:鈴木竜馬
アーツ千代田3331
アーツ千代田3331
撮影:コマンドA
コミュニティーステーション東小金井
コミュニティーステーション東小金井

建物が壊れるのは何故か?

担当講師:宮里 直也

建築の構造力学の分野では,建物が壊れないように様々な工夫を行っています。

それらの工夫について,「建物が壊れるメカニズム」について理解することで,いろんなことがわかってきます。
基本的な構造力学の考え方に加え,現在の建物に使われている最先端の工夫等を紹介します。

地球と人中心の都市デザイン

担当講師:泉山 塁威

「地球と人中心の都市デザイン」について講義します。近代都市計画以降,経済合理性と機能が優先され,自動車中心の都市で,日本も世界中の都市がつくられています。
しかし,本来は,私たち人が豊かで,快適な都市生活を送り,都市生活の質(QOL /QOPL)やウェルビーイングに寄与する都市(人中心の都市)であるべきです。
さらに,昨今の気候変動等,地球温暖化の問題も深刻です。それらは人の活動によってもたらされています。

これからは,人中心はもちろんのこと,地球と人中心の都市デザインを探求し,研究と実践をしていく必要があります。
そんな最先端の都市デザインの講義を行います。

人中心のストリート(Degras Street・メルボルン・オーストラリア)
人中心のストリート(Degras Street・メルボルン・オーストラリア)
(図版・画像等の出典や引用元:Shutterstock)
池袋駅東口グリーン大通りオープンカフェ社会実験(東京都豊島区)
池袋駅東口グリーン大通りオープンカフェ社会実験(東京都豊島区)
(図版・画像等の出典や引用元:Knit Green実行委員会)
パークレット(バレンシアストリート・サンフランシスコ・アメリカ)
パークレット(バレンシアストリート・サンフランシスコ・アメリカ)
(図版・画像等の出典や引用元:Photo by Rui IZUMIYAMA)

デザインの可能性

担当講師:中村 航

建築(特に現代)のデザインには多くの可能性があります。
家具スケールの小さいものから,都市スケールの大きいものまで,建築の領域を拡張するようなデザインの可能性についてお話しできればと思います。

街中の写真
街中の写真

建築物は社会の写し鏡

担当講師:二瓶 士門

建築物は,社会の要請にともなって進化してきました。
例えば集合住宅は,産業革命以降の近代化によって都市部への人口集中が進み,19世紀に資本家が労働者のために住宅を整備したことが始まりとされています。
その後,工業化・都市化・車社会の到来を見据え,建築家たちはさまざまなモデルを設計してきました。
日本では,戦後に多くの集合住宅が建設され,独自の文化として定着してきました。

「なぜ日本では集合住宅が『マンション』という呼び名で広く浸透しているのか?」
「なぜ間取りは『nLDK』という表記で呼ばれるのか?」
こうした疑問をひも解くことで,集合住宅の歴史と現在を理解し,過去とのつながりや将来の可能性に気づくことができます。

パークハウス吉祥寺OIKOS
パークハウス吉祥寺OIKOS
撮影:鈴木研一
パークハウス吉祥寺OIKOS
パークハウス吉祥寺OIKOS
撮影:鈴木研一

自然素材と建築

担当講師:廣石 秀造

担当講師:廣石 秀造

建築は,身近で入手しやすい自然由来の材料(自然素材)を用いてつくられてきました。
その結果,国や地域ごとに特色ある建築が生み出されています。近年では,環境への配慮の観点から,このような自然素材の価値が改めて見直されています。
しかし,各素材には固有の特性があり,それぞれの特徴と向き合いながら適切に活用していくことが求められます。

本講義では,自然素材と建築との関係,特に素材の特徴を生かした建築の構成方法について,木材を中心に事例を交えながら紹介します。

木材の素材の特徴を生かした建築

環境とコミュニケーション―「エコロジー」って何だろう?

担当講師:勢力 尚雅

「環境」って何でしょうか。多くの人は,わたしたちの外にある自然環境を考えるかもしれません。

しかし,環境とは,自然環境のことだけではありません。
その証拠に,自然環境だけでなく,衣食住環境,経済環境,情報環境,医療環境などが,わたしたち(の身体,思考,ライフスタイル,価値観など)をつくっており,これらの環境はわたしたちと切り離すことはできないのです。わたしたちは,政治,法,経済,宗教,教育,芸術,科学技術,マスメディアなどのさまざまな制度や機能システムにとり囲まれています。これらの機能システムは,日々,生成変化し続けています。
ひとりひとりの何気ないコミュニケーショの連鎖が,機能システムという環境に変化をもたらし,それらがわたしたちをつくり,変化させているのです。

それでは,これらの環境=機能システムは,知性によって操作・制御可能な対象でしょうか。

残念ながら,現代社会は,その反対を示すニュースやできごとであふれています。

わたしたちをとりまく機能システムが複雑で影響力が大きくなればなるほど,各機能システムの暴走や破綻がわたしたちに及ぼしうるリスクの全体を俯瞰して計測・調停・制御する上位の統合的な視点や知が存在しないことへの不安が増幅しています。

その結果,環境改変に伴うリスクへの不安を全否定するナルシスチックな知性による安全神話を生み出したり,参加型民主主義への過剰な楽観を生み出したり,反対に,リスクの源泉を探して相互に監視,糾弾,排除を繰り広げるヒステリックな「不安・不信のコミュニケーション」や「道徳のインフレーション」にまき込まれがちです。

そこで,本講義では,ルーマンやベイトソンらのコミュニケーション論を紹介しながら,自らの学習プロセス自体を問いなおし続ける学習が継続して生成し,互いの差異から学習しあい,新たな冗長性を探りあい続ける「ポリフォニー的な対話(対位法的なコミュニケーション)」によってつながるネットワークやコミュニティを育むには,どのようなコミュニケーションが必要となるのかを考察します。

また,アートやデザインを媒介として「豊かさ」や「調和」を探りあい続けるコミュニケーションの実践などを体験しながら,部分の最適化にばかり偏した文明から,動的平衡を探り続ける生命文明へと展開していくために必要な知恵とマナー,そして科学技術とのつきあいかたについて考察します。

大空間建築のデザイン-建築家のイメージ・言葉

担当講師:長谷川 洋平

2007年に世界文化遺産に登録されたオーストラリアの「シドニー・オペラハウス」は,その姿からヨットの帆や,白い貝殻が連想されるといわれています。
岬の先端に位置するという環境から建築家はこのような大胆なかたちを提案したのではないでしょうか。

この授業ではシドニー・オペラハウスのような大きな屋根をもつ建物を大空間建築として着目し,その成り立ちについて説明します。
また大空間建築の特徴の一つである「巨大さ」が環境や社会へ及ぼす影響について,建築家たちがどのように捉え設計するのか。
環境に関わる建築家のイメージや言葉についてお話したいと思います。

シドニー・オペラハウス
シドニー・オペラハウス

音楽の数学(バイオリンの純正律とピアノの平均律)

担当講師:山中 雅則

音楽には基本的で重要な数学がいたるところに隠されています。それは大学で習う複雑で高度なものではありません。すべて高校数学の基本事項です。
さて,皆さんはどのような数学が隠されているか分かりますか?三角関数,対数関数,指数関数,有理数,無理数,素数,公約数と公倍数,素因数分解,有理数と無理数の整合,多項式と整数方程式・・・などが音波,音の大きさと聞こえ方,平均律,純正律,音階,和音,ピタゴラスのコンマ,協和音と不協和音,12音律・・・の中に隠されています。どれとどれが関係するのでしょうか?さらに,ピアノは無理数,バイオリンは有理数という対応ができます。なぜそうなるか分かりますか?
一方,弦楽器は高校物理の波動分野の基礎です。講義ではバイオリンを用いて,固定端と倍音・波長・振動数の関係,共鳴・うなりを弦の振動を実際に目で見て確認します。音色と正弦波の重ね合わせの関係をフラジオ奏法により実際に耳で聞いて確認することができます。

この授業では,音楽に隠されたこれらの数学と物理を実際にバイオリンを用いて1つ1つ実感していきます。
特徴は,高校数学の基礎を耳と目で確認するという楽しくユニークな実験です。音色についてはオシロスコープを用いていろいろな楽器の波形を目で見て確認します。応用として,フーリエ級数展開という大学の数学を少しだけやさしく説明します。
授業は,通常の教室とPC室のいずれへも対応しており,PC室で行う場合は,ヘッドマイクを用いて各自のPCへ音を取り込むことで一人一人がオシロスコープソフトウエアを操作して実験します。もしも,音楽室(ピアノ)を使うことができる場合は,ピアノの平均律とバイオリンの純正律を聴き比べることが可能です。

素数と音律の関係を拡張すると12音階ではないさまざまな音階を作ることができます。
その宇宙人の音楽も作曲してみましたので聞いてみましょう。時間が余ればバイオリンで一曲(?)いかがでしょうか。