交通ビッグデータによるスマートな都市交通の創造

担当講師:石坂 哲宏

現在の都市交通システムは,様々なビッグデータによって支えられています。
身近な交通ICカードなど公共交通機関を便利に快適にさせる情報や,車両感知器などの道路交通情報など自動車を使った移動を最適にする情報まで様々です。

複雑で多様化する交通問題に対応するためには,全ての物事に対して情報を活用して有機的に連携する必要があります。
鉄道は鉄道,バスはバス,自動車は自動車のためだけでなく,複数の交通機関のビッグデータを有機的に活用し,混雑緩和や環境改善に適用している事例を具体的に紹介いたします。
また,現在の交通状況を把握する技術として,移動している車両から直接交通情報を収集するプローブ情報システムを,車両が動くコンピュータグラフィック(交通シミュレーション)を利用して,紹介したいと思います。

自動運転バスのシミュレーション
自動運転バスのシミュレーション
有機的な連携
有機的な連携

多様な移動空間のデザインを考える

担当講師:江守 央

人が徒歩で移動する空間はどうあるべきでしょうか?
その空間を利用する人にはさまざまな方がいます.例えば高齢者など歩くスピードが遅い人から若い人のなど早く歩ける人もいます.また,車いすやベビーカーを利用している人も同じ空間を共有してい移動をしています.

このようなさまざまな人に向けた空間づくりを行うことをユニバーサルデザイン・あるいはインクルーシブデザインといって,日本の主要な都市では誰もがスムーズに移動できる工夫がされています.
また,今後は新しい個人の移動手段として「パーソナルモビリティ」といわれる電動の乗り物や配送ロボットといった様々な端末が歩行空間を共有していくこととなります.

自転車ほど遠くへは行かない,けど歩きではちょっと遠いなといった場所にどんな手段を使うと楽しく移動できるでしょうか?
また,まちの特色を生かした移動空間のデザインも考えられるでしょう.今後の歩行空間に求められる機能をみんなと考えていきましょう.

開放的なスウェーデンの交差点
開放的なスウェーデンの交差点
スウェーデンでは歩行空間にパーソナルモビリティが溢れています
スウェーデンでは歩行空間にパーソナルモビリティが溢れています

生活道路の交通安全

担当講師:小早川 悟

日本の交通事故件数は平成から令和にかけては減少傾向が続いています。
それでも年間2000名をこえる人が交通事故で亡くなっています。現在,交通事故ゼロを目指して様々な取り組みが行われています。

近年,特に注目されているのが生活道路での交通事故対策です。幹線道路と異なり,狭い道路にもかかわらず,自動車と歩行者,そして自転車などが混在して通行する生活道路での交通安全対策の事例を紹介しながら,都市計画や道路計画の考え方にもとづいて,交通安全対策の最新情報も含めて身近な道路での安全について講義をします。

生活道路の交通実態調査
生活道路の交通実態調査
住民の方々への説明会
住民の方々への説明会
交差点での交通事故対策(カラー舗装)
交差点での交通事故対策(カラー舗装)
交差点での交通事故対策(自転車矢羽根とカラー舗装)
交差点での交通事故対策
(自転車矢羽根とカラー舗装)

世界とつながる空の玄関-成田空港,羽田空港の役割と課題-

担当講師:轟 朝幸

最近「グローバリゼーションという globalization」という言葉をよく聞きませんか。国際化社会の進展を指す言葉です。
このグローバリゼーションを支えているのが「交通」です。なかでも長距離を高速で移動できる航空輸送の役割は,ますます重要となっています。

わが国首都圏の空の玄関は,成田空港と羽田空港です。
この2つの空港では,毎日たくさんの人々を迎え入れたり,送り出したりして,わが国のグローバリゼーションを支えてきました。
これらの空港がこのように立派な役割を果たすようになるまでには,いくつもの課題を克服してきました。
旅客や貨物の利用者増加への対応,飛行機の大型化への対応,騒音などの地球環境問題,海域埋め立てなどの自然環境問題,大地震への備え,首都圏各地域との地上アクセス交通問題など,たくさんの苦悩がありました。
いくつかはいまだに解決できていない課題もあり,解決にむけた努力がなされています。

この授業では,成田空港と羽田空港がどのような役割を果たしているのか,どのように課題を乗り越えてきたか,いまだ残る課題にどのように対応していくのかを紹介します。

東京湾へ沖合い展開された
羽田空港
東京湾へ沖合い展開された
羽田空港
東京湾へ沖合い展開された
羽田空港

写真から立体の世界をつくるしくみ

担当講師:李 勇鶴

・写真を使って,立体的な空間を再現するしくみを紹介します。
・写真を使って,コンピューターが自動で3Dモデル(立体モデル)を作るようすをデモで見てもらいます。
・できあがった3Dモデルがどんな場面で使われているかを紹介します。
・AI(人工知能)を使って,よりリアルな3D空間を作る最新の技術についても紹介します。

航空写真を使った3D都市モデルの作成
航空写真を使った3D都市モデルの作成
(図版・画像等の出典や引用元:Google Map)
3DGSで生成した3次元モデル(自転車)
3DGSで生成した3次元モデル(自転車)
(図版・画像等の出典や引用元:https://repo-sam.inria.fr/fungraph/3d-gaussian-splatting/)

建築の高層化と高強度コンクリート

担当講師:中田 善久

近年,都市部の再開発や集合住宅の高層化に剛性が高くコストが安価である高強度コンクリートが数多く使われています。
従来のコンクリートは,コンクリート強度に上限があるため,柱間が狭い,柱が大きいなど,空間に制限がありました。

ここでは,高強度コンクリートが開発された経緯や特徴を建築材料の観点から紹介します。
また,霞ヶ関ビルなどの高層建築物の変遷にも触れます。

地球と人中心の都市デザイン

担当講師:泉山 塁威

「地球と人中心の都市デザイン」について講義します。近代都市計画以降,経済合理性と機能が優先され,自動車中心の都市で,日本も世界中の都市がつくられています。
しかし,本来は,私たち人が豊かで,快適な都市生活を送り,都市生活の質(QOL /QOPL)やウェルビーイングに寄与する都市(人中心の都市)であるべきです。
さらに,昨今の気候変動等,地球温暖化の問題も深刻です。それらは人の活動によってもたらされています。

これからは,人中心はもちろんのこと,地球と人中心の都市デザインを探求し,研究と実践をしていく必要があります。
そんな最先端の都市デザインの講義を行います。

人中心のストリート(Degras Street・メルボルン・オーストラリア)
人中心のストリート(Degras Street・メルボルン・オーストラリア)
(図版・画像等の出典や引用元:Shutterstock)
池袋駅東口グリーン大通りオープンカフェ社会実験(東京都豊島区)
池袋駅東口グリーン大通りオープンカフェ社会実験(東京都豊島区)
(図版・画像等の出典や引用元:Knit Green実行委員会)
パークレット(バレンシアストリート・サンフランシスコ・アメリカ)
パークレット(バレンシアストリート・サンフランシスコ・アメリカ)
(図版・画像等の出典や引用元:Photo by Rui IZUMIYAMA)

つながるクルマが実現する安全・安心-CASE・MaaSが実現する近未来交通社会-

担当講師:関根 太郎

自動車を取り巻く環境は100年に一度の変革期と言われ,CASE(Connected,Autonomous,Shared and Service,Electric)と呼ばれる次世代自動車技術の実用化やMaaS(Mobility as a Service)といったシームレスでユーザー中心のサービスの実現に向けて,車載通信機器を搭載したコネクテッド車両の普及が世界的に始まっています。

この講義では,CASE・MaaSが目指す近未来の交通社会を紹介すると共に,それを実現する上で重要なコネクテッド技術の研究動向について紹介します。
例えば,コネクテッド車両から取得されたデータをビッグデータとして解析することで,高度運転支援システムや完全自動運転の実現,オンタイムでシームレスな移動経路案内の実現,持続可能な社会インフラの維持管理システムの構築,そして大規模災害時発生時の減災・避難・救援へ利用など,皆さんの生活に身近な場面から社会全体に至るまでの多様な研究動向とその実現に必要な科学技術を知ることで,皆さんが学んでいる物理や数学が世の中でどのように役立っているか理解を深めて頂ければ幸いです。

コネクテッド集配車両を利用した路面摩耗状況の計測システム
コネクテッド集配車両を利用した路面摩耗状況の計測システム

「制御」とは何だろう

担当講師:渡辺 亨

世の中の工業製品には「制御」が使われているものが少なくありませんが,それがはっきりと分かるような製品は多くありません。
なぜなら制御とは,本質的には「情報」の操作だからです。
制御しようという対象から情報を取り出し,それに情報処理をほどこし,その結果を制御対象に作用させるという一連の操作,それが「制御」なのです。

そう言うと単純なようですが,実際に制御を行おうとすると様々な障害にぶつかります。
例えば,具体的にどういう情報をどうやって取り出すのか(=計測),取り出した情報にどういう処理を加えたら良いのか(=設計),その制御が絶対うまくいくという保証はできるのか(=解析),頭の中で考えた情報処理システムをどうやってモノとして実現するのか(=実装)といった諸問題は,目に見えない情報と目に見える実体の両方が関係してくるだけにとても複雑です。

この授業では,それらの問題の本質的な意味を解説し,それらに対して今の制御工学でどのような考え方で立ち向かっているのかを説明します。
その過程で,高校で学ぶ内容(数学・理科)がどのように制御工学につながって行くのかという展望を示します。

持続可能な都市のあり方を考える

担当講師:菊池 浩紀

日本の多くの都市では,戦後の人口増加に伴い,住宅地や商業地が広がり,都市全体が拡大してきました。
しかし近年では,少子高齢化による人口減少や自治体の財政負担の増大などにより,これまでのように都市を広げながら維持していくことが難しくなっています。
このような課題に対して,国や自治体もさまざまな取り組みを進めています。例えば,都市機能を一定のエリアに集約するコンパクトシティ政策や,公共交通を中心とした鉄道沿線のまちづくりなど,持続可能な都市構造を目指した政策が各地で進められています。

CSTサイエンスアカデミーでは,こうした国内外の事例を紹介しながら,都市と交通の関係に着目し,これからの社会に求められる持続可能な都市のあり方について考えます。

公共交通を軸としたまちづくり
公共交通を軸としたまちづくり
密集した高層ビル群と公共交通
密集した高層ビル群と公共交通
自動車交通を軸とした近代都市
自動車交通を軸とした近代都市